ライバルを減らしたいってこと…?
特にAの長男はスイミングに熱中していて、将来の夢は水泳選手と言うほど熱心です。わが家の長女も努力するAの長男に感化され、スイミングを頑張るように。
するとある日、Aから電話があり、「ねえ、長女ちゃんスイミングいつまで続けるつもり?」と少しイライラしたような声で聞かれたのです。長女はスイミングを始めてまだ半年だったので「え? どういう意味?」と驚きながらも「クロールができるようになって長女は喜んでいるし、しばらくは辞める予定はないよ?」と伝えました。
話を聞くと、わが家の長女がスクールに入会してから、Aの長男がスイミングに行きたくないと言っているようなのです。うちの長女はおっとりしており、人に意地悪を言うタイプではありません。しかし、私は念のためと思い「ごめんね、長女が何かしちゃったかな?」と聞くと「そういうわけではなんだけど……」と歯切れ悪く答えるA。「ただ、長女ちゃんがうちの長男より速いタイムで泳げるのが悔しいって言っててね……」と言ったのです。Aの息子は負けずぎらいで、自分より速く泳げるうちの長女の存在に、自信をなくしてしまったそう。私は身勝手な理由でうちの長女に早く辞めてほしいと思っていることに驚き、絶句してしまいました。
しばらく無言の間が続いたあと私は意を決して、「どうしてうちの長女がスイミングを辞めないといけないの? 悔しい気持ちはわかるけど、選手になりたいっていう夢があるんだよね? なら、どんな相手とも戦わなきゃ」と反論すると、Aも「そうだよね。長男がすごく落ち込んでるからって、なんでこんなこと言っちゃったんだろう……。私、どうかしてた……。ごめんね」と謝ってくれましたが、私はどこかモヤモヤが晴れませんでした。自分の子どもが挫折しているからといって、ライバルを辞めさせようというのはAらしくもありません。
後日、Aとゆっくり話す機会を作り聞いてみると、Aの長男はうちの長女が入ったころからタイムが伸び悩み始め、自分のできる努力をスクールでも家でも続けていたけれども、それもなかなか実を結ばなかったと話してくれました。そして、日に日に落ち込んでいく長男を見かねたAは、焦ってあんなことを言ってしまったそう。私はAを励ましつつ、「ライバルがいなくなったところで、長男くんが速く泳げるようになるわけではないよね? 先生にちゃんと相談して見守って励ますのが、母親としてできることじゃないのかな?」と話すと、Aは「そっか……。私も長男といっしょに成長するときなのかも。あんなこと言ったのに、話を聞いてくれてありがとう」と和解。その後少しずつAの長男も立ち直り、長女と切磋琢磨しています。
子育て中は誰しも、わが子中心の考えになってしまいがちなのかもしれません。そして自分の子が打ち込んでいるもので、他人に負かされると親もつらいものです。しかし、自分の子のためにほかの子を蹴落とすようなことをするのはよくないと思います。そのことをていねいに話すと、きちんとわかってくれたA。また誰かとトラブルになりそうになったときは、今回のようにきちんと話をして和解できるといいなと思った出来事です。
著者:丘エリ/30代・自営業。3歳と6歳、9歳の元気な3姉妹を育てる母。夫婦共働きで家事シェアを進めるも、結局ワンオペになることもしばしば。推しのアイドルを日々の癒しとしている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年3月)
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