いきなりの改心!?
私は長年、孫娘を育ててきました。私の娘が実の母親ですが、離婚して育児を放棄し、奔放な恋愛と無責任な生活に没頭していたから……。私が仕事で日本を離れていた間に、なんと孫娘を置いて出ていってしまったのです。
今では孫も13歳になり、2人での生活も落ち着いていますが、時折ふらっと現れてはお金を無心してくる娘に、孫もどうしてよいかわからない様子です。
そんな困りものの娘が、ある日、「お母さん一生のお願い! 500万貸して!」と臆面もなく懇願してきました。私は心の底からあきれ返るばかり。
何一つ成長していない——そう思ったのです。しかし1週間後、娘が涙声で謝り、「この間はごめん。伝え方を間違えた。お金じゃなくて、少しだけ私に時間をくれない? お母さんと娘と、家族としてやり直したいの」と誘ってきました。行き先はまさかのキャンプ。
娘がお金以外のことを私に求めてきたのは初めてでした。「変わりたい」と言うその言葉を、一度は信じてみようと思ったのです。
山の中で取り残された私
キャンプ当日。私は久しぶりに娘と語り合いたくて山に入りました。
しかし娘は、「山奥に温泉がある」と言って、人通りの少ない山道に私を案内しました。「ここを登れば温泉に着くから、私は荷物を取りに車まで戻るね」と言い残し、娘は一度その場を離れました。しかしなかなか戻ってこず、私は不安になってしまいました。
しばらくして、孫が電話口で泣いていました。私が通話に出たのにも気付かずに——。
「おばあちゃん、寂しいよ…」
「会いたいよ」
「今から会いに行くわよ!」
「えっ、会えるの!?よかった……」
返事をしようとすると、こう言ったのです。「もう会えないかと思ってた……」
私はビックリして叫びました。山中で登山客に道を教えてもらい、無事に下山した私は、「私は大丈夫だよ! どうしてそんなことになっているの?」と尋ねると、「だってママが……」と言うのです。
どうやら娘は私の行方を把握していないふりをして、孫に「おばあちゃんは山で迷ったまま戻ってこないかもしれない」と話していたようなのです。
思い通りにはいかない!
翌朝、私は孫と一緒に娘に電話をかけました。娘は、まるで芝居を打っているかのように泣きながら話し始めました。
「お母さんがいなくなって……心配で眠れなかったの」
その言葉に違和感を覚えながらも、私は電話を代わりました。
「私は無事よ。あの山では本当に怖い思いをした。でも、何よりつらかったのはあなたの言動。私は孫のためにも、まだまだこの世で頑張るから。もう、お金の話もしないで。これ以上、大切な子の前で自分を下げるようなことを言わないでほしい」
電話口の娘は、何も返してきませんでした。
その後、娘とは一切連絡を取っていません。私は孫に真実のすべてを語ったわけではありませんが、孫はぽつりとつぶやきました。
「ママのこと、いつか……許せるようになるかな」
私は娘を許す気はありませんが、孫は、そう思えるような心の広い人間に育ってほしい。今ではそれが願いです。祖母兼母親としてしっかり愛情を伝え、私が亡くなってからでも心の支えになれるような思い出を、たくさん作っていきたいと思います。
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育児を放棄し、娘としての責任を果たせなかった母。それでも孫は素直で思いやり深く育っている様子です。どんな家庭にも事情がありますが、1人の子どもが心を痛めずに済む社会であってほしいと、改めて願わずにはいられません。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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