スカートをはかない幼なじみ
僕は高校2年生です。隣の家に住むAとは、物心つく前から一緒に遊んでいました。彼女はいつもズボン姿で、運動神経も良くて、どちらかといえば「兄弟」のような存在。 思えば、僕はAのスカート姿を一度も見たことがありませんでした。
ある日、いつも通り家に遊びにきたAを迎えるため玄関のドアを開けると……。
「えっ、スカートはいてる!」
なんとAがスカートをはいていたのです。聞けば、海外へ行くいとこから洋服を大量にもらったため試しにはいてみたとのことでした。
「スカート、すごく似合ってるよ!」
僕がそう口にすると、Aは一瞬驚き、そして照れたように笑いました。今まで兄弟のような存在だったAが、その日は急に女の子らしく見えて同じ部屋にいると落ち着きませんでした。
日常に変化が生まれる
翌朝、いつも通り一緒に登校しようとAの家のインターホンを押すと、Aは制服のスカート姿で登場。
「昨日褒めてもらえたのがうれしくて…」と、髪もおろしていて、驚くほど女の子らしいAに僕は戸惑いを隠せませんでした。
登校中も教室でも、男女から「かわいい!」と声をかけられて、周囲の視線を集めているAの姿を見て、僕はなぜかモヤモヤしてしまいました。
それからAはクラスの女の子たちに囲まれ、マニキュアやメイクをするように。
いつしか、髪をゆるく巻いたAは、僕が知っている「兄弟」の姿ではありませんでした。
心のざわめき
どんどんかわいくなっていくAに、僕が「もうスラックスははかないの?」と聞くと、Aは笑って答えました。
「おしゃれが楽しくなったの。それに…君がかわいいって言ってくれるから」
Aの思わぬ言葉に、僕はうれしくなりました。それと同時に、自分の恋心を自覚したのです。
そんな中、Aが男子から告白される場面を見てしまいました。何て言うのかな……と思っていると、「好きな人がいるから」と告白をお断り。その言葉を聞いた僕は、「もしかしたら自分かもしれないし…そうじゃないかもしれない」と不安な気持ちでその場を離れました。
その日の帰り道、他にAを好きになる人がたくさん出てくるのではと慌てた僕は、Aに「これから会うときは、今まで通りボーイッシュな格好で来てほしい」とお願い。
その言葉を聞いたAは、「私のこの格好…もしかして気に入らなかった?」とうつむいてしまいました。
本音をぶつける
落ち込むAの姿に、僕は自分の気持ちを伝えることを決意しました。
「Aのことは幼なじみで、兄弟みたいだと思ってた…。けど、最近のおしゃれをしているAを見て女の子として意識するようになったんだ」
「Aのことが好きだから…他の人にとられたくないって思って、『ボーイッシュな格好で来て』なんて言っちゃって…」
僕が素直に自分の気持ちを伝えると、Aは目を潤ませて言いました。
「もっとかわいいって言ってもらいたくて努力したの。私、君に意識してほしいって思ってた」
こうして僕たちは抱きしめ合い、互いの気持ちを確かめ合ったのでした。
数日後、僕が家まで迎えに行くとAはスカートではなくスラックス姿で現れました。
「嫉妬深い彼氏がいるから♡」と言って僕を赤面させてくるA。「君の前でだけ、かわいらしくおしゃれをするよ」と笑いながら言いました。そんなAの言葉に僕は思わず顔がにやけてしまいました。Aとのこんな日々が続けばいいな……なんて思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されてないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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