人に嫌われたくない、否定されたくない、どう思われているか常に気にしてしまう――そんな夫は、いつも“いい顔”ばかりしていました。
人の頼みを断れない夫
1年目の結婚記念日には、憧れのレストランを予約してくれました。私はその日をとても楽しみにしていたのですが、当日になって「先輩に呼ばれたから」とドタキャン。
私が責めると、「わかってるって……また埋め合わせするから!」と繰り返すだけ。
その後も「後輩に呼ばれた」「同期に頼まれた」といって私との約束を反故にすることが何度もあり、私は「もし次に理不尽に後回しにするようなことがあったら、離婚する!」と宣言しました。
妊娠、そして出産。しかし……
夫はそれから少し反省したようで、私を後回しにすることは減りました。
その後、私は第一子を妊娠。家が手狭になるので、マンションに引っ越し。里帰りはせず、家から近くの病院で出産することにしましたが、夫は「面会時間までに仕事が終わらなくて……」と、出産当日以外は病院に来てくれませんでした。
そして退院の日も、「どうしても外せない予定がある」と言われ、私は生まれたばかりの娘を抱えて、タクシーで一人帰宅しました。このとき私は、夫は娘に関心がないのかという不安と怒りでいっぱいでした。
赤ちゃんと帰宅すると、信じられない光景が
玄関を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは信じられない光景。なんと、義妹一家が泊まりがけで遊びに来ていたのです。
「妹たちが新居に泊まりたいって言うからさ~先週から泊まりに来てるんだよね」
そう言いへらへらと笑う夫。
部屋は散らかり放題、甥は家の中を走り回って運動会状態、義妹の夫は室内で電子タバコを吸ってくつろいでいる……。さらに義妹も赤ちゃんを連れていて、そこらじゅうに使用済みのおむつが転がっていました。
産後の私や娘が休む場所など、どこにもありませんでした。
「私と娘のことなんて、なにも考えていないんだな、全然大切にされていない」
そう思った瞬間、我慢が限界に達し「もう無理だわ。離婚しよう」と伝えました。
夫の謝罪と約束
突然の言葉に夫は大慌て!
「本当にごめん。俺が悪かった。一緒にいてほしい」と頭を下げ、すぐに義妹一家を帰し、家中を掃除し始めました。
私はしばらく考え、両家の両親に連絡。私の両親は、夫に対しすごく怒っていました。義父母は、義妹たちの件を謝り、しっかり注意しておくと言ってくれました。
私は積もり積もった不満が爆発!
「一度も面会に来なかったのは義妹一家をもてなすため? 自分の娘より大事なの?」
「新居に勝手に人を泊まらせるのはあり得ない。私に確認の連絡はないの? 新生児を連れて帰ってくると分かっていてのに、ましてや新居なのに、タバコを室内で吸わせてるの? 散らかし放題なのはなんで?」
夫を問い詰めつつ、「もし次に私たち家をぞんざいに扱ったら、すぐに離婚する」という約束を、両親たちにも承認してもらいました。
その後、夫は
「もう次はない」そう気付いた夫は、少しずつ変わりました。
“誰か”の顔色ではなく、“私たち家族”を一番に考えるようになったのです。
娘が夜泣きすると率先して起きてお世話をしたり、家事を先回りしてするなど、育児も家事もしてくれました。娘を可愛がってくれています。さらに、あの一件のあとは結婚記念日のお祝いも、娘の誕生日も、約束通り一緒に祝うことができました。
ちなみに義妹一家とは当分疎遠にするつもりで、あのあとは一度も連絡を取っていません。
数カ月経ったある日、夫がぽつりと「もう二度と、大事な人を後回しにしないことにしたんだ」と言いました。ようやく「家族を大切に考えてほしい」という思いが通じたのです。
夫の「やさしさ」は対外的な「外ずらの良さ」であり、それは私との約束を破ることでなんとか成り立っていました。でもこれからは、「本当のやさしさ」を家族に向けてくれると信じています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。