私には弟がいます。私たちの結婚式に出席した際、彼は気になる女性と出会ったそうです。その女性は夫の幼なじみで、最近海外生活から戻ったばかり。彼氏はいないと聞いたので、弟に紹介してほしいと夫に頼んだのですが、まさかの拒否。普段ならこういう話には必ず乗ってくる夫なのに……。何かあったに違いないと心配して声をかけると、夫は「ただ疲れているだけだ」と言い張ります。
夫が提案する“サプライズ新婚旅行”とは
今日は久しぶりに夫と夜ごはんが食べられるとわかり、急いで帰宅した私。腕によりをかけて料理をしたのですが、キャンセルになってしまいました。新婚さんを飲みに誘うなんて、気が利かない上司! 断れなかったという夫の気持ちもわかるので、飲み過ぎないようにだけ伝えました。
申し訳ないと思ったのか、夫はその後、私に“サプライズ新婚旅行”を提案してきて……。すべて夫のエスコートで行く、新婚旅行だそうです。行き先もホテルも夫が決め、私は自分の荷造りをするだけ。旅費もすべて出してくれるそうです。
そしてーー、新婚旅行先は沖縄になりました。夫とは、現地空港で待ち合わせです。到着時から私を楽しませたいと言う夫は、現地に前乗りしてスタンバイしています。
そして、今、私は沖縄で観光中なのですが……。
「おい、今どこにいる?」
怒った様子の夫から、電話を受けました。
「新婚旅行に遅刻するとは何事だ!」
「え? 夫と新婚旅行中だけれど……」
「は?」
私を罠にはめようとする夫。なぜそんなことを?
じつは今、私は夫と名乗る人物と新婚旅行中です♪ あいまいな表現で夫に説明すると、彼は私の不倫を疑ってきました。知り合いが私のことを旅先で見かけたと、わざわざ連絡してきたのだそうです。私が夫ではない男性とホテルへ入っていったと聞き、不貞行為をしているのではないかと思ったと……。なるほど。こんな話をでっち上げて、離婚しようとしたのですね。夫はまくし立てるように、証拠はある、不倫なんて絶対許さない、しかも新婚旅行中にだなんてありえないと、わめいています。……もう全部バレているのに……。仕方ありません。丁寧に説明してあげることにしました。
当初、空港へは夫が迎えに来るはずでした。ところが現れたのは、夫に似せた装いの男性。背格好も顔立ちも似ていましたが、サングラスをかけただけで別人だとすぐにわかりました。それでもサプライズかもしれないと思い、黙って彼について行き、予定していたホテルにチェックインしました。もっとも、途中でサプライズではないと悟っていましたが……。夫はあの幼なじみの女性と不倫中。ですから、何か企んでいるのではと内心疑っていたのです。
夫は、私が不倫しているというウソの事実をでっち上げたかったようです。新婚旅行先で私と別の男性がホテルに入る写真を撮るため、あれこれ仕込みを加えられる「サプライズ新婚旅行」を企画したのでしょう。
夫は、自分が悪者にならず、慰謝料も払わずに離婚する方法を模索したのでしょう。離婚したいのなら、素直にそう言ってくれればよかったのに……。そう告げると、夫は動揺したのか逆ギレし、「証拠はあるんだぞ」と詰め寄ってきました。証拠なら、こちらにも証拠はそろっていますけどーー。
弟のSNSパトロールに感謝!夫と不倫相手は…
じつは、のちに夫の不倫相手となる彼女に一目惚れした弟は、何も知らず、彼女のSNSを探し当てていました。毎日投稿をチェックしていたところ、夫の存在を匂わせる投稿を目にし、慌てて私に連絡してきたのです。新婚旅行の前日には「もうすぐ恋人ができそう」と投稿していたので、この旅行中に何かが起こると予感していましたが、案の定――。
新婚旅行から戻ると、私は夫に離婚届を突きつけて慰謝料を請求しました。当然、不倫相手にも支払ってもらうつもりです。ところが離婚を望んでいたはずの夫は、なかなかサインしようとしません。「一番大切なのは君だったと気づいた」などと言いますが、家族や友人から非難され、居場所を失っただけでしょう。
夫は「彼女のほうから誘ってきた」「だまされた」と主張しますが、夫自身にも落ち度があったはずです。昔、彼女を好きだった時期があり、「別れよう」としても泣かれ、脅されて別れられなかったとも言います。いつまでも彼女を悪者にして愚痴をこぼすのは最悪。夫も同罪なのですから。
「もう彼女とは会わない。やり直したい」と泣きつかれましたが、絶対に受け入れられません。無実の私を陥れてまで自分が悪者にならずに済ませようとした夫が、ぼっちになった途端に手のひら返しとは……ありえません。私たちは離婚。そして結局、2人は揉めて別れ、事情を知った家族からも縁を切られたそうです。
つらい経験ではありましたが、夫の本性を早い段階で見抜けたのは幸運でした。それもこれも、弟のおかげ。感謝の気持ちでいっぱいです。
◇ ◇ ◇
結婚して早々、妻のことをないがしろにする夫。なぜ結婚したのかーー理解に苦しみますね。新婚ということもあって気持ちが浮ついていたのかもしれませんが、そんなときこそ自分をしっかり持って行動したいものですね。
【取材時期:2025年2月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。