「嫁は休まず働け!」義実家の“当たり前”
遡ること去年のお盆帰省。義実家の玄関を開けるなり、「いらっしゃーい!今すぐアイスコーヒー持ってきて!」とリビングでドラマを見ながら手を振る義母。出迎えることはなく、「今日の夕飯はなに?お寿司でもとってくれる?もちろんお金はアナタ持ちね!」と図々しいひと言。その直後、義父が「早く酒を持って来い!嫁は休まず働け!」と言うのです。
義実家に着いて早々に便利な人扱いにぐったり……。私は助けを求めるためにチラッと夫を見ると、私を気遣うことなくソファに寝転がりテレビを見て笑う姿が……。義母と義父の要求に応えた後、私は洗濯をたたみ、氷を出し、こぼれたビールを拭き……。気づけば動いているのは私だけ。
せかせか働く私に娘がタオルを差し出し「……ママ、大丈夫? 大人のくせに困った人たちだね」と呟きました。娘の言葉に私は「来年こそはこの関係を変えてみせる」と心に決めるも、きっかけをつかめずにいたのでした。
夫の借金発覚、義実家に相談
お盆休みが終わり、義実家から帰宅したある朝。ポストに夫宛の督促状が入っていたのです。中身を確認すると、なんと200万円の請求が!夫を問い詰めると、夫は肩をすくめ「だ、だって……友達にいい投資話があるって誘われてさ。お前もやれよ! 夫婦で稼ごうぜ!!」と言うのです。
返済期限が迫る中、のんびりと構える夫。私が「返済はそうするの?」と尋ねると「どうにかなるでしょ!」の一点張り。私は義実家に向かい、事情を伝え立て替えてもらうように説得しました。しかし、義母は「ウチも余裕ないの。アナタも貯金あるんでしょ?だったらあなたが払えば? 家族なんだから!」と言い放ったのです。義父は「息子のことは息子の責任だ」と言うだけ。言い合いが空回りする中、私は腹を決め「分かりました。私が一度、立て替えます」と伝えました。もちろん条件付きで。もしかすると、いいきっかけになるかもしれないと思い……。
帰り道、娘がギュッと手を握り「ママ、大丈夫?」と心配そうに声をかけてきました。私は 「大丈夫。来年には立場が逆転するから」と言葉にした途端、背筋が伸びた。
翌年のお盆、立場が逆転!?
その後、義実家から帰宅した夜、義実家のグループメッセージにある条件を送りました。その内容は「義実家滞在は2時間。家事の押しつけ禁止。お金の無心禁止。娘の前での暴言禁止。破ったら即帰宅、夫とは離婚」とこれまでの不満をぶつけるようにつらつらと書き並べました。借金の肩代わりをしたくない義両親から「わかりました」と返信がありました。
そして今年のお盆。義実家へ帰省すると、玄関で義母がいつもの調子で「今日の夕飯はなに……」と言いかけました。咄嗟に私はスマホの画面に条件を表示し「今日はお茶だけで失礼しますね」とひと言。一瞬の沈黙のあと、義父が頭を下げ「分かった。飲み物は私が出す」と言い台所へ。義母も「お菓子、私が出すね」とイソイソ。するとスマホのタイマーが鳴ったので私は「そろそろ失礼します。来年も“この調子”で」 と告げ義実家を去りました。
玄関を出ると、娘が耳元で「ママすごいね!」と呟きました。私は笑顔で「言ったでしょ?今年は立場が逆転したからね」と答え穏やかなお盆休みを過ごしたのでした。
◇ ◇ ◇
義両親という“立場”を盾に「嫁だから」で人を使うのは、家族の信頼をすり減らすだけ。嫌な押しつけには「今日はここまで」と線を引き、自分や家族を守る。それは逃げじゃない、健全な距離感になるでしょう。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。