格式あるホテルでまさかの屈辱!?
目的地のホテルに到着し、チェックインのために私がフロントへ向かいました。受付の男性スタッフに予約名を伝えると、なぜか彼の表情が曇り……。
「あー……少々お待ちください」と言い、チラチラと私を見ながらパソコンを操作し明らかに怪訝そうな態度。すると男性スタッフが「予約が……入っていませんね」と言うのです! 私は男性スタッフの言葉に動揺し「日付を間違えた?」とも思ったのですが
、そんなはずはない! 結婚記念日を間違うわけがありません! それに楽しみだった私は何度も予約のメールを確認していたのです。
私が「そんなはずありません! 予約メールも確認済みですし、こちらに番号も……」とスマホの画面を見せると、フロント係の男性スタッフは値踏みするような視線で「当ホテルでは経済的に余裕のない方のためのプランはございません」と鼻で笑いました。さらに男性スタッフは祖父母を見て露骨に顔をしかめ、「ロビーはご宿泊のお客様専用でして……」と嫌味ったらしく言いました。私が「家族です」と遮ると、男性スタッフは「ドレスコードがございまして、貧乏人丸出しの服装のお客様はご遠慮いただいております」と吐き捨てるように言うのです!
こんな露骨な差別ありえない! 怒りが収まらない私は「あなたの名前を教えてください」 と伝えた瞬間——!
登場したのは“ホテルのオーナー”!?
背後から「おっ!お待ちしてましたよ!」という男性の声が。なんとその男性は、このホテルの現オーナーだったのです。実は祖父母は、このホテルの黎明期に従業員として働いていたことがあり、オーナーは祖父母の元で修行していたというのです! 祖父母との再会を喜びながらオーナーが話している様子に、ロビーの空気は一変。 オーナーは、ホテルの成長を語る際に必ず祖父母の名前を出すほど、深い尊敬と感謝の念を抱いているのです。
この様子を見て震える受付の男性スタッフ。私達がオーナーの大事なお客様と知って大慌てなのでしょう。スタッフが青くなってカタカタと震えていると、祖父母とオーナーがこちらに向かってきました。そこで私は男性スタッフの暴言を暴露することに!
すると尊敬する祖父母の孫である私たち夫婦が、自分のスタッフに侮辱されたと知り表情が一変!オーナーは「お前、何をやっているんだ!? この方々はわがホテルにとって最上級のVIPだぞ!」と怒鳴りつけます。スタッフはその場で硬直し、言い訳もできない様子で震え上がっていました。
大逆転!さらに私たちは……!
動揺する男性スタッフを見たオーナーは、さらなる事実を明かしました! 実は男性スタッフはある建設会社の息子で、親がオーナーの友人ということでコネ入社したというのです。そして、その建設会社というのがアキラと関係があって……。
するとアキラが「実は君のお父様から、うちの会社への融資依頼が来ていたんですよ。しかし、こういう身内がいる会社にはちょっと……融資は白紙にさせてもらいます」とひと言。 この発言に男性スタッフは真っ青! 続けてオーナーが「接客態度も最悪で、宿泊客からクレームが入ると自分に都合の悪いレビューは削除しているようだしな。他の従業員からも、横暴な態度を取られたとか仕事を押し付けられたって苦情が数多くあがっていて限界だったんだ!」と男性スタッフの面倒は見切れないと突き放すのでした。
そしてオーナーが私たちに向かって「こんなことをさせてしまって、本当に申し訳ない。全責任は私が取ります」とひと言。私たちは特別室に案内され、豪華な料理と上質なサービスで、思い出深い結婚記念日旅行を満喫することができました。
その後、私は……
その後、オーナーから聞いた話では男性スタッフは解雇され、親からも勘当されたと聞きました。頼るあてもなく1人になった男性スタッフは、遠方の工場で住み込み労働中だとか……。
その後、私はというと妊娠が判明! 「実はね……赤ちゃんができたの!」と報告すると祖父母は大喜び。そしてこの知らせを聞いたホテルのオーナーからは、出産祝いとして再びホテルディナー券をいただき楽しみがいっぱいです!
◇ ◇ ◇
立場や肩書、見た目だけで人を判断し、見下すような態度には、本当の信頼も敬意もついてきません。損得で人を選び、上から目線で接するような人には、やがて誰も寄りつかなくなるでしょう。人を見下すのではなく、尊重する気持ちを持つこと。それこそが、人との繋がりを育てる本当の豊かさをつくるのでしょう。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。