夫は「もし子どもができなかったら、どう責任を取るつもりなんだ」と言うのです。夫の友人たちは次々に子どもを授かり、自分だけが取り残されているような恐怖を抱いているようです。
妊娠しないのは妻のせい!?挙げ句の果てに…
私も子どもは欲しいですが、思うようにはいかず……毎月のように落ち込んでいます。そんな私に苛立った夫は、私の大学時代の友人を引き合いに出してきました。「この前会ったお前の友だちは清楚で気が利いて、話もうまいよな」と持ち上げる一方で、私の性格を否定。さらに、その友人が未婚であることを「不思議だ。なぜだろう」とぶつぶつ呟いています。
その友人は2年前に婚約を解消しており、今は仕事が忙しく交際どころではないのだと夫に伝えました。すると夫は、彼女が経営者として経済的に自立している点を称賛。私が思わず「連絡先は交換していないよね?」と尋ねると、夫は「萎える」と吐き捨てるように言い、「もし交換していたとしても俺の勝手だ。仮に浮気をしても、妊娠しないお前のせいだ」と責任を私に押し付けてきました。
ここで言い返しても喧嘩になるだけ。私は深呼吸をして、自分の心を守ることにしました。
“謎のピアス”で発覚した裏切りから2年後…
それから2カ月が過ぎたころ、私は夫の車で見覚えのないピアスを見つけ、嫌な胸騒ぎを覚えました。夫を問いただすと、ピアスの持ち主は、あのとき夫が絶賛していた私の大学時代の友人だと判明。しかも夫は「デートをしただけだ」と悪びれる様子もなく……私は言葉を失いました。
さらに夫は「浮気に走ったのは子どもを産めないお前のせいだ」と責任を私に押し付けたうえ、離婚まで切り出してきました。「これ以上傷つくのはもうイヤだ」と思った私には、離婚を承諾。私は実家へ戻りました。そして、離婚から2年が経ち――。
産婦人科で私を見かけたという元夫からLINEがありました。
「病院で見かけたけど、なんで産婦人科にいるんだ?」
「俺は新しい妻が妊娠したんだ」
「お前とはダメだったけどなw」
「私も妊娠3カ月だけど」
そう伝えると、元夫は「なんでお前が妊娠!?」と、相変わらず失礼な言葉を返してきました。
夫婦生活を送っていた当時、元夫が自然妊娠にこだわっていたため、病院での不妊検査を受けたことはありませんでした。しかし実家に戻ったあと、将来のことを考えて産婦人科で検査を受けたところ、私のほうはまったく問題がないと判明。これまで一方的に責められてきた私は、「元夫からの暴言は一体何だったのだろう」と、やり切れない思いでいっぱいになりました。
その後、地元で高校時代の同級生と再会。穏やかな性格に惹かれて交際、そして再婚しました。すると結婚から間もなく、新しい命を授かったのです。
久しぶりに連絡してきた元夫は、私の友人との再婚と彼女の妊娠を得意げに語りました。そこで私は不妊検査の結果と、医師から「むしろ原因は元夫側にあるかもしれない」と示唆されたことを伝えると、彼は急に動揺し始めました。そこで私は、さらに別の事実を教えてあげることにしたのです。
「妊娠しないのはお前のせい!」と責めた元夫の末路…
元夫の再婚相手である私の大学時代の友人は、華やかな外見の陰で昔から男遊びを繰り返しており、婚約破棄の理由も彼女の浮気だった――そのことを私は元夫に伝えました。
それから2週間ほどして、元夫から再びLINEが届きました。内容は「妻について知っていることを詳しく教えてほしい。やましい意図はない」という相談でした。元夫は先日ようやく不妊検査を受け、「自然妊娠の可能性は極めて低い」と診断されたとのこと。それでも彼は「おなかの子が自分の子である可能性も残っている」と、わずかな希望にすがりついています。結局、生まれてくる子の父親が誰なのかたしかめるには、DNA検査しかない――その結論に至ったようです。
友人の男性関係が派手なことはすでに伝えてあるので、私は知っている限りの情報を元夫に包み隠さず話すことに。友人は会社を経営していますが、倒産寸前らしいと伝えました。すると元夫は、彼女を支えるためにすでに3千万円を援助しているとのこと。さらに彼は両親からも2千万円を工面してもらっているそうで、元夫はようやく何かを悟ったようです。
そして、「離婚したことを後悔している」と謝罪してきましたが、時すでに遅し――まさに自業自得です。その後、生まれた子どものDNA鑑定の結果、元夫の子ではないと判明し、元夫と友人は離婚。子どもは友人が育てるそうです。そして友人の会社は倒産したと人づてに聞きました。今は友人も元夫もどこで何をしているのかわかりません。
一方の私は、新しい夫との間に授かった子どもを無事に出産し、幸せに暮らしています。
◇ ◇ ◇
妊娠できるかどうかでパートナーを評価したり、人格まで否定したりするのは暴力と同じですよね。相手への敬意を欠いた言動は、いずれ自分に跳ね返ってくるのかもしれません。近しい相手でも思いやりを忘れず、後悔のない選択をしたいですね。
【取材時期:2025年5月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。