「あの店は知る人ぞ知る超高級フレンチなのよ!」「あんたみたいな貧乏人が来ていい場所じゃないんだから!」と、久しぶりに会ったにもかかわらず、私のことをこき下ろしてきた同級生。
彼女は私がその店から出てきたのが気に食わないようで……?
高級フレンチで再会した同級生
「そんな地味で安っぽい服を着てるんだもの、貧乏人そのものでしょ?」「私はハイブランドのコート着てるし、バッグも新作だし……今日のコーディネートだけであんたの月収の何カ月分でしょうね?」
そうやって私を見下す同級生は、大手企業の有望な若手と結婚したそう。旦那さんの年収はなんと数千万とのことでした。
自慢を続ける彼女に「そ、それはすごいね……」と言うと、彼女は気を良くしたようでした。しかし、その直後に私をキッとにらみつけ、「そんな彼がプロポーズしてくれたのが、あのお店なの!」「なのにそんな大事なお店を貧乏人が使ったなんて最悪……!いい?今後、二度とあんたはあのお店を使わないでよね!」と言ってきたのです。
「なんであなたにそんなこと決められなきゃいけないの?」と言い返すと、「私はオーナーとすっごく仲良しなの!毎月お店に通ってるんだから!」「あんたのこと、今すぐ伝えて出禁にしたっていいんだからね!」と彼女。
同級生に久しぶりに会えてうれしかった最初の気持ちはどこへやら。私は彼女に心底がっかりしていました。「あぁそう、だったら好きにすれば?」「お店の評判のためにも、そういう私物化するような行為はよくないと思うけど」と言って、私は足早にその場を立ち去りました。
セレブ妻を名乗る同級生が私に放った言葉
1カ月後――。
あの同級生と会ってからも、私は毎週高級フレンチでのランチを続けていました。そして、ついにレストラン内で彼女に出くわしてしまったのです。
「なんであんたがここにいるのよ!」「あんたみたいな貧乏人が来るようになったから、このお店の質が落ちたのね!」と言って、高級ワインのボトルをつかみました。そして、その高級ワインを私の顔に浴びせかけてきたのです!
「どう?高級ワインの味は?どうせ貧乏舌じゃわからないだろうけど!」と高笑いする彼女。私はワインを滴らせながら、「人として最低の行為だと思わない……?まさか、いきなり人にワインかけるなんて……」と言いました。周囲も騒然としています。
「選ばれたセレブ妻の私と、あんたは格も何もかもが違うのよ」
「わかったら、貧乏人はお帰りくださ~いw」
「帰るのはあなただけどね?」
「は?」
スタッフが持って来てくれたタオルで顔を拭き、私は彼女の目を見て「とっとと荷物まとめて帰りなさい」とはっきり告げました。
「はぁ?ワインかけられて頭がおかしくなった?誰に向かってそんな生意気な態度とってるのよ!」「私はこのお店のオーナーとすっごく仲がいいの」「月1以上は通う常連で、このお店で一番格式高いお客様なんだから!」
高級フレンチの真実と同級生の末路
「……あなたが仲良くしてたのは前のオーナーでしょ?」「だって、今のここのオーナーは私だもの」「でも……一度もあなたと仲良くした覚えなんてないわ」
そう言うと、「え……?」と彼女はフリーズ。
「おかしいわね、そんなに前オーナーと懇意にしてたなら、お店を手放すことを教えてもらえてたはずじゃない?」と笑うと、「そ、そんな……彼がこのお店をあんたにあげたって言うの!?」と同級生の顔色がみるみる悪くなっていきました。
「い、いやいや、なんであんたなんかが……」「こんな高級店を経営する力もお金も……あんたみたいな貧乏人にあるわけないじゃない……」と自分に言い聞かせるように言った彼女。
「貧乏人に見えるかもしれないけど、実は私、この地元で飲食店を10店舗以上展開しているの。グループの代表なのよ?」
高校時代から彼氏や服、メイクにしか興味のなかった同級生。一方の私は、食べることしか興味がありませんでした。22歳のときに念願叶って小さな居酒屋をオープンし、そこから少しずつ事業を拡大していったのです。
「そんなときに偶然、ここの前オーナーと知り合う機会があってね」「後継者を探してるっていうから名乗り出たのよ」「前オーナーは客層で悩んでいたみたい……だから、軌道修正するって約束してここを譲ってもらうことになったの」
前オーナーによると、高級フレンチという肩書だけに惹かれて、だんだんと品性の欠ける人たちが増えてきていたそう。食事や高額なワインを頼むだけ頼んで写真を撮ってSNSにアップし、一切手を付けない人、店員に横柄な態度を取る人、それからただの客のくせに「常連だ」って威張り、過剰なサービスをねだる人……。
「前のオーナーはやさしいから、あなたのことを見逃してくれていたかもしれない」「でも新オーナーの私は違うから!店に合わないと判断した人は客扱いなんてしない!」「あなたは今日から出禁よ!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」「私が今までこのお店にどれだけ貢献してきたか!」「そんな私を出禁って……許されると思ってるの!?」と彼女。この状況下でも一切謝らない彼女は、やはりうちの店にはふさわしくありません。
「二度と来ないでちょうだい」と言って、私はワインまみれの服を着替えるために奥へ。彼女のヒステリックな叫び声が響き渡っていましたが、スタッフに連れ出され、と店内はようやく静けさを取り戻しました。
その後――。
毎年結婚記念日に、夫とうちの店で食事を取っていたらしい彼女。何度も予約のために電話してきたそうですが、うちのスタッフも頑として受け付けなかったようです。
困り果てた彼女は「記念日以外は絶対に利用しないから!」「だから毎年結婚記念日以外は出禁を解除して!」「夫に『ほかの店がいい』って言ったんだけど、思い出の店がいいって聞いてくれないのよ!」と私に泣きながら電話をかけてきました。しかし、ここで出禁を解除してはほかのお客様にも、そしてスタッフにも示しがつきません。
結局、しびれを切らした彼女の夫のほうから店に電話が。たまたまその電話を受けた私は、彼女が出禁であることとその経緯を丁寧に説明しておきました。ほかの同級生から聞いたところによると、彼女の夫は激怒。彼女からクレジットカードもお小遣いもすべて没収したそうです。
一方の私は、受け継いだ店の雰囲気を変えるべく奮闘していました。今では前オーナーが目指した、品のある和やかな雰囲気を取り戻しつつあるように思います。
【取材時期:2025年2月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。