ある日、突然の事故で義父が亡くなり、義父が経営していた会社を夫が継ぐことになりました。最初こそ張り切っていた夫ですが、経営の大変さを思い知り、ストレスから次第に私や娘に八つ当たりをするように。
家の雰囲気はどんどん悪くなり、私は働きながら、家事も育児も完全にワンオペ状態になったのです。趣味の絵を楽しんでいる余裕などなくなりました。
会いたくなかった人物と再会
そんな毎日に疲弊していたころ、私は自宅の前で突然、ひとりの女性から声をかけられました。声をかけてきたのは、何年も会っていなかった私の幼なじみ。どうやら彼女は、夫が社長になったことをどこかで聞きつけたようで、幼なじみとして、夫にあいさつをしたいと言ってきたのです。
「何かたくらんでいるに違いない……」私は直観的にそう思いました。彼女は私の地元では有名な地主の孫で、昔から私のことを「貧乏人」とバカにしていた人物。私は関わりたくないと思い、彼女を適当にあしらって家に入りました。
その数日後、夫の様子が明らかにおかしいことに気がついたのです。わざわざお風呂にスマホを持ち込み、コソコソと電話。そっと聞き耳を立ててみると、「早く会いたいなあ。次のデート、どこにする?」と、デレデレの夫の声が……。
『浮気してる』
私は夫の浮気を確信しましたが、確かな証拠を掴むことができず、モヤモヤした日々を過ごしていました。
夫から衝撃のメッセージ
夫の浮気の証拠を掴む方法を考えていたある夜、夫から一通のメッセージが届きました。メッセージを開くと、そこには夫と幼なじみのツーショット写真が! 私は驚きのあまり言葉を失っていると、今度は電話が鳴りました。
「もしもし〜? 写真見た? 私たち付き合っているの! 貧乏人のあんたが経営者と結婚なんて、生意気だから奪っちゃった♪」
夫からの着信でしたが、電話をかけてきたのは彼女でした。私は激怒して、すぐに夫に電話を代わらせて問い詰めましたが、夫は当然のように「彼女と再婚するから離婚してくれ!」と言ったのです。そして、再び彼女に代わって「貧乏人は貧乏人らしく、子どもと一緒に底辺の生活にお戻り♪」と言われ、電話を切られました。
腹立たしい2人の態度にあきれ果てた私は、離婚を了承。弁護士を交えて、慰謝料と養育費は一括で支払うということで話がまとまり、私たちは離婚。
私は娘と新たな生活をスタートさせました。今までの描き溜めていた絵をSNSに投稿したところ、友人が経営しているカフェで飾りたいからと、いくつかの絵を買いたいと申し出てくれたのです。これをきっかけに、絵を仕事にしたいと思った私は、思い切って転職。家で仕事ができるようになり、時間の融通もきいて、前よりも稼げるようになりました。
娘のためにコツコツお金の勉強もして、資産を少しずつ増やした私は、離婚から3年経ったころには、娘と高級マンションで暮らせるほどになったのです。
私を裏切った2人の末路
離婚前のことなんてすっかり忘れて、娘と平穏に生活していたある日、マンションの前で偶然、元夫と幼なじみに遭遇しました。
マンションから出てきた私に驚いて、「どうしてあんたなんかがこんな高級マンションにいるの!?」と、詰め寄ってきた元夫と幼なじみ。私が離婚してからの3年間のことを簡単に説明すると、なんと元夫は幼なじみの前で、私に復縁を要求してきました。
再婚してすぐ、元夫の会社の経営がガクッと傾いてしまったそう。しかし、なんとかなるだろうと楽観的だった元夫は、幼なじみに求められるがまま贅沢な生活を続けていたと言います。慰謝料と養育費を一括で支払ったため、すでに余裕はなかったはずなのに、現実から目を背けて、借金までしていたのです。
「会社は今にも潰れそうなんだ……」と私に愚痴をこぼす元夫。幼なじみは、今の今まで元夫と会社の事情を知らなかったそうで大激怒。その場で2人は取っ組み合いを始めました。マンションの住人が通報したようで、警察が来るほどの大騒ぎに。
その後、2人は離婚したそうです。幼なじみは、贅沢な暮らしを求めて実家に戻ったようですが、ご両親に甘えるなと追い出され、ひとり暮らしをしているのだとか。しかし、ほとんど働いた経験のない彼女は、仕事が続かず苦労しているようです。
元夫は、ついに会社を潰してしまい、多額の借金を抱えて、大変な生活をしているそう。いくつものバイトを掛け持ちして、借金返済のために働き詰めだと聞きました。
一方、私はというと、忙しくも楽しく充実した日々を送っています。好きなことを仕事にできて、本当に幸せです。娘も、私の仕事を応援してくれていて、お手伝いも積極的にしてくれます。これからも、親子2人で協力して生きていきます。
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どん底に思える出来事も、人生の転機となることがあるのですね。夫に裏切られて、幼なじみにバカにされても、前を向いて頑張る姿勢は、本当に立派でした。これからも、娘さんと2人で幸せに暮らしていってほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。