「ウエカツの目からウロコの魚料理」
元漁師、元水産庁職員と異色の経歴を持つ、魚食普及人・上田勝彦さん。「ウエカツさん」という愛称で知られています。
そんなウエカツさんの著書、東京書籍『ウエカツの目からウロコの魚料理』はいわゆる「レシピ本」ではありません。
「魚の料理を“しくみ”でとらえてもらうための学習・実践ガイド」であり、魚の旬や下処理、調理法、レシピまでの基本のすべてが解説されているまさに“目からウロコ”の本。
こちらに掲載されていた「自宅の魚焼きグリルで塩焼きをおいしくするコツ」を参考に魚を焼いてみましょう。
ウエカツさん流「魚焼きグリルで塩焼きをおいしくするコツ」
材料(すべて適量)
・魚(お好みのもの)
・塩
今回はいわしの丸魚を用意しましたが、切り身でも同じ方法です。
コツ①塩の振り方
表面の塩気はちょうどよいのに、食べ進めるうちに、しょうゆが欲しくなることはありませんか?これは「二段塩」という方法で解決できるそう。
海の魚の場合は、全体にまんべんなく薄塩をなでつけて、10分ほど置きましょう。
そして、焼く直前にもう一度塩を振って焼きます。切り身もこの方法で良いそう。
ただし、川魚の場合は塩の通り方が早いため、振り塩をしたらすぐに焼いてください。
コツ②グリルの事前準備
書籍では上面から火が出て「水を張らない」タイプのグリルで説明されていました。
焼くときには魚を入れてから火をつけるのではなく、事前に1分間の空焼きをするのが良いそう。
これはグリル内部の湿気を飛ばすためです。湿気があると加熱スピードがゆっくりになり、魚が崩れる、身が網にくっつく原因になるのだとか。
水っぽくなって生臭みが出たり、水分とともに旨みが流失したりする場合もあるとのことです。
※上面から火が出て「水を張る」タイプのグリルは、まずトレイに水を入れてから、火をつけて1分ほど空焼きします。そのあと魚を入れて焼き始めてください。
コツ③魚の焼き方
まず、表にしたい側を強火で乾くほどに焼きます。加減がわからなかったのですが、この時は焦げ目が付かない程度に焼きました。
その後、裏にひっくり返して、中火でじっくり焼きましょう。今回は約6分焼きました。
写真では皮の一部が破れていますが、網にくっついたわけではなく、菜箸によるものです。
火が通ったかなと思ったら、表に戻して最後に香ばしく焼きあげてください。
表面は最初と最後に焼くだけなので、全体の焼き時間の7割は裏を焼いている感じです。
「表チョイ・裏7・残り焼き上げ」の流れで焼けば、網に身がくっつくこともないのだとか。
確かに、網にまったくつかずに仕上がりました!
※「両面加熱」タイプのグリルの場合は、裏返す必要がありません。焼き上がるまでに3回程度、切り身ないし魚体をゆりかごのように揺らして、網から身を離してやることによって、網へのくっつきを解消できます。
【実食】ふっくらおいしい焼き魚
なんときれいな焼き加減なのでしょう。
表面はパリッと香ばしく、ほんのりときつね色に焼き上がっています。
塩の量が多かったのか、表面はやや強めの塩気。ですが、中はちょうどよい塩梅で、しょうゆが欲しくなることもありませんでした。
身はふっくらとして、箸を入れるとほろりとほどけるやわらかさです。
魚の旨みがしっかり味わえて、ご飯がどんどん進む味わい。これは確かに「目からウロコ」の焼き魚です。
【徹底比較】普通に焼いた魚とどう違う?
ウエカツさん流の焼き方とそうでない焼き方の仕上がりには、どう違いがあるのか比べてみましょう。
自己流の焼き魚は、焼く直前に塩を振り、裏にしたい側と表にしたい側をそれぞれ中火で6分焼きました。
見た目にはふっくら仕上がっているようにも見える自己流の魚。両面じっくり焼いたせいで、途中で皮が破れ、脂がグリルにどんどん流れてしまいました。
脂の多い青魚だけあって、それなりにふっくらした仕上がりですが、もし脂の少ない魚であれば、パサパサしていたかもしれません。
また、直前に塩を振ったせいで、塩気は薄め。表面は良い塩加減ですが、ムラのある印象です。
ウエカツさん流の魚の方が見た目にも美しく、香ばしさ、やわらかさともに上回っていましたよ。
合言葉は「表チョイ・裏7・残り焼き上げ」
今まで苦手意識のあった焼き魚。ウエカツさん流の焼き方を体得したので、これからは失敗せずに調理できそうです!