男尊女卑な父
私は長年、父の経営する会社で取引先対応から契約まで、誰よりも働いてきました。ところが父は、「女」というだけで私を認めず、「次期社長は長男」と決めつけている様子。今どき時代錯誤もいいところです。
しかも兄は仕事の経験も責任感もない、問題ばかり起こす人間。私は会社の誰よりも頼りにされてきましたが、父はそれを「社長の娘だから」と言い放ち、私を兄の補佐役としか見ていませんでした。そしてついに、そんな父が引退を決めることに。突然私のスマホにメッセージが届いたのです。
「俺もそろそろ引退だな」
「会社は長男に任せようと思う」
「長女として支えてやってくれ」
「は?無理」
部下たちの反応を尋ねると、「戸惑ってはいたけれど、皆承諾したよ」という返事。「当たり前だ、俺の言葉を拒否するわけがない。どいつも俺が拾ってやったから、恩を感じているんだ」
なんで私があんなやつの世話をしなきゃいけないのかと、私はすべてを諦めたくなりました。
これを機に…
私はずっと母のような従順な女にはなれませんでした。母は、父に仕えるように生き、幸せそうには見えなかったから……。
これまでずっと私が会社を支えてきたのに、兄はギャンブル三昧、借金もあるのに「俺は社長になる男だぞ」と笑っています。こんな人に何ができるというのでしょう。私は父に言いました。「私は母さんみたいに従順じゃない」と。
本当は海外で経済を学びたかったのに父に許してもらえなかったことも、実は許せていませんでした「お前の人生は兄を補佐するスペアだ」と言い放たれ、私の心は決まりました。
「こんな会社にいても安月給で過酷な労働を強いられるだけ。外の世界に出て、自分の実力を確かめる」と決意した私は、自分の人生を自分で生きる覚悟を決めたのです。
逆転劇でスッキリ
私が去って1年後、父の会社は大混乱に陥っていました。兄は従業員に見下され、父も引退できずに采配に悩んでいたようです。そんなある日、兄が血相を変えて私に連絡してきたのです。
「出勤したら従業員全員が退職届を出してきた!」と。私がいなくなった会社は、信頼も秩序も崩れたのです。「お前、妹の分際で起業したんだってな……。従業員も取引先も皆、お前の会社に行くって言っていた。泥棒ネコが!」
これには、そばで聞いていたらしい父も「何だって?」と割り込んできましたが、その後は言葉にならないようでした。
今さら気付いても遅い! 私は退職後、米国のビジネススクールに通い、自分の会社を起業。以前からの知り合いや取引先、同僚たちが私のところに来てくれたおかげで、これからベンチャー企業として活動の場を広げようとしていたところだったのです。
その後すぐに父の会社は倒産。兄は散財した挙句に、多額の借金を抱えているようです。
私は父に心の中で叫びました。「ねえ父さん、あなたが信じた男尊女卑の世界は崩れたのよ。私は、私の力で生きてみせる!」と。
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娘を認めようとしない父、妹を見下して放蕩三昧の兄。どうしようもない男性陣をさっさと置いて、自立した女性は強いですね。同僚や取引先の人々がついてきてくれたのも人徳のなせるわざ。これからも頑張ってほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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