事件がぼっ発
とある日、取引先の販売社の社長が息子A男を伴い、わが社にやって来ました。社長は、これからの担当をA男にすると一方的に告げに来たのです。こちらが丁寧にあいさつしようとすると、A男は軽薄な態度を展開。私が出した高級コーヒーを、「まずいな」と罵倒しました。
おまけに社長は息子を注意することもありません。わが社の商品を、「自分たちが売ってやっているんだから感謝しろ」という傲慢っぷりで、息子のわがままや非常識な点も甘やかす始末。
過去には、その販売社は納期について理不尽な要求をしてきたことも……。
「2週間後に納品予定だったあのテーブルな、3日後までに納品しろ! できなきゃ半額で卸せ!」
対応が難しいと一生懸命説明しても、怒鳴り散らすばかり……。しかし、わが社にとってその販売社との取引は重要であり、やむなく関係を続けていました。
怠惰な息子
A男の仕事ぶりは最悪でした。発注に関する話をまともに聞かず、会議中にスマホをいじっては時間をつぶし、他の社員に任せきりです。
おまけに、過去に担当していた別会社でも横柄な態度が問題視され、担当を変えられたという経緯も耳にしました。それでも私たちは、取引を失うことを恐れ、強く出ることができずにいたのですが……。
そんなある日、A男は発注済みのクローゼットを「半額にしろ」と無茶ぶりをしてきました。聞けば、恥じ入ることもなく堂々と、キャバクラ通いのために資金を捻出したいなどと言うのです。しかも、社長である父親も了承済みの値下げ交渉なのだとか。
「あの社長にしてこの息子あり……。もう我慢できない!」
当然、わが社は値引きを拒否しました。
契約解除!?
ところが、逆上したA男は父親に訴え、社長が「うちに逆らうのか」と圧力をかけてきました。
これにはさすがに、積もり積もった私たちの怒りが爆発。父がきぜんと拒絶し、クローゼットを納品しないと通告すると、社長は渋々要求を引っ込めたのですが……。
数日後、なんと息子のA男がその販売社の社長に就任。そして、腹いせのようにわが社との取引をやめると通告してきて、契約を一方的に解除したのです。
もちろんわが社は大打撃を受けることになりました。
どんでん返し
しかし私は、こうした事態をある程度予測していました。そして、販売社の競合の中から、うちと取引したいと言ってくれる販売会社を密かに探し、営業をかけていたのです。
手を挙げてくれたのはその販売社よりも広い販売網を誇る、全国規模の販売社。新たな販売社との契約を結ぶことで、わが社の業績は急上昇しました。
以前の販売社に振り回されていた分の負担がなくなり、予定通り家具を製造できるようになったので、経営も以前より安定していきました。
一方、A男が継いだ販売社は売り上げが低迷。おまけに彼が会社の資金を横領し、警察沙汰にまでなったというウワサも届きました。
これぞ因果応報
「昔のよしみで助けてくれよ。うちに家具を卸してくれ! 取引先が皆うちに売ってくれなくなったんだよ!」
かつて横柄な態度を取っていたA男の立場は一変し、業界内での信用を完全に失ったのです。窮地に立たされたA男は、わが社に泣きついてきました。
しかし、すでに新たな販売社と定期的な取引をおこなっていたわが社は丁寧にお断りしました。父が、「あなたがたとは二度と仕事をしない」と宣言し、家族全員が晴れやかな気持ちになりました。
時にははっきりと拒絶することが大事だと学んだ私たち。これからは誠実なお付き合いができる相手に、大事なわが社の家具を扱ってもらおうと改めて心に決めたのです。
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ビジネスでも一番大切なのは人と人との信頼関係。横柄な態度で接していたら信用を失うのは当然ですよね。売り手・買い手だからと言って、両者の間に上下はないはずです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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