夫にプロポーズされたとき、私は相当悩みました。結婚を迷う私を見て、自分が浮気しないか心配されていることに気づいた夫。絶対に浮気しないと誓約書を書き、誠意を見せてくれました。紙切れ1枚で心が制御されるとは思いませんでしたが、私は夫がそこまでしてくれたことを素直に喜んでしまったのです。
本当に夫が心から悔い改めて、もう二度と私を裏切るようなまねをしないと言うのなら、信じてみよう。そう思って、結婚に踏み切ったのですが、結婚してたったの2年で、夫の誓いを信じられなくなってしまったのです。
メッセージの誤送信で疑いが確信に…
最近夫は、休日出勤が多くなりました。夫の服のポケットから、妙なレシートを見つけたことも。夫は仕事で使った店だと言いましたが、行列ができる女性に人気のカフェで仕事の打ち合わせなんて、あり得るのか……。夫への疑いが強くなっていたところ、とうとう事件が起こりました。
ある夜、お風呂から慌てて上がってきた夫。びしょびしょのままリビングにやってきて、「携帯に何か送られてきたか?」と聞いてきます。私が何も送られてきていないとすっとぼけると、夫はあからさまにホッとした顔をしました。
実はその直前、私に誤爆メッセージが届いたのです。内容は、絵文字を多用した愛のメッセージと、夫が見知らぬ女性ととても親密そうに寄り添っている写真。私は、夫の不倫を確信しました。
今すぐにでも詰め寄りたい気持ちでしたが、たった1枚の写真では動かぬ証拠にはなり得ません。もっとたくさん、絶対に言い逃れできない確実な証拠を集めなければ……。
そこで私は、夫が慕う兄に協力を仰ぎ、夫を追い詰める作戦を立てました。
夫がデート中のレストランへ突撃♪
兄に夫からうまく情報を聞き出してもらった私は、夫の不倫現場へ突撃。動かぬ証拠を直接、現場でつかむ作戦です♪
「久しぶり! もしかしてデート中?」
偶然を装った私は、まずデート中の夫の席へ近づき、幼馴染のフリをしてあいさつ。夫は驚きのあまり絶句、混乱している様子でした。
不倫相手から私が誰なのか聞かれた夫ですが、言葉に詰まって声も出せない状態になってしまいました。それをいいことに、私は不倫相手と会話を続けます。何も知らない彼女は、個人情報丸出しで、いろいろ話してくれました。
彼女は、夫の会社の取引先の社員で、一緒に仕事をしたのをきっかけに夫から食事に誘われて、付き合い始めたと言います。デート中に撮った写真もたくさん見せてくれて、それらを投稿しているSNSまで教えてくれました。おかげで、私はたくさんの証拠をゲット。夫は俯いて青ざめていました。
私が聞きたくもない彼女のノロケ話に耳を傾けていると、さらに衝撃の事実が判明。なんと夫は、既婚者だということを隠して彼女と付き合っていたのです。それどころか、恋愛経験が少なく、女性が苦手だなんてウソまでついていました。そのため、彼女は夫のことを『自分だけを愛してくれるとても誠実な人』だと思っていたのです。
話を聞いていたら、だんだんと不倫相手の彼女に対して、同情の念がわいてきた私。夫を今この場で懲らしめようと思っていましたが、何も知らない、ある意味、被害者でもある彼女を巻き込むのはかわいそう……。
そんなことを考えていたら、追加キャストが登場する時間になってしまいました。私は、夫の不倫現場となるレストランで、兄と一緒に食事をする約束をしていたのです。遅れてレストランにやって来た兄とは、もちろん打ち合わせ済みで……?
兄の登場で想像以上の青ざめ展開に♡
兄も、そしらぬフリをして会話に加わってきました。兄は、夫に「偶然だね」と話しかけ、自分は夫の妻である私の兄だと自己紹介をして、夫の不倫相手に「夫とはどういうご関係で?」と尋ねました。
戸惑う不倫相手をよそに兄は、自分に厳しい夫は浮気厳禁と自らを戒めるため、自分に誓約書を預けているのだと話し始めます。その話をされて、絶望したような表情を見せる夫。兄は、『不倫をしたら妻に現金3千万円を一括で支払う』と記された誓約書をテーブルに叩きつけたのです。
夫は、真っ青な顔をして倒れて、不倫相手は「サイテー!」と叫んで、レストランを飛び出していきました。
その後、私たちは離婚。夫とは誓約書をもとに弁護士を交えて話し合い、慰謝料を受け取って離婚が成立しました。誓約書にあった3千万円という金額は、結婚の際に夫が誠意を見せるために記した数字。さすがに法外な金額のため、弁護士を交えて正当な額を話し合い、夫自身が納得して慰謝料はすぐに支払ってもらえました。
そうして、借金で苦労することになった夫ですが、今はもう、どこで何をしているのか私にはわかりません。不倫相手とは、レストランでの一件ですぐに別れてしまったそうです。
不倫相手のほうも、夫が既婚者だと知り、ひどくショックを受けていましたが、彼女は、知らなかったとはいえ私に対して申し訳ないと言い、自分にも償わせてほしいと申し出てくれたのです。
しかし、私は彼女を恨んでいません。むしろ彼女も、ウソをつかれて夫に騙された被害者。彼女の申し出は丁重にお断りして、お互い人を見る目を養って、次の素敵な出会いに備えようと、握手をして彼女と別れました。心から彼女の幸せを願っています。
◇ ◇ ◇
ひそかに浮気心を持ってしまうことはあっても、そこで踏み止まらなければいけません。そこで行動してしまえば、妻のことも、思いを寄せた相手のことも裏切ってしまうことになるのです。今回は、比較的温和な終わり方を迎えましたが、場合によっては全員が疲弊し、ひどく傷つく泥沼化もあり得ます。
妻も、騙されて不倫に至ってしまっていた女性も、心の傷は深いとは思いますが、すぐに前を向く決断ができて素晴らしかったですね。自らを律し自重する心を持って、夫のように人を傷つけないよう、気をつけたいものです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。