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ママはもっと社会に甘えていい。女性の仕事と働く環境に思うこと【衆議院議員・野田聖子氏インタビュー vol.5】

6回にわたってお届けしている、衆議院議員の野田聖子氏へのインタビュー。

前回の記事では、50歳という年齢でお子さんを授かった野田さんが、これから妊娠出産を迎えるママたちに伝えたいこと、すべての女性に知っておいてほしいことを語っていただきました。

5回目となる今回は、女性の仕事と働く環境について、お話をうかがいます。

 

「女を捨ててください」議員になるとき周囲から求められたこと

野田聖子さんインタビュー

 

―女性の活躍に力を注いでらっしゃる野田さんですが、ここに至るまでのことを教えてください。

 

―野田聖子氏(以下、野田さん):40年近く前、私が自民党の議員選挙に出ると決めたとき、周囲の人々から「女を捨ててください」と言われました。たとえるなら大相撲の世界に女性が行くようなもので、政治家になるんだったら「結婚もダメ、子どももダメと思ってやりなさい」と。応援してくれている人もそうじゃない人も、そこだけは一致していましたね。

 

私はそういう人生になるのかなと当時はぼんやり思っていました。何の違和感もなく女性というジェンダーを捨てて、「野田聖子」という、いち候補者でいましたね。だから当初の私は女性政策に長けていたわけでもありませんし、女性の問題を解決するために立候補したわけでもないんです。衆議院においては、私が当選するまで15年ほど女性議員が不在でした。だから国会という場に、まずは女性がいることが大事だと考え「0を1に」を掲げて活動をしていました。

 

当時、与党である自民党には女性議員がいなくて、衆議院においては、私が当選するまで15年ほど女性議員が不在でした。だから国会という場に、まずは女性がいることが大事だというだけの中身のない女性政策から始まりました。


―衆議院に久々に女性議員が誕生して、どんな変化が起こりましたか?

 

―野田さん:わらわらと全国の女性団体が押し寄せてきました。女性の体の問題や子どもの問題、男性からの性被害の問題など、当時の私は知らないことだらけでした。みなさんからお話を聞くなかで、私自身が選挙期間中にやられたことは性被害だったのかもしれないと気づいたこともありました。

 

そうやって党派を超えた多くの女性たちに教わって、今の私があります。自民党の中では、何十年もの間、私ひとりで女性からの相談を受けてきましたから。みなさんに育ててもらったと思っています。

 

キャリアと子育ての両立はできなくて当たり前

野田聖子氏インタビュー

 

―現在、女性たちが置かれている環境を見ると、キャリアと子育ての両立は、簡単なものではないように見えます。それについてどう思われますか?

 

―野田さん:両立なんて、私もできてないですよ。できなくて当たり前だと思っています。なんでも1人で頑張ろうとしなくていい。むしろママたちはどんどん泣き言を言っていいと思います。

 

これから結婚を考えている人なら、パートナー選びも肝心ですね。私は1度結婚で失敗していることもあって、次にパートナーになる人は同業者ではダメだと考えていました。自分の力を発揮するためには、相手もバリバリ仕事をやっている人じゃなく、人生を楽しんでいる人が良かったんです。

 

私の場合、たまたま夫が板前さんだったので、家事の中心である料理をやってくれる人だったんです。そのうち料理をするのに家が汚いからと掃除もしてくれるようになった。

 

今の夫とは、酔っ払っているときに出会ったんですよ。素をさらけ出して、一番かっこ悪いところを見せた相手で、それをずっとニコニコ見てくれていました。自分が仕事をするのなら、協力してくれる人であるというのは大事ですよね。惚れた弱みっていうのはずっと続くから、惚れさせなきゃ。

 

 

もっと社会に甘えていい。ママが賢く「休憩」をとる人生を

―とはいえ、パートナーがいない人やパートナーとなかなかうまくいかないママもいるかもしれません。その場合は、どうしたらいいでしょうか?

 

―野田さん:もっと社会に甘えていいと思います。そして何より毒を吐ける仲間づくりが大事ですね。私もひとりでは無理だったと思います。気楽に毒を吐けるようなコミュニティに所属する。園や学校のママ友だったり、学生時代からの友人グループだったり、障害児を持つママが集まるグループだったりが、きっと近くにあるはずです。

 

また「レスパイト(休憩)」という言葉をご存知でしょうか。これは、介護が必要な人を一時的に預かり、介護する人の負担を軽減するサービスのことです。私たち障害児の親はこの「レスパイト」することを心がけています。なんとかして休憩を取り入れる工夫が、人生を豊かにしてくれると思います。

 

いろいろな人に甘えて頼って「レスパイト」する。少しぐらい手を抜いたっていいし、自分がやらなくても、誰かが手を差し伸べてくれる。ときには、それくらいのずる賢さも必要ですね。


―野田さんにとっての「休憩」は何ですか?

 

―野田さん:息子と夫が寝たあとのNetflix(笑)。ひとりで黙々と番組に没入している時間ですね。「うちよりひどいな」とか「うちと同じだ」なんて思ったりしながら、ドラマを観ています。気がつくと、スナック菓子を持ったまま寝てしまっていて。起きたら、スナック菓子を夫が片付けてくれているというね。

 

多くのママが、子どもの前でも夫の前でも、自分で完璧にやろうとしちゃってると思うんです。かつては私もそうでしたが、今はもう無理。仕事も子育ても持続可能じゃないといけないので、ある程度緩みながら、やっていくのがいいと思いますよ。

 

―お子さんとの時間はどんなふうに過ごされていますか?

 

ー野田さん:仕事で大変なことがあった日に、自宅に帰って息子の寝顔を見るとホッとします。嫌なことがあった日は、ギューって息子を抱きしめて、政治家のおじさんたちの文句を言ったりもします(笑)。

 

息子からは「やめてよ」と言われますけど。逆に子どものことで腹立つことがあったら、早く働きたい、1分でも早く家を出たい! と思うこともありますよ。

 

仕事の世界と子育ての世界、どちらも完璧なわけじゃない。今日は仕事で鬱憤が溜まったから子育てで解消しよう、子育てで疲れたから仕事で発散しようというように、両方の世界をうまく使えばいいんじゃないでしょうか。そういう意味でも、私は息子の存在に本当に助けられていると思いますね。

 

そもそも子育てを完璧にできる人っていないと思うんですよ。「仕事と子育てを両立」など、みんな要らぬ夢を追っているから、苦しくなるのかもしれないですよね。

 

♢ ♢ ♢ ♢ ♢

 

忙しい日々の中、仕事も子育てもうまく両立していらっしゃるようにも見える野田さん。しかしそんな野田さんの「両立できなくて当たり前」という言葉に、気持ちが軽くなったママもいらっしゃるのではないでしょうか。仕事も子育ても長く続いていくものだからこそ、適度に緩みながら、毎日を過ごしていけるといいですね。

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