「ママ」を呼ぶ夫
夜勤明け、疲れ切って帰宅した私の前にいたのはエプロン姿の義母でした。義母は「おかえりなさい♪ 夜勤大変だったわね。朝ごはんできてるのよ」とひと言。義母の隣には、ソファでブランケットにくるまりホットミルクを飲んでいる夫の姿が……。
「ママ〜砂糖もうちょっと入れて〜。パン焦げてない?」と甘える夫。35歳の大人が、私が夜勤明けの日は決まって自分の母親を呼んで食事を用意させていたのです。 私は思わず口を挟みました。「お義母さん、来てくださるのはありがたいですが、私たちも大人です。結婚した以上、家事は分担してやるべきです」と意を決し伝えました。
しかし義母は鼻で笑い「まぁ怖い。疲れてるなら仕事を辞めたら?夫に迷惑かけてまで働く必要ある?」と言い放ったのです。夫もそれに便乗し「そうだよなぁ、最近のおまえは怖いんだよ」とニヤニヤするだけ。その瞬間、私の胸の奥に嫌な予感がじわじわ広がっていきました。
「結婚したらママでしょ?」
数日後の夜。仕事から帰ると、風呂上がりの夫がタオルを肩にかけて立っていました。そして私の顔を見るなり「髪乾かして〜」と言ってきたのです。予想外の言葉に私は「は?私だって今帰ったばかりよ」と拒否しました。
すると夫は私の言葉を無視して「爪も切って!ママはやってくれてたよ?」呆れて言葉を失いました。夫の信じられない発言にギョッとした私は「自分のことくらい自分でしなさい。私はあなたのママじゃないの!」言い放ちました。すると夫は逆ギレし「何でやってくれないんだよ?!こんなの結婚した意味ないだろ」と言うのです!さらに「結婚したら君は僕のママだよね?全部お世話してよ!」と詰め寄ってきたのです。
私は怒りをこらえながら「結婚ってそういうものじゃないでしょ!」とビシッ!すると夫はニヤリと笑い「だったら離婚だな。俺はママみたいに甘やかしてくれる女と再婚するから」とひと言……。その瞬間、私の中で「この人とはもう無理だ」と決定的に思いました。
義母とタッグを組む夫
ある朝、夫は不機嫌そうに「嫁ガチャ失敗だわ」と急に呟きました。そして「昨日ママに連絡しといたから。冷たい嫁のせいで大変だって言ったら来てくれるって!」と言うのです。
その数分後、玄関のチャイムが鳴り響きました。そして義母が合鍵を使いズカズカと入ってきて「嫁なら夫の世話をするのが当たり前でしょ」と激怒! 私は深呼吸し、静かに「お義母さん、私は家政婦でもママ代わりでもありません。夫婦は支え合うものです。甘やかされて育った息子を棚に上げて、私だけを責めるのは筋違いです」と言い返しました。そして「もう限界です!離婚します」と宣言!すると夫は「ちょ、ちょっと待てよ!本気じゃないよな?!」と顔を真っ赤にして叫びます。私は冷ややかに夫を見つめながら荷物をまとめ実家へ戻りました。
その後、夫は「嫁が俺のママ役をやらなかった」と職場で愚痴をこぼし、同僚たちは一斉にドン引き。同僚たちの「35歳にもなって何言ってるんだ?」「奥さんをママ扱いって、正気?」 という冷たい視線にさらされ、笑いものになった夫は、ようやく自分が“おかしい”と気づいたと言うのです。そして夫は「……今までごめん。離婚しよう」と言い離婚が成立しました。
◇ ◇ ◇
結婚は「母親役」を求めるためのものではなく、互いに支え合うためのもの。甘えや依存に気づいたときこそ、自分の人生を守る勇気が必要です。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。