安定期目前に起きた“義家族の素顔”
妊娠を知ったリュウタは涙ぐみながら喜んでくれて、ふたりでそっと喜びを噛みしめていました。 しかし、リュウタの家族にはある“事情”があったのです。義母は、女の子を切望していたのですが第1子がリュウタだったことでがっかりし、妹のレイナさんが産まれてからはレイナさんばかりを溺愛していたのです。
リュウタは母親からほとんど愛情をかけてもらえなかったようで、お世話をしてくれたのは義父だったそう。 そんな義母とレイナさんに私は以前から苦手意識があり、妊娠報告もまずは義父に伝えることにしました。すると義父は「おめでとう!無理するなよ」と優しく言葉をかけてくれました。義父の言葉に、心がほっとしたのを覚えています。
その後、帰宅した義母とレイナさんにも報告したのですが「へぇ〜、だから?」「随分と時間がかかったのね〜」と驚くほど冷たい反応。しかも「レイナが玉の輿に乗るかも♪」と、妊娠報告を無視し、まったく関係のない話で盛り上がる始末! リュウタも肩を落として「気にするなよ」と私を気遣ってくれました。この様子に私は「この家族、やはり少しおかしいのかもしれない……」と思い始めました。
陣痛中なのに「顔合わせに来なさい」!?
ある日、リュウタが困った表情で「レイナが富豪と婚約したらしい。3日後に顔合わせをするから、母さんが2人で来てって」と気まずそうに告げたのです。そのころ私は、いつ出産してもおかしくない状態だったため、リュウタに1人で出席してもらうことに。
そして迎えた顔合わせ当日。リュウタを見送った後、私はひとり自宅で安静に過ごしていました。すると鈍いおなかの痛みが断続的に続き、お腹の張りも強くなってきました。「まだ前駆陣痛かもしれない」そう思っていた矢先、スマホが鳴ったのです!
電話の相手は義母でした。電話に出ると「ちょっと!なんで顔合わせに来ないのよ! 今すぐ来なさい!!」と怒鳴り出したのです! 私が「えっ!? 陣痛が来てるんです、今は動けません……!」と伝えても、義母は「陣痛なんてすぐに産まれるわけじゃないでしょ! 」と言い、一切取り合おうとしませんでした。 「来なかったら嫁いびりしてやるから。あんたの子どもにも、一生嫌がらせしてやるからね!」と脅し始める始末。
陣痛に耐えながら私は冷静な判断ができず、タクシーで指定された料亭へ向かいました。
まさかの救世主登場でまさかの展開!
料亭に着くと、「なんで来たの!? 陣痛が来てるんじゃ……!」と慌てるリュウタ。私は「義母さんから電話がきて……来なきゃ嫌がらせするって……」と報告しました。
するとレイナさんが現れ「義妹の顔合わせに遅刻してくるなんてサイテ~!」と言い放ったのです。さらに義母が「遅刻なんてだらしないですよね~! じゃあ顔合わせを始めましょうか!」と嫌味を連発! すると私の様子を見て、すぐにただごとではないと察したのは、婚約者のマモルさんとそのご家族でした。
マモルさんの母が「あの……妊娠されてるんですよね? 予定日はいつなの?」と声をかけてくれたのです。私は「はい……予定日は明日なんです」と答えると驚くマモルさんの母。マモルさんの母が「この状況でなんで来たの!?」と聞くので、私は痛みで朦朧としながら、義母に脅迫されて来るしかなかったと説明しました。
マモルさんの母の顔色がかわり、私をそっと支え「落ち着いて、大丈夫。私は助産師です。今すぐ病院へ向かいましょう」というのです! マモルさんの母の的確な指示のおかげで、私は病院へ。その後、無事に病院に到着し私はそのまま出産に臨みました。数時間後、無事に出産! 駆けつけたリュウタと義父も感極まり、赤ちゃんを抱いたリュウタが「よく頑張ったな」と声をかけてくれました。
そして義家族、崩壊へ……
一方、病室の片隅にいた義母とレイナさんに向かいマモルさんの母が厳しい表情で「お嫁さんにこの仕打ち……あなた方は一体、何をしているのですか?」と詰め寄ります。そして婚約者のマモルさんは「婚約はなかったことにしてください」と言い放ったのです。義母とレイナさんの玉の輿計画は、あえなく崩壊しました。 義父も「もう我慢できない。お前たちとは縁を切る」と宣言するのでした。
後日、義父は正式に離婚を成立させ、私たち夫婦と二世帯住宅での暮らしを始めました。 孫の誕生を何より喜んでくれた義父! 子育ても手伝ってくれる優しい義父の存在は、心強く幸せな生活を送っています。
◇ ◇ ◇
「家族だから」といって、何をされても我慢しなければいけないなんてことはありません。おかしいと感じたら、助けを求めることも立派な“守る行動”です。どんなときも、自分の心と大切な人を守る選択ができると良いですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。