1つは、私の妹です。妹は昔から私のものを何でも欲しがって、無理に奪ったり、壊したり……。過去には、結婚を考えていた彼氏を略奪されたこともあります。その一件以降、妹は家族とほぼ絶縁状態ですが、私は常にまた何かされるかもしれないと不安に感じています。
そしてもう1つは、義両親です。結婚のあいさつに伺った際、「息子は顔も良くて、大企業に勤めるエリートなのに、どうしてあなたみたいな平凡な女性なんかと……」と言われ、猛反対されたのです。
義両親は、自分の孫を芸能人にしたいという夢があるのだそうです。そのために、息子の結婚相手は美しい女性でなければならないと言われました。
悪夢の再来…
義両親の身勝手な言い分に激怒した夫は、「そんなことを言うなら家から出て行ってもらう」と告げました。義両親が住む家は、もともと夫が一人暮らしをしていた夫名義のマンション。住む家を失うと慌てた義両親は、しぶしぶ私たちの結婚を承諾してくれたのです。そうして、無事に入籍した私たちは、2人で手頃なマンションを購入し、同棲していた賃貸のマンションから引っ越し、新生活をスタートさせました。
しかし、平穏な日々はそう長く続きませんでした。ある日、長らく連絡を絶っていた妹から突然、連絡がありました。妹の番号は着信拒否にしていたのですが、番号を変えたようで知らない番号からの着信だったため私は妹とわからず出てしまったのです。そして妹はなぜか、私たちが義実家を訪ねたことや結婚したことを知っていたのです。さらに義両親と話したとも告げられました。探偵でも雇って私を調べたのか……どこからか聞きつけたのか……。
なんと妹は、「お姉ちゃんに結婚を先越されて気分悪かったからさ〜旦那さん奪っちゃおうと思って〜♡ もうご両親にもあいさつしちゃった♡」と義両親に自ら会いに行ったと話し始めたのです。義両親に私の妹だとあいさつをして、「姉と違ってかわいい私なら、かわいい孫を産める」と言い、私と夫の離婚、そして自分との再婚を持ちかけたそう。性格に難があり問題の多い妹ですが、外見も外面も良いので、義両親はすっかり妹を気に入ってしまったようでした。
この先、何が起こるのかと不安になり、すぐに夫に妹から言われたことを伝えた私。すると夫は、再び義両親に激怒し、連絡して「今度こそ家を出て行ってもらう」と宣言したのです。義両親はまた慌てて謝罪しましたが、夫の決心は固いようでした。
数日後、私が仕事を終えて会社を出ると、妹が待ち構えていました。妹は「お姉ちゃんにいいもの見せてあげる〜」と言って、夫と温泉旅行に行ったときの写真やメッセージの履歴を見せてきたのです。しかし、見せられた写真やメッセージのアイコンの男性は夫ではありませんでした。
そして、夫ではないその男性に私は見覚えがありました。確か、その男性は夫の同僚。以前、奥様と一緒にいるところに偶然会ったことがあり、夫から同僚と紹介してもらった、あの男性に違いありません。妹は勘違いしているようで、事態はとんでもない方向へ進んでいき……。
勘違いが招いた衝撃の展開
義両親から夫の職場を聞き出した妹は、夫の名前と会社名でSNSを検索し、私の妹であることを伏せてメッセージ。しかし、妹がやり取りをしていたアカウントは、夫の同僚のものだったのです。夫と同僚は偶然にもイニシャルが同じ……。
夫と面識がない妹は、夫と同じイニシャルの同僚のアカウントを、夫のものと勘違いし、彼に近づいていたのでした。
妹は「私、かわいいから仕方ないよね♡」と悪びれる様子もなく私に勝ち誇り「そういうことだから! 早く離婚してねっ」と言い残して去っていきました。
とんでもない事実に気付いてしまった私は、この問題をどうすべきかと夫に相談し、2人で頭を悩ませました。その翌日、妹から「お姉ちゃんの旦那さんとの子、妊娠しちゃった♡」と連絡が……。相手が夫ではないと知っている私は、ひとまず冷静に電話を切りました。
それから数時間後、慌てた様子の妹から再び電話がかかってきました。妊娠を報告したところ、同僚からすぐに別れを切り出されたようです。妹は「かわいい私を捨てるなんてありえない!」「妊娠したって言ってるのにサイテーな男!」などと、電話口でわめいていました。
後日、夫が同僚に事実を確かめ、私と夫は同僚と奥様の2人に、妹が起こしたトラブルについて判明している事実をお伝えし、巻き込んでしまったことを謝罪しました。
嫌な妹と嫌な義両親のその後
同僚と妹が不倫関係にあったことは事実でしたが、同僚は子どもを作れない体質らしく、子どもは諦めていたと私たちに奥様が話してくれたのです。後日、妹に確認すると、妊娠は嘘だったとわかりました。
その後、同僚と奥様は何度も話し合われたようですが、最終的に離婚してしまいました。奥様は同僚と妹に慰謝料を請求し、妹も支払いに追われることに。
その一方で、夫は義両親の住むマンションの売却手続きを進めることにしました。出ていってほしいと伝えるため義実家へ行くと、玄関先で義両親と妹が罵り合っていたのです。「あんたたちのせいで間違えて不倫しちゃったじゃない!」とキレる妹に「あんたが勝手にやったことでしょ!」とキレて返す義両親。どうやら妹は、あれから毎日のように義実家に文句を言いに来ているようでした。
私たちは、義両親には引っ越し先を見つけて出ていってほしいと、妹にはもう二度と私たちに関わらないでほしいと告げ、その場を後にしました。それ以降、義両親とも妹とも縁を切った私たちは今、穏やかに幸せな毎日を送っています。
◇ ◇ ◇
人のものを羨み、その人の不幸を画策しても、本当の幸せは手に入りません。自分の行いは、良くも悪くも必ず自分自身に返ってくるものなのですね。困難を乗り越えたご夫婦、そして同僚の奥様が幸せな毎日を送っていけることを願うばかりです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。