納豆が食中毒対策になるってホント?
気温と湿度が高くなる6〜9月は、特に細菌性の食中毒に気をつけたい時期。
食べ物を常温に置きっぱなしにしたり、加熱が足りなかったり、手洗いが不十分だったりすると、菌はあっという間に増えてしまいます。
でも不思議なことに、同じ菌に汚染された料理を食べても、お腹を壊す方と、何ともない方がいます。
この差は、免疫力(病気に対する抵抗力)の高さによるもの。免疫というと風邪やインフルエンザなどのイメージが強いですが、実は食中毒菌とも戦ってくれるんです。
健康食品として知られている「納豆」には、この免疫力を高める効果が期待されています。
腸内環境が整うと免疫力アップ!
ここ数年「腸活」という言葉が流行っていて、キムチやチーズ、ヨーグルトなどの発酵食品や野菜をたくさん食べる方が増えてきました。
とくにコロナ禍以降、”腸をキレイにして免疫力アップ!”なんて言葉もよく耳にします。でも「なぜ腸内環境が整うと免疫力が上がるの?」と不思議に思いますよね。
その理由は、ウイルスや菌から体を守る”免疫細胞”の約6~7割が腸に集まっているから。私たちの体は、ご飯を食べると食道や胃を通って腸に運ばれ、そこで栄養を吸収します。
このときに、ウイルスや細菌を一緒に取り込まないようにするために“防衛チーム”が腸に大集合しているんです。
納豆が免疫細胞の応援団に!
ここからは、納豆が腸でどんな働きをしてくれるのかを詳しく見ていきましょう!
腸には、なんと約100兆個もの腸内細菌が住んでいます。納豆には、そのなかの「善玉菌(体にいい菌)」を元気にしてくれる成分がたっぷり含まれています。
中でも、食物繊維は善玉菌のエサになって「短鎖脂肪酸」という物質を生み出すサポート役に。
この短鎖脂肪酸が、腸にいる免疫細胞に「ちゃんと働いてよー!」と喝を入れて、体を守る力をパワーアップさせてくれるんです。
納豆菌そのものに“抗菌作用”があるかも?
納豆菌は100℃でも0℃でも、宇宙でも生きていけるほど乾燥や熱、酸に強く、「世界最強の有用菌」と呼ばれています。
そのうえ繁殖力も非常に高いので、酒蔵やしょうゆ工場、食品メーカーなど「発酵菌を扱う」職業では注意が必要です。
納豆菌が混入すると、製品に使われている他の菌の働きを妨げてしまう可能性があるため、「朝食に納豆を食べないで」というルールがあるほど(実際、私がパン屋さんでアルバイトしていたときも、シフトが入っている日は「納豆禁止令」が出ていました!)。
一方で、この納豆菌の強さが、食中毒菌を撃退する力を持っているのかも……と考えられているんです。
代表的な食中毒菌である「O-157」「黄色ブドウ球菌」「カンピロバクター」などの増殖を抑えたという報告も。まだまだ研究段階ではありますが、腸内環境を整える働きとあわせて、一定の効果は期待できそうです!
実はすごい”納豆パワー”
腸内環境を整えて、菌に負けない体づくりをサポートしてくれる納豆。
基本の食中毒対策である“手洗い”や“加熱”にプラスして、1日1パックを目安に取り入れてみましょう。