ガラガラなのに「邪魔だ!」と文句
わが家には車が1台しかなく、夫が仕事で毎日使うので、私の主な移動手段は公共交通機関か、自転車や徒歩です。しかし、娘が小さいうちは自転車のチャイルドシートも使えないため、徒歩で行けない場所には公共交通機関を使っていました。
娘が生後8カ月を過ぎたある日、小児科まで予防接種を受けにいく予定がありました。いつもは徒歩で行くのですが、その日は気温が高かったのでバスで行くことに。私は、娘を抱っこして畳んだベビーカーとともにバスに乗り込みます。車内はガラガラで、乗っているのはシルバーカーを座席の傍に置いたおばあさんだけでした。
私はおばあさんの後ろのひとり用席に娘を抱いて座り、畳んだベビーカーも座席に横付けしてタイヤのロックをし、腕でも固定しました。
すると次のバス停で、ひとりの中年女性が乗ってきました。女性は、ガラガラの車内を見回し、なぜか私と娘が座っている座席のすぐ傍に立ちました。席がいっぱいあるのに、なんでここに……? と思っていると、私に向かって「バスにベビーカーって、非常識ね! 邪魔なんだけど!?」と言う女性。ベビーカーを持って公共交通機関を使うにあたって、私なりに配慮はしたつもりだったのですが、女性の気に障ったようです。
私が「すみません」と謝ると、女性は「こんなデカいもの、どうしてバスなんかに乗せるわけ?」「狭いわ~」とヒートアップ。困った私が相槌をうったり謝ったりしていると、「ねえ、あなた」とおばあさんが振り返りました。「このカートも邪魔よねぇ。ごめんなさいね」とおばあさんが言うと「あっ、いいえ、便利ですよね」と私に対しての態度とは打って変わって、笑顔で返す女性。
するとおばあさんは「あら、私には意地悪なこと言わないのね。このカートがいいのなら、ベビーカーだっていいじゃない」と言いました。見る見るうちに表情が曇り、気まずそうにする女性に「こんなにガラガラなのに、ベビーカーを畳んでいるのよ? 配慮しているじゃない。不快なら他の席もあるわよ?」とはっきり言うおばあさん。女性は私を一度にらみつけ、後ろの席へ移動していきました。
私がおばあさんに「ありがとうございました!」と言うと、「大丈夫、気にしないことよ。その配慮する気持ち、伝わっているからね」とやさしく微笑みながら返してくれました。私はその笑顔に、気持ちがラクになりました。
できるだけ迷惑にならないように……という私の気持ちを汲み取ってくれたおばあさんの言葉に、救われました。忙しい子育ての中でも、今後も周りのことを考えた行動を忘れないようにしようと、心に決めた出来事です。
著者:坂井みさき/20代・主婦。絵本とお絵描きが好きな、1歳の自己主張強めな女の子を育てるママ。日々の楽しみは、娘を寝かしつけたあとで夫と甘いものを食べながらテレビを見ること。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年4月)
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