毎朝、道に佇む険しい表情の男性
その日は娘がぐずったので家を出るのが遅くなってしまい、急いで保育園に向かっていました。すると、いつもの道を小学生がたくさん歩いていたので、自転車のスピードを緩めながら走っていると、あの高齢男性の姿が見えたのです。
こちらを向いた男性は、相変わらず怖い顔をして立っていました。しかし、小学生を見るときは心なしか顔が緩んでいるように感じました。そのとき、小学生の1人が男性に手を振ると、男性は少しほほ笑みながら、その小学生に手を振り返したのです。その後は他の人を見て、また先ほどの険しい顔。その様子を見て、私はハッとしました。
その道は、車も自転車も通る道。男性は子どもたちを見守るために、毎日同じ場所に立っているのだと思います。険しい顔はきっと、子どもの近くを通る大人たちや、車、自転車に対して向けられたもの……。
自分も子どもがいる身。もちろん自転車の運転には気をつけているつもりですが、急いでしまうことがあるのも事実です。男性の存在がきっかけとなり、改めて運転には気をつけようと感じました。
朝早く、小学生の登校ラッシュの時間より前から立っているその男性は、きっと、子どもが大好きなのだと思います。男性は毎日外に立っていたのですが、冬になると家の中から外を眺めている姿をよく見かけました。春になり、また外に立つ男性の姿を見られる日を、私は密かに楽しみにしています。
著者:まつもと まお/30代女性。2020年生まれの男の子、2024年生まれの女の子の母。「私も子どもたちに負けないように成長したい!」と思いながら日々奮闘中。
イラスト:森田家
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年3月)