義妹の優しさに救われて
ある日、出産準備の買い物中に偶然会ったのが、夫の妹である義妹。彼女は明るくて、私を笑顔にしてくれる存在なのです。
その日も「1人で出産準備なんて大変じゃないですか!?」とナオキが出産準備を手伝ってくれないことを察したのか、私を気遣ってくれたのです。さらに、「出産の準備なんて初めて子どもが生まれる夫婦のビッグイベントだっていうのに!お兄ちゃんは優しのかけらもない!」と私の味方をしてくれたのです。そして「お兄ちゃんが手伝わないなら、私をこのビックイベントに参加させてください!」と言い、買い物にを手伝ってくれたのです。
久しぶりに心から楽しい一日を過ごすことができました。 その優しさに、思わず涙が出そうになったほど……。
出産方法を否定してくる夫
それから数日後、検診のために産婦人科医に行くと思いがけないことを伝えられてしまったのです。妊婦健診の結果、今回の検診で体調不良は妊娠だけが原因ではなかったようで、帝王切開を提案されたのです。
自宅に戻りナオキに相談すると、反応は最悪でした。「陣痛があるからこそ母性が芽生えるんだろ!?痛みを乗り越えてこそ、母親になれるんじゃないか!」と激怒し始めたのです!さらには「帝王切開だって知ったら、母さんブチ切れるぞ!」「同じ女として、楽な出産をした奴は敵認定するに決まってるじゃないか!今後のお前の立場は危ういだろうな……!」 と脅しのようなセリフを連発!終いには「母さんを喜ばせるためにも、普通分娩にしろ!」と言うのです。 自分の母親の機嫌ばかりを気にし、私と赤ちゃんの命の安全は一切考えていない。こんな人と家族でいていいのだろうかと、不安が募るばかりでした。
夫に帝王切開に反対されたことを伝えると、主治医の先生は自然分娩の危険性を夫に話すと言ってくれました。それなのに夫は病院への同行を嫌がり、でも最終的には母子を守る最善の出産方法として帝王切開を選択し無事に第一子が誕生しました。
「よく頑張ったね」と言ってくれたのは
帝王切開で無事に出産を終えた私。術後の痛みと疲労に耐える中、見舞いに来た夫が放った言葉は—— 「母親になった自覚ゼロだな。楽な道選んだんだもんな」の一言。そのとき、義母と義妹が病室に現れました。夫が連れてきたそうですが、結果的にはそれが救いとなりました。
私が帝王切開だったと知った義母は「よく頑張ったね。痛かっただろう?不安だったでしょ?」と私を気遣う言葉が! 義母に「緊急だったの? 予定だったの?」と尋ねられ 「予定です……。私の体調がすぐれなくて、先生から提案されて……」と答えると「それは大変だったねぇ。不安だったでしょ?」と……。 義母の思いがけない言葉に込み上げてくるものを感じたのですが、それをすっと引かせてくれやがったのが夫の発言でした。
ナオキは「不安なわけないじゃん。陣痛すっ飛ばして楽して子ども取り出してもらってんだから! 普通の母親は痛みを乗り越えて親になるんだぜ? それなのに、ヒナノのやつは楽な方を選んでズリぃよな」と言うのです!
この発言に義母と義妹の怒りが大爆発!「帝王切開が楽なわけないでしょ!」「体を切って命を産む重みを知らないのか!」「痛みを乗り越えてこそ親になれるって?じゃあ父親はいつ親になるのよ!?」と義妹の鋭いツッコミが。トドメに義母が「あんたはちっともわかっていない! 出産はいつだって危険性を伴うんだ! その危険がヒナノさんに多くのしかかっていたかもしれないってのに、あんたは妻子の心配もせずによく楽して産んだなんて笑っていられるね!!」と怒りをぶつけます。もはや、誰も夫をかばう者はいませんでした。
夫と決別!子育ては、あたたかい人たちと
義母が私に向かって「ヒナノさん、今後どうしたい?」と聞いてきたのです。妊娠中から今日まで、ナオキの暴言にうんざりしていた私は「この子を一緒に育てて欲しくない」 私は義家族の前で、はっきりとそう告げました。
慌てて反省をするナオキを義母が病室から連れて出て行ってくれました。その後、私と義家族で離婚の話を進めることに。 義母たちの協力の元、退院後自宅に戻ると夫の姿はなく快適な子育て生活がスタート! 養育費の支払いも約束してくれたし、子育てに理解のある仕事も紹介してくれたのでシングルマザーでも頑張れそうな気がします。
今は元義母と義妹が頻繁に手伝いに来てくれて、子育てをサポートしてくれています。おいしい手料理や買い物の差し入れにも感謝しかありません! 可愛いわが子と、あたたかい人たちに囲まれて、私は今、とても幸せです。
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どんな出産も命がけ。楽な出産なんてひとつもありません。それを理解せず、傷つけてくる人とは、たとえ家族でも離れる勇気が必要です。命をかけて産んだわが子を守れるのは、自分しかいない。そんな強さを、私はこの出産で手に入れました。気づいたときが、新しい人生のスタートなのかもしれませんね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。