夫も最初のうちは育児に積極的で、一緒にミルクをあげたり、おむつを替えたりしてくれていました。でも夫は早々に育児をやらなくなってしまって……。
「俺、子育てに向いてないと思うんだ」
子どもが1歳を迎えたころ、夫は育児から完全に手を引くようになってしまいました。
「おむつ替えておいて」と声をかければ、「無理だってぇ~」と冗談のように笑い動こうとせず、泣いている息子を抱っこしてほしいと頼むと「俺、子育てに向いてないと思うから」と、息子を放置したままにするのです。
私は家族みんなの食事作りや息子たちの寝かしつけ、夜泣きにも一人で対応する毎日。
その横で夫は、ソファに寝転がりながらゲームばかりしていました。
突然の入院、そして夫のひと言
ある日、買い物帰りに車と接触し、打撲で一週間の入院が必要になりました。
夫に何度電話をしても出ないので、仕方なくタクシーで一旦家に戻って入院の準備をしていると、私を見た夫が目を丸くしました。
「どうしたの!? その足!」
少しだけ、心配してくれたのかと思いましたが、次の瞬間、
「え、入院? 子どもも連れていくよな……?」と不安そうに聞いてきたのです。
私の心配よりも、自分のことしか考えていない夫に、心の中で何かが静かに崩れ落ちるのを感じました。
夫に「離婚したい」と伝えたら
私は両親に電話をかけ、事故のこと、そして夫のことをすべて話しました。両親はすぐに迎えに来てくれて、息子たちを預かってもらえることになりました。
そして私は家を出るとき、「この機会に、離婚したいと思ってる」と伝えました。
その言葉を聞いた夫は、顔色を変えました。
「ごめん! 全部、俺が悪かった。ちゃんとやるから、もう少しだけ時間をくれ」と反省している様子。私は答えず、そのまま入院しました。
育児をしない夫、その後……
それからの夫は変わりました。
私が入院している間に、育児書や家事の本を買い込み、動画を見ては練習し、自分の力で子どもたちの面倒を見ようと、懸命に動き始めたようです。
私は退院後、実家に戻り、両親の手を借りながら子育てをしていました。
けれどその間、夫は「また4人で暮らせないか? お願いだから、考え直してほしい」と何度も連絡をしてきたのです。その言葉に、以前のような軽さは感じられませんでした。
私は迷いましたが、夫の変わろうとする気持ちをもう一度信じてみたいと思ったのです。私は息子たちを連れて、家に帰りました。
私の父に「双子でこんなに手がかかるのに、これまで全然育児をしていなかったなんてありえない! 次娘と孫を大切にできなかったら、許さないからな!」ときつくお灸を据えられた夫。
退院後は、私が怪我でできない家事を全部先回りしてやってくれるようになり、息子たちと積極的に関わるようになりました。一度は離婚を考えましたが、夫を信じてみたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。