突然の裏切り
B子とデートの約束をした日のこと、僕は急に彼女から別れを切り出されました。「急に別れようだなんて。どうしてだよ?」と問い詰める僕に、彼女は冷たくこう言い放ったのです。
「だって、あなた浮気してるんでしょ? 仕事も人任せで役立たずだから、私と結婚して次期社長になる器じゃないって。私みたいな社長令嬢にはふさわしくないのよ」
僕は驚き、全力で否定したのですが、彼女は聞く耳を持ちません。どうやら、同僚のC男があれこれと嘘を吹き込んだ様子。彼女はその嘘をすっかり信じているようです。
さらに彼女は、「私、C男さんと付き合うことにしたから」と発言。僕は心の中で怒りながらも、ひとまずB子と解散し、翌日、C男の元へ行きました。
「なんであんな嘘をついた! お前、B子のことが好きだったのか!?」
するとC男は、「お前のことが嫌いだからだよ」とニヤリ。
「彼女を奪ってやればスッキリするかな~って。B子も生真面目なアンタにはあきあきだって。それに、お前が作った企画書がほしかったらB子にパソコンのパスワードを聞いたら、すぐに教えてくれたよw」
なんと、C男は僕のパソコンから企画書を盗み、自分が作ったものとして上司に提出していたのです。しかも、その企画書を上司は大絶賛。手柄を取られたことを知った僕は、ショックで言葉を失いました。
新たな出会いが!
何もかもが嫌になった僕は、A社を辞めることに。弟が経営する郊外のレストランでアルバイトを始めました。
生活に必要な最低限のお金しか稼げませんが、嫌な同僚はいません。新たな環境で前向きな気持ちを取り戻そうとしていたそんなとき、僕はレストランの駐輪場で、女性が倒れ込んでいるのを発見します。彼女の名前はD子で、日本一周の自転車旅をしているのだとか。財布やスマホの入ったリュックを落とし、空腹で困っているというのです。
「おなかが空いているなら、まかないでも食べていってください」
彼女は僕の作ったまかないを食べながら、自転車旅の理由を話してくれました。
「自分の人生を見つめ直すために始めたの。自転車旅ではいろいろな人との出会いがあって、とてもいい経験よ」
僕は彼女の力強い言葉とキラキラした瞳に心を打たれ、自分も「他人に振り回されるのではなく、自分の人生を生きる」ことを決意。その後もD子と交流を深めた僕は、彼女に惹かれていき「僕と付き合ってください!」と告白。僕たちは恋人同士になったのです。
高級タワマンで偶然の再会
会社を辞めてから3年後、婚約した僕とD子は親へのあいさつも済ませ、2人でとあるマンションに引っ越しました。ある朝、マンションの前でD子を待っていると、なんとC男とB子にバッタリ遭遇してしまったのです。
「お久しぶり、負け犬さん。私たち結婚して、ここに住んでいるのよ~」
「お前が会社を辞めて以来だな! こんなところでなにしてるんだ? ここは、A社の次期社長夫婦である俺たちみたいなセレブが住むところだぞ」
僕が黙っていると、彼らは勝手にこのマンションの1室を買ったばかりなのだと自慢を連発。面倒なことになるので言いたくありませんでしたが、しつこく絡んでくるので、僕は本当のことを言うことにしました。
「いやあの……。僕も、ここに住んでいるので」
「はぁ? フリーターがこんな高級タワマンに、住めるわけねぇだろ!」
するとそこに、D子がエレベーターから降りてきました。
「お待たせ! あら、お知り合い? いつも夫がお世話になっています」
僕がD子を紹介すると、2人は「夫!?」と目を白黒させています。
「D子さんのような方が、どうしてこの負け犬と結婚!?」
D子の正体とは?
そう、D子は、このタワマンのオーナー企業の社長令嬢兼建築家なのです。A社など比べものにならないくらいの大企業ですが、「社長令嬢として見られることが嫌だ」という理由から、交際するまで僕にも素性を隠していました。
ただ、彼女はマンションのパンフレットにも顔写真付きで登場しているため、B子とC男は気がついたよう。C男は僕が大企業の社長令嬢と結婚することが、相当悔しかったようです。
「お前ばっかりいい目を見るんだよ! 大企業の社長令嬢でおまけに美人。B子じゃなくて、こっちを奪ってやればよかった」
これにはB子も激怒。喧嘩を始めた2人を残し、僕たちはそそくさとその場を後にしました。
それから1年後、ウワサによると、A社は経営が悪化し大変なことになっているそう。いつの間にか、B子とC男はこのマンションを売って、よそに引っ越したようです。
一方の僕は、無事にD子と結婚。今はレストランを辞めて義父の元で会社経営を学んでいます。将来的には社長を任される予定なので、今まで以上に一生懸命頑張っていこうと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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