中途で入ってきたのはエリート
中途採用で入社し、営業部に配属となった男性(Aとします)。彼が以前勤めていたのは有名な某大手企業。また高学歴で有名な某大学卒とのことで、最初は「とても優秀な人が入ってきたな」と素直に思っていました。ただ、僕がいろいろと教えることも多かったのですが、次第にAの態度が気になるようになって……。
Aは「俺は優秀だから」「先輩は高校行っていないんでしょ?」など、僕に対してマウントを取ってくることが多くなったのです。たしかに僕は、家庭の事情で高校、大学には進学しませんでした。ただそれでもなんとか社会人としてここまでやってきていました。僕に足りない知識があれば教えてほしいと思っていますが、一応、今の会社でのことは僕のほうがよくわかっているつもりです。それでも彼は僕の話をちゃんと聞いてくれませんでした。
次第に、Aは自分の事務仕事を僕に押し付けてくるように。注意すれば反論され、仕事について話そうとすると、外回りに行ってしまい、僕を見下しているのは明らかでした。
横柄な後輩から「合コンセッティングしろ」
そんな彼から、突然「合コンをセッティングしろよ」と言われたことがありました。突然何を言い出したのかと思っていると、冴えない僕に「出会いの場を提供してあげたくて」とのこと。失礼すぎる発言に一度は断ったものの、Aから「後輩と飲めないってこと? 先輩として後輩とコミュニケーションを取るのは大切なことなんじゃないですか?」と言われてしまって……。
どうしようかと思っていたとき、Aとの会話を近くで聞いていた後輩女性が「部内の女性、何人かに声をかけましょうか?」と声をかけてくれました。
彼女も営業部で、僕と仕事を一緒にすることがあり、日ごろから何かと気をかけてくれる人でした。Aの対応に頭を悩ませていた僕に、普段から声をかけてくれることも多くあったのです。
そして僕は考えたすえに、合コンという体裁じゃなく、営業部内のコミュニケーションの場として飲み会を開くことにしました。彼女には、飲み会に参加したい部内の女性に声をかけてもらい、僕も何人かの同僚に声をかけました。
飲み会での逆転劇?
飲み会当日。Aは遅れて会場にやってきました。最初こそ楽しくお酒を飲んでいたのですが、お酒が入り気が大きくなったAは、きてくれた同僚たちに向かって、
「高校も出てないような奴が、営業部の主任で、営業成績がいいなんておかしいだろ」
「ちなみに、俺は一流大学卒業だけど」
と、笑いながら僕の話をし始めました。ただ、彼のひと言でその場の楽しい雰囲気が一変。特に女性たちの目が一気に冷たくなって……。それでもAはお酒の影響か、まったく気づいていない様子でした。その後も「幼いころは神童と呼ばれていた」「学生時代はモテすぎてファンクラブがあった」「大手企業への就活は楽勝だった」などと自慢は止まらず……。そんな彼の自慢をシャットアウトしたのは、僕を気にかけてくれた後輩女性の言葉でした。
「前から気になっていたんですが、今の仕事に学歴はそこまで関係ないと思います」
「一流大学出身で優秀なら、仕事を人に押し付ける必要はないですよね?」
彼女の言葉に、周囲の同僚たちも同調。Aは一気に同僚たちから詰められるかたちとなってしまいました。
「自称:優秀」な後輩の末路
飲み会以降、Aは目に見えて会社に居づらそうにしていました。同時にイライラしているなとも感じていて、仕事の話をしていても不機嫌でそっけない返事ばかり。
そんなとき、Aが上司たちから呼び出され、肩をがっくり落としてデスクに戻ってきたことが。追って上司から話を聞くと、他の同僚から「Aが外回りと出ていった日、業務時間にもかかわらず歓楽街で酒を飲んでいるAを見た」という報告が上がったそう。そのため本人に聞き取りをし、厳重注意をしたとのことでした。
そんなAの行動は社内であっというまに広がり、部内を超えて、社内で「信用できない人物」とAは噂されるように。本人としても居づらくなったのでしょう、彼は数カ月後に自主退職しました。
これは後に聞いたことですが、彼は以前、飲み会の場で「一流大学出身」と大学名まで明かしていました。けれど、彼が言っていた出身大学は嘘だったようです。同僚の知り合いに、彼と同い年で、同じ大学、学部出身の人がいたようで、彼のことを聞くと「そんな人はいなかった」と言われたとのことでした。
社会人をやっていると、もちろん学歴が大事な場面もありますが、学歴や過去の肩書よりも、周囲と信頼関係を築けるかということが大切だなと思うことも多いです。そういう意味では、彼の言動が自滅につながったように思います。ただ、僕も後輩の指導をする身として、「後輩とどう接したらいいか」「時に毅然とした態度をとる必要がある」ということを考えさせられるきっかけになった気がしています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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