妹は、トラブルを起こしては家族に迷惑をかける、わが家の厄介者。妹に彼氏を奪われた女性が実家に乗り込んできたり、不倫がバレて慰謝料を請求されたり。そのたびに妹の尻拭いをしてきたのは私たち家族でした。
妹は男性を取っ替え引っ替え、相手の家を渡り歩いています。ときどき行き先がなくなると実家に戻ってくるのですが、今回そのタイミングで彼と出会ってしまったのです。嫌な予感しかしません。
そんな私の予感は的中し、彼は妹と出会ってから急に帰りが遅くなり始めたのです。彼に理由を聞くと、友人と飲みに行っているだけだと言うのですが、怪しい……。
さらに彼は私の話をあまり聞いてくれなくなり、態度も冷たくなってきました。私が話しかけても、スマホをいじりながら生返事を返すだけ。これは、浮気をしている可能性が高いかも……私は疑うようになりました。
両家顔合わせの日に彼が…
ある日私は、寝落ちして開いたままになっていた彼のスマホ画面が目に入ってしまい、つい中を見てしまいました。妹との不倫の証拠が見つかってしまうのではないかとドキドキしながらメッセージを開くと、妹との親密なやり取りとは別件で、とんでもない事実を発見してしまったのです。その瞬間、彼への思いが冷めていくのがわかりました。
その翌日は、両家顔合わせの日。こんな気持ちで、顔合わせなんて……不安を抱えながら、両家の家族と待ち合わせをしていたお店へ出向きました。彼と一緒に少し早めにお店に到着すると、すでにお店に着いていた妹が、いきなり彼に抱きついて、彼も妹の肩を抱き寄せ、私より妹のほうがいいと言ったのです。そして、妹は「私が彼の妻になる♡」と宣言。私は言葉を失いました。
しかしそれと同時に、私は彼への愛情をすっかり失っていることも実感。私は潔く、妹に彼を譲ることに。「頑張ってね!」と声をかけ、その場から立ち去ったのです。
その後、改めて私の両親と彼のご両親との間で話し合いの場が持たれたようです。私の両親は事前に私から事情を聞いていたため冷静に対応したそうですが、彼のご両親は息子である彼の行動に激怒し、私の両親にひたすら謝罪していたと聞きました。
妹と彼が「結婚する!」と言って聞かなかったため、彼のご両親は2人の結婚を許したそうですが、結婚を許す代わりに縁を切ると告げたのだとか……。
とっておきのサプライズを用意♡
それから少しして、彼と妹は家族と友人たちを招いて結婚パーティーを開きました。
結婚パーティー当日、彼と縁を切ると言った彼のご両親は欠席でしたが、私と私の両親はそろって出席。新郎新婦にサプライズを用意したので、私はこの日を楽しみにしていました♪
パーティーが始まると、新婦の妹が自らマイクを持ち、私に嫌みを言っているかのように2人のなれそめを説明。実の姉から婚約者を略奪したという内容に、会場はどよめいていました。
妹は会場がざわついても余裕の表情で、「元婚約者の姉も私たちの関係を認めて、結婚を祝福してくれています」と言います。そんな妹からマイクを渡された彼は、「理解してくれて、応援してくれて感謝しています。君のおかげで僕は運命の人と出会えた。本当にありがとう」と言って、なんと私にマイクを渡してきたのです。
本当にふざけた人たち……私は心の底からあきれました。私に何を話せと言うのでしょう。本当に私が2人を祝福しているとでも思っているのでしょうか。ふざけるなと叫びたいところでしたが、ただ怒りをぶちまけても私が哀れなだけ。
しかし、そろそろ黙っているのも限界なので、サプライズといきましょう! 私は渡されたマイクを持ち、それまでに知り得た事実をすべて話しました。
実は、彼の浮気相手は妹だけではなかったのです。彼のスマホを見て、彼には妹のほかにも浮気相手がいると知った私は、探偵に依頼し、もう1人の浮気相手を調べていました。そしてわかった彼のもう1人の浮気相手は、なんと彼の上司の奥様。私がそう告げると再び、会場はざわつき始めました。焦る彼と衝撃を受ける妹を見て、私はクスクス笑いが止まりません。
裏切り者2人の最悪な結末
そしてサプライズもいよいよクライマックス! パーティー会場の扉が勢いよく開き、事前に私が連絡をしていた彼の上司が登場! 彼はもう顔面蒼白で震えていました。
彼の上司はずかずかと彼に近づいていき、「絶対に許さないからな。お前のミスも不正もすべて会社に報告した」と怒り爆発。どうやら彼は、正攻法とは言えないグレーな手法で取引先との契約を何件も取り付けていたようです。そんな思いがけない暴露まで飛び出し、パーティーは中止となりました。
彼は、私のせいで職を失うかもしれないと激怒。妹は、私は彼の浮気を知っていたから身を引いたのか激怒。私が2人から攻められていると、両親が「悪いのはあなたたちでしょ」と言って、妹に絶縁を宣言しました。両親から、もう戻る場所も助けてくれる家族もいないと言われ、床に崩れ落ち、子どものように泣き叫ぶ妹。
結局、この結婚パーティーを機に2人は破局。ご祝儀は返却せざるを得なかったので、2人にはパーティーの費用が重くのしかかったようです。それに加え、私から慰謝料を請求され、借金を背負うことに。さらに彼は上司からも慰謝料を請求され、会社では社内調査が行われ、契約の件で厳重注意を受け、減給処分。どこかの地方に異動となったようです。
私は実家に戻り、両親と穏やかに暮らしています。今度は素敵なパートナーと出会えたらいいなと思っています。
◇ ◇ ◇
恋は盲目とはよく言ったものですね。理性を失い、冷静な判断ができなくなるわけですが、それがここまでくると、笑い話では済まされませんね。裏切った相手は、彼にとっては結婚を約束した相手、妹にとっては実の姉です。陥れるようなやり方ではなく、正直に告白し、誠意のある謝罪をしていれば、最悪な結末を迎えることにはならなかったかもしれません。2人は、今回のことでしっかり反省し、これからの人生を誠実に生きていってくれるといいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。