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「右手が動かない…」40歳目前で気付いた異変。複数の診療科を巡ってわかったまさかの難病とは

美容師としての日々を支えてくれた右手。その違和感が人生を大きく変えるとは、当時の私は想像もしていませんでした。自分の体と向き合い、悩み、そして希望を見つけてきた私の8年の歩みを振り返ります。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師渡邊 耕介先生
のげ内科・脳神経内科クリニック 院長

脳神経内科・頭痛・総合内科・呼吸器科の専門医として、豊富な知識と経験をもとに、風邪、胃腸炎、頭痛、不眠・不安、帯状疱疹などの一般的な病気から、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、ALSのような神経難病まで総合的に診療する街のホームドクター。充実の検査体制を整え、早期発見・早期治療と予防に力を入れている。
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ハサミを握る右手に異変が

ハサミを握る右手、その右肩が上がりにくくなったのは、まだ40歳になる前。最初はただの肩凝りかと思い、近所の整形外科を受診しました。

 

X線検査の結果は「ヘルニアの一種」とのこと。手術の必要はないと言われ、電気治療やマッサージ、はり、おきゅうなど、できる限りのことを試しましたが、なかなか症状は改善しませんでした。

 

やがて右手の指先が思うように動かなくなり、ロッドを巻くことも、パーマワインディング(※パーマをかける際に、髪の毛を細い棒状の器具=ロッドに均等に巻きつけていく作業のこと)もできなくなっていきました。

 

「右手がおかしい」という不安が日に日に大きくなり、仕事にも支障が出始めました。体調の悪さはお客さまにも伝わってしまい、右肩の痛みだけでなく、右手の指先の震えが次第に足にまで広がっていきました。

 

神経内科を受診して診断が確定

夫と相談し、心療内科を受診。カウンセリングの結果は「緊張からくる体のこわばり、自律神経や女性ホルモンの乱れ」と診断されました。処方された薬を毎日欠かさず飲み続けましたが、症状は良くなりませんでした。

 

そんな私を見ていた母が「おかしいよ。神経内科に行ってみよう!」と背中を押してくれ、隣町の病院で頭のMRIを撮ることになりました。

 

そこで初めて「パーキンソン病(手足のふるえや動きづらさなどの症状が現れる進行性の神経の病気)」という言葉が告げられ、さらに詳しい検査のため大学病院を紹介されました。たくさんの検査の末、脳の一部に特有の変化が見つかり、人生の転機となる診断を受けたのです。

 

この診断が、13年間続けてきた美容室を閉じる決断につながりました。

 

 

薬とともに取り戻した日常

「普通の生活ができるように薬を飲んでいきましょう。真っすぐ歩けるようになりますよ」と先生に励まされ、大学病院で処方された薬を飲み始めると、不思議なほど効き目を感じました。右手の震えは残るものの、調子が良い日は家族の髪を切ることもでき、料理や洗濯もこなせるようになりました。自転車にも乗れるようになり、少しずつ日常を取り戻せたのです。

 

ただ、薬の効き目が切れると動けなくなり、次の服用後に動けるようになるまで時間がかかるため、薬のタイミングには今も苦労しています。

 

パーキンソン病と診断されてから8年がたち、薬の種類も量も増えました。この8年間、毎回大学病院まで送り迎えしてくれた母は、たくさんの情報を集め、山中教授のiPS細胞治療にも希望を寄せていました。保険適用になるにはまだ時間がかかりそうですが、医学の進歩を信じて待ちたいと思います。

 

まとめ

パーキンソン病とともに歩んだ8年。今も不安はありますが、希望を胸に、いつかまた家族の髪を結う日を信じて前に進みます。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

著者:植草和美/40代女性・主婦

イラスト/サトウユカ

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年7月)

 

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