義母は、自由奔放というか……本当にマイペースな人で、私たちの部屋に無断で入ってくることもしばしば。注意しても「家族なんだから別にいいでしょ」と笑って取り合わず、夫もいつも義母の味方です。私たち夫婦の距離は、じわじわと開いていきました。
娘の5歳のバースデーに
娘の誕生日、私は娘が欲しがっていたキャラクターグッズを買えるようにと「こども商品券」を封筒に入れて準備したあと、「みんなでお寿司を食べに行こう」と声をかけました。義母が「あら、楽しみね」と答えてくれたので、久しぶりに家族でそろってお出かけができることを期待していたのです。
私はテーブルに封筒を置いたまま、娘を迎えに幼稚園へ。帰宅すると、夫と義母の姿が見当たりません。
ちょうどそのとき、夫から電話がかかってきました。電話越しに、レーンを回る皿の音が聞こえ、回転寿司店にいるのだと察しました。
商品券を勝手に持ち出し
義母は「たまには家族だけでゆっくり食べたいからねぇ」と。夫は「他人の嫁と孫は留守番でもしとけってさぁ~!」とヘラヘラ笑っていました。
……家族だけ?
どうやら、テーブルに置いていた「こども商品券」を食事券と勘違いし、2人で使おうと持ちだしたようでした。確かにぱっと見では商品券に見えなくもありませんが、娘の誕生日のお祝いをしようと話していたのに、約束を破った上に、勝手に封筒を持ちだして使おうとするなんて……義母は夫のことしか「家族」だと思っていないこともショック。あきれて言葉も出ず、そのまま電話を切りました。
母娘で幸せな誕生日会
私は娘にやさしくほほ笑みかけました。
「パパたちは先に食べちゃったみたい。だから私たちは、一番おいしいお寿司を食べようか♪」
そして、近くの高級寿司店に電話し、出前をお願いしました。
届いた寿司桶の蓋を開けると、娘は「わあ〜っ!」と歓声をあげて目を輝かせました。
こうして、娘と2人きりの特別な時間をゆっくり味わうことができたのです。
支払い不能のSOS
その後、夫から再び電話がありましたが、私はスルーしました。
留守電には「なんだよこの券、使えないじゃないか! 現金もカードもないし、母さんもお金持ってきてないって。今すぐ支払いに来てくれ!」と焦った夫の声が残っていましたが、知ったことではありません。
数時間後、夫と義母がなんとかスマホ決済の残高やポイントをかき集めて支払いを済ませ、バツの悪そうな顔で帰ってきました。義母と夫はしぶしぶ「さっきは……ごめんなさい」とつぶやきます。
私は食器を片付けながら静かに言いました。
「もう決めたから。これを機に、離婚したいと思います。これからはどうぞ『家族だけ』で暮らしてね」
夫は黙りこみ、義母は「こんなことで離婚なんて!」と大騒ぎ! しかし、私の意思が固いことに気づいたのか、静かになりました。
後日、弁護士を通じて手続きを進め、親権も養育費も、私の希望どおりに話がまとまり、娘とふたりで家を出ました。
新しい暮らしへ
離婚が成立した日。私は娘と手をつないで、小さなケーキ屋さんに寄りました。
「ママ、きのうもきょうも、たのしかったね!」と笑う娘。
「うん、これからはもっと楽しくなるよ」
私はほほ笑みながら娘の髪をなでました。
もう誰かの顔色をうかがって生きるのは、やめよう。私たちは、私たちらしく。ささやかでも誠実な暮らしを、少しずつ積み重ねていく――そう、心にそっと誓いました。
夫と義母に振り回されたり、配慮なく傷つけられたりする生活から解放され、今はすごく幸せです。私や娘を大切にしてくれない夫と別れてよかったと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。