あさってまでに1000個!?
兄が勤める和菓子店のお得意さまである有名旅館。先代のころは良好な関係を築いていたものの、1人息子が社長になってから雲行きが怪しくなってきました。
新社長はとにかく横柄で無理難題を突きつけてくるのだとか。先日も宿泊客が希望しているから、あさってまでに1000個ものまんじゅうを納品しろと言ってきたというのです。
兄のお店ではお菓子を1個ずつ手作りしているため、これは到底無理な数。しかし社長は「黙れ下請け! お前たち弱小菓子屋の代わりなんざいくらでもある!」と圧をかける始末。
さらにはまんじゅう以外の商品にまで口出しをし、人気No.1の和菓子をダサいとクレーム。「もっと話題性のあるものを作れ!」といったダメ出しまでしてきたのです。
注文をドタキャンされ…
ある日、いつものように無茶な注文をされてしまった兄。前回の2日で1000個もひどかったのですが、今回は今日の午後中に100個の看板商品を用意するように言われたのです。
それでも職人たちが頑張って、何とか100個を作り上げたそのとき。新社長から、この商品を提供するはずだった団体客がキャンセルになったので、菓子の注文も取り消すと電話がかかってきました。これにはさすがの兄もブチ切れ。契約書に記載のキャンセル料を請求すると、社長は「なんでお前のところにキャンセル料なんて支払わなきゃいけないんだ! こっちの条件をのめないなら契約を切るぞ? 」と逆ギレしてきました。
兄は旅館に直接乗り込み、抗議することに。新人の部下を連れて、新社長の元へと向かいました。
「お前みたいな弱小、ウチに切られたら終わりだろ? おとなしく帰れ!」
あいさつもそこそこに、新社長からそう言われた兄と新人部下。すると新人部下は、笑顔で「では、契約は打ち切りということで」と返答。社長はその新人の姿に驚きを隠せずにいましたが、兄も契約を遵守(じゅんしゅ)しない取引先は不要だと宣言し、この旅館との契約を解除することにしました。
予期せぬ展開が!
こうして、大手の取引先だった旅館との契約がなくなったのですが……。和菓子店の売り上げは、なんと落ちるどころか急増するという展開が起きたのです。
その裏には、全国区で知られている別の老舗旅館という新しい取引先の存在がありました。
実は兄の部下は、この老舗旅館の社長の息子だったのです。和菓子好きの彼は、兄のお店の大ファンになり、実際に入社するまでに。そして、「父さんの旅館でわが社の和菓子を扱ってもらいたい!」と実父に直談判していたのだとか。
一方で、兄の店との契約を切った例の旅館では、和菓子がまずくなったと評判がガタ落ち。加えて、新社長自身の経営力も低く人望もなかったため、すぐにつぶれてしまったそうです。
兄の和菓子屋は、SNSの口コミなどで有名店に成長。今では毎日バリバリと働いていて、妹としてもうれしい限りです。
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取引先とのやりとりは難しいものがありますよね。自社と相手の会社、どちらにも利益を出すためにはお互いの協力が不可欠。取引先を「下請け」と見下していては良い関係は築けないということですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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