「どうして家に入れてくれないんですか!」と言うと、「本当に役に立たないわね……ちょっと頭を冷やしてきたらどう?」と義母。
義母は、毎日家にいる私にイライラしていたそう。私は毎日在宅で仕事をしているのですが、義母は"家事もしない、自室でグータラ適当に仕事している嫁"だと思っていたようです。
「家にいるくせに、家事もろくにやってないんじゃ話にならないのよ」「毎日満員電車に揺られて通勤している息子のことも考えてちょうだい! 家に帰ってから家事までやらされて、なんてかわいそうなのかしら」と義母。
膝が痛い義母に代わって家事をする、ということが決まった段階で、夫とは話し合って家事の分担を取り決めました。在宅の私のほうが家事の割合は多くなっています。
それでも、「あの子はやさしいから、あなたに強く言えないだけなの。だから私が代わりに言ってあげるの」「嫁なんだから、家事は全部あなたがやるのが当然でしょ。昔はそうだったわよ」と言ってきた義母。
そして、義母は外の私に向かって、玄関の横の窓から離婚届を差し出してきました。
「息子にあれこれさせるなら、離婚してもらうしかないわね。これ、そういうことだから」
投げられた離婚届には、すでに夫の字でサインがされていて……?
家事分担に不満を持っていた夫
これ以上は近所迷惑になるだろうと思い、家のそばを離れた私。街中に向かう途中で、夫に電話をかけて状況を説明しました。
すると、「前々から母さんには愚痴られてたんだ」「今回はお前が謝ってくれないか?」と言い出した夫。
「『これから家事は全部私がやります』『夫には家事をやらせません』って言うだけだろ?」
そんなことを言ってしまったら、今後私がすべての家事を担わなくてはならなくなります。
「ちょ、ちょっと待ってよ、そんなこと言えないよ!」「今でさえ、仕事の両立が大変なのに! 本当はあなたにももう少し手伝ってほしいくらいなのよ?」と言うと、「実はさぁ」と切り出した夫。
「前々から思ってたんだけど、正直、仕事から帰ってきて家事までやるのはしんどいんだよ。お前のほうが在宅で時間あるし、自然と任せたほうがいいかなって」「在宅仕事は通勤もないし、好きな時間に働いて休憩できるんだし、ラクだろ?」「母さんは昔から一度も父さんに家事をやらせたことないし、本当はこれが夫婦の正しいやり方なんじゃないか?」
義母は専業主婦だから、すべての家事をすることが可能だったのでしょう。今は時代も違いますし、私だってキャリアを諦めたくありません。
「そんなの、夫婦それぞれじゃない? 私たちは私たちのやり方でやっていきましょうよ」と言っても、「いいや、やっぱり男が家事をするなんておかしい! 俺は父さんみたいにどっしりと構えていることにする!」「だから、これからはお前が家事を全部やってくれ」と聞かない夫。
離婚届は義母が「嫁に言うことを聞かせるために使う」と言って持ってきたのだそう。義母の計画を聞いて、夫は「家事をしなくて済むなら」とサインしたそうです。
「頃合いを見て帰って、母さんに謝りなよ」「できないなら、母さんの言うとおり、離婚するしかないよな……」と言ってきた夫に、私は言葉を失ったのでした。
嫁を無料の家政婦だと思っていた義母と夫の末路
数時間後――。
街中のコワーキングスペースでパソコンを借り、仕事をしていると、義母から連絡がありました。
「そろそろ反省はしたかしら? 反省したなら、家に帰ってきて夕飯を作ってちょうだい」と義母。しかし、私はまだ納得できていません。
「私だって夫と同じように働いているので、家事をすべてするのは無理です」「夫との分担に不満があるなら、お義母さんと分担できませんか? 膝が痛まない範囲で構いませんので」と私が提案すると、「嫁の分際でなんてことを言うのかしら!」と義母。
「じゃあ、いっそのこと、家政婦を雇いませんか? 大人4人でお金を出し合えば、十分に足りると思うのですが」と言うと、「家事ごときにお金を使うっていうの!? 家事なんてものは、嫁がただでやるものでしょうが!」「なんて非常識で生意気なの!」
「いい? 嫁は家事が最優先なの。それをすべてやらずに、在宅仕事なんて言って家でだらだらしているなんてありえないわ!」と義母。
「家事は嫁の仕事なのよ!息子にやらせるなんてありえない」
「やらせるなら離婚させるわよ。在宅ワーカーなんだから、離婚されたら困るでしょ?w」
「お義母さん、本当のことお話しますね…」
「は?」
驚く義母に、まず私は離婚届を出しに行くと伝えました。私がいるのは、役所から近いところにあるコワーキングスペース。先ほど投げつけられた離婚届に私がサインすれば、問題なく受理されるでしょう。夫だって、「母さんの言うことを聞けないなら離婚だ」と言っていたので。
「ちょ、ちょっと、待ってよ! 息子と本当に別れるつもりなの!?」と焦り出した義母。私は「はい、提出したらそのまま実家に帰ります」「私の荷物は後日業者に頼むので、それまでそのままにしおいてくださいね」と答えました。
そして「なにをそんなに怒ってるのよ……。たかが在宅仕事でたいした稼ぎもないくせに……」と言う義母に、私は続けました。
「それと、私はそれなりに稼いでいます。一応、年収は1,000万を超えてますから、生活には困りません」
「えっ……!?」と驚いた義母。まさか、私に夫の2倍以上の年収があるとは思っていなかったのでしょう。
「そんなの、息子から聞いたことはないわよ……! 汗水たらして働いてる息子より、家でのんきにしてるあなたが稼いでるなんて、そんなの絶対にありえないわ!」と、義母は困惑しているようでしたが、「そう思いたいなら、どうぞそう思っていてください」と伝えました。
今までは夫の両親として、それなりに義両親に気を遣っていましたが、離婚するならもう関係ありません。
「在宅仕事に理解もないし、家事は全部押しつけられる……そんな生活、私にとっては地獄でしかありません」「夫もお義母さんと同じように思っているようなので、離婚しますね」と言って、私はやり取りを終えて、すぐに離婚届を提出しに行きました。
その後――。
離婚届は受理され、私と夫は他人になりました。
元義母は「あなた、そんなに稼げるなら最初から言ってくれればよかったじゃない!」と連絡してきました。さらに、 「お父さんも暇してるし、月に30万くらいで雇ってもらえないかしら? そうすれば、息子と復縁できるわよ!」と続けました。私が断ると、「それなら私を家政婦として月20万で雇ってちょうだい」と義母。家事はまるで無償でするものだと主張していた義母の言葉とは思えず、あきれてしまいました。
事務的な手続きの流れで元夫と連絡を取った際に義母の言動を報告しました。「離婚なんて認めない!」と離婚届を提出した直後は騒いでいた元夫でしたが、ようやく元義母の非常識さに気がついた様子。元夫も反省して謝ってくれました。元夫が気づいてくれただけでも、ほんの少し、スッキリした気がします。
離婚して地元に戻った私を、両親はあたたかく迎え入れてくれました。今は実家の近くの作業スペースを借りて、毎日仕事に励んでいます。家事は両親と分担しているので、自由な時間も増えました。さらなる年収アップを目指して、今後は資格の勉強なども始めようかなと考えています。
【取材時期:2025年5月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。