その母親・A子はいつも派手な服に大ぶりのアクセサリー、香水もかなり強めなシングルマザーです。立ち話をすれば、自慢話が始まるので、苦手でした。
派手なシングルマザーとの出会い
ある日、幼稚園のお迎えでA子が近づいてきて、こう言いました。
「あなたの旦那さん、大企業の部長さんなんですって!? すごいわねぇ!」
「なぜそんなことまで知ってるの?」と驚きましたが、私は笑顔でその場を離れました。
たしかに夫は大企業の部長です。外から見れば、立派な人に見えるでしょう。でも現実は違います。
誰にも言えない夫の本性
夫はギャンブル好きで、休日は朝からパチンコや競馬、平日は日付が変わるまで毎晩のように飲み歩きます。娘とちゃんと向き合ったことなんて、指折り数えられる程度です。娘の誕生日も覚えておらず、プレゼントをあげたこともありません。いつも家にいない夫は、娘にとって「他人同然」でした。
ある日、知らない番号からの電話に出たところ、「奥様ですか? 旦那様の件で……返済が滞っておりまして」と言われ、夫の借金が発覚。このとき、「離婚」という言葉が頭に浮かびました。
スーパーで目撃した決定的瞬間
とある週末、娘とふたりでスーパーに行ったときのこと。
駐車場で、見覚えのある車が目に入り、思わず立ち止まりました。
車から降りてきたのは、なんと夫とA子。
ふたりは恋人のような距離感で歩き、A子さんは私に気づくと、娘を見てニヤリと笑って「パパ、もらっていい〜?」と聞きました。
私は言葉が出ず、その場に立ち尽くしてしまいました。
すると娘が、私の手をぎゅっと握りながら、「いいよ! パパ、いつも家にいないもんね!」と言いました。
「はい喜んで!」と笑顔で
その夜、夫が少しバツの悪そうな顔で帰宅し、口を開きました。
「離婚してくれないか?」
私は、ずっと胸の奥にあった重たい何かが取れたような気がして、思わず「はい喜んで!」と晴れやかな笑顔で答えました。
後日、正式に離婚が決まりました。私は慰謝料というかたちで、ふたりからきっちり責任を取ってもらいました。
A子と夫はすぐに再婚したそう。その後しばらくして、A子から着信がありました。どうやら夫の借金のことを結婚後に初めて知ったようですが、私には関係ありません。
夫の肩書きに目が眩み、慰謝料も養育費の支払いもある貯金ゼロのギャンブル好き男を引き取ってもらってよかったです。
私は娘と実家の近くへ引っ越し、両親に支えられながら新しい生活を始めました。夫のいない生活は思っていた以上に快適で、娘も笑顔で過ごせています。すぐに見切りをつけて正解だったと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。