「今日は定時で仕事終わるわよね?」「父の身内ももう私しかいないから、すぐに病院に行きたくて!」「お願い、早く帰ってきて!子どもを見ていてほしいの、私は病院に行ってくるから!」と言うと、夫は「子どもは連れて行けばいいじゃん」とそっけなく返してきました。
「電車とか新幹線での移動になるから、なるべく連れ出したくないのよ」「車だと混雑してるところを通らなきゃいけないし……」と言ったところ、夫は「でも俺、飲み会あるし」と言い出して……?
自称イクメンパパの夫
「実は、先輩イクメンパパとして、後輩から話を聞かせてほしいってお願いされてさ」となぜか誇らしげに話し始めた夫。夫は息子とは週末の数時間くらいしか一緒に過ごしていないのに……。
「平日は仕事だから当然だろ?休日返上で育児の手伝いしてやってるんだから、むしろ感謝されてもいいくらいだと思うけど?」「俺、息子の泣いてる理由がなんとなくわかるくらいイクメンじゃん?」「おむつ替えのタイミングとか、おなか空いてるタイミングとか、お前にいつも教えてやってるだろ?」
夫は自分でなにかをするわけではなく、ただ「子どもが泣いているからおむつ替えろ」とか「おなか空かせて泣いてるぞー」とか言うだけです。まさかそれで自分のことをイクメンだと思っているとは……。
「子どもの泣き方でなにを求めてるかわかる俺ってやっぱりイクメンだろ?そのへんのコツみたいなのを後輩に伝授してやろうと思ってさ」「だから今日は定時で上がるけど直帰はせずに後輩と飲んで帰るから」と言う夫に、私は「でも、父は危篤なのよ……?」と声を絞り出しました。
「おじいちゃんと会える最後のチャンスかもなんだから、子どもも連れて行けばいいじゃん!」「俺が行ったところで、医者でもなんでもないし、なんにもならないだろ?」「まさか出産のときみたいに、『病院でひとりだと心細い』とか言わないよな?」
そこまで言われて、カチンときた私。「もういい!よくわかったわ」「子どもと一緒に車で行くから、こっちのことはお気になさらず!」と言って、電話を切りました。
私の父よりも飲み会を優先する夫
3日後――。
父の最期になんとか間に合った私。そのまま父は亡くなりました。
いったん家に帰って、着替えや荷物を取り、夫の喪服も用意しておいた私。少し余裕ができたタイミングで、夫に「父の葬儀は3日後よ、喪服は出しておいたから」「私と子どもはこのまま葬儀が終わるまでは実家にいるつもり、お通夜もあるし……」と連絡しました。
「明日仕事が終わってからか、明後日の朝、どちらでもいいからこっちに来るときに連絡してね」と言うと、夫は「たぶん、明後日の朝になるわ」と言ってきました。
カレンダーを思い出し、「……そっか、明日、金曜日だもんね」と言うと、夫は「そうだけど、それが何?」となんだか不機嫌。
「ほかの曜日はランダムだけど、金曜日だけは毎週決まって飲みに行くでしょう?」「それで酔いつぶれて土曜日は昼過ぎまでぐっすり寝て、日曜日の数時間、子どもと一緒の空間にいて休日は終わり」
「なんだかトゲのある言い方だなぁ?」「まぁでも、わかってるみたいだからいいや」「明日は飲み会だから!安心しろって、さすがに義父の葬式前日に酔いつぶれたりしないからさ」と言う夫。今までの行動を見てきた私は、夫の言葉を信じられませんでした。
ただここで言い争っても仕方ないので、「それじゃあ私は先に行ってるから」「手伝ってくれる親戚もいるし、こっちのことは気にしないで」と言って、電話を切りました。
家族をないがしろにした夫の末路
そして、父の葬儀当日――。
「悪い、今起きた」と夫から連絡があったのは昼過ぎでした。しかし、「飲み会が二次会まで盛り上がっちゃって、終電なくして結局始発まで飲んで、一時間仮眠とったら喪服に着替えて行こうと思ってたんだけどな」「それがまさかの昼過ぎなんて、さすがの俺もびっくりしたわ」と夫は悪びれる様子もありませんでした。
「私もびっくりしてるわ……予想通りすぎて」と言うと、「怒るなよ!こっちだって次期社長として社員と交流を持つ、っていう大事な仕事の一環で飲みに行ってるんだ」と夫。
「二日酔いだからお前の親父の葬式は欠席するわ!」
「次期社長として、飲み会で社員と交流を深めてたんだから仕方ないだろ!てか当然だ」
「ふ~ん…本当に自分が次期社長だと思ってるんだ~」
「は?」
一瞬驚いた様子の夫に、「現社長は『次期社長はお前じゃない』っておっしゃってますけど?」と伝えた私。
「は?何言ってんだよ?お前、今葬儀中だろ?」「なんで親父が言ってるとかわかるんだよ!」と夫。「だって目の前にいらっしゃるもの」と答えると、夫は「……え?」とフリーズ。
「言ったでしょう?親戚が手伝ってくれたり助けてくれたりしてるって」「義理の父親は立派な親戚、手伝ってくれてるのはお義父さんとお義母さんよ!」
「なんで母さんまで……お前と母さんは仲悪いじゃん!いつも母さんはお前にキツく当たってただろ!?」と言う夫に、「別にそんなことないけど」と返した私。
たしかに、少々義母の物言いが厳しく感じることはありました。しかし、早々に母親を亡くした私のことを、いつも誰よりも考えてくれていたのは義母。義母は、母の代りに私にたくさんのアドバイスをくれました。結婚してからも妊娠してからも、そして出産してからも、誰よりも病室に来てくれたし、夫より連絡をマメにしてくれたし……家事や買い物を代わりにしてくれたことだってありました。私は本当に義母に助けられていたのです。
「母さんはお前の敵じゃないのか……?」「俺の代わりにキツく言って、お前をいい嫁に育ててくれてると思ってたのに……!」と言う夫に、「私の敵はあなただけよ」ときっぱり言い切った私。
「私より、子どもより、飲み会を優先する父親なんかいらないし、私の家族を大事にできない夫もいらない」「前々から離婚も考えてたし、今回のことで吹っ切れたわ!私、あなたと離婚します!」
「ちょっと待てよ、離婚ってなんだよ、急に!」「お前は次期社長夫人の座を手放すのか?」と焦り出した夫に、「離婚の意思は変わらないし、次期社長はあなたじゃない」「少しずつ荷物をそっちの家から実家に移しておいて正解だったわ」「今から父の納骨だから、もう電話切るわね」と言った私。
「荷物を移してた!?そういえばなんか家の中、物が少ない気が……!」「ちょっと待てよ!考え直せ!」という夫の悲鳴が聞こえてきましたが、私は躊躇なくスマホの電源ボタンを押しました。
その後――。
元夫は義父の会社を解雇され、元義実家に絶縁されました。私は元義両親に離婚に強い弁護士さんを紹介してもらい、養育費を元夫に請求。飲み会ばかりで貯金なんてまったくしていなかった元夫は、月払いで養育費を払うことになりました。
私の職歴や資格を知った元義両親は、経理の仕事を私に回してくれるように。もともと元夫が経理にいたのですが、その欠員分を在宅でしてくれればいいと言ってくれたのです。
元夫とはもう顔を合わせたくもありませんが、元義両親には感謝しかありません。親を2人とも失ってしまったので、これからは元義両親に恩返しをしていきたいです。
【取材時期:2025年1月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。