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「なぜ閉経後に乳がんリスクが高まる?」医師が教える意外なホルモンの働きとは【医師解説】

乳がんのがん細胞は女性ホルモンであるエストロゲンの影響によって増殖するといわれています。閉経するとエストロゲンは減少するはずですが、乳がんの好発年齢はなぜか閉経が近い更年期世代なのです! なぜこのような矛盾が生まれているのでしょうか。乳がん啓発の「ピンクリボン運動」にも勤しむ新見正則先生にお伺いしました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師新見 正則先生

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学における医学博士号を取得。2002年より帝京大学医学部博士課程の指導教授を勤める。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として活躍し、現在は世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬「フアイア」の啓蒙普及のためにがん、難病・難症の治療をおこなっている。最新刊『フローチャート整形外科漢方薬』
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閉経するとリスク増加?

男性ホルモンがエストロゲンに変換

更年期世代になると、エストロゲンの生成が少なくなることでさまざまな更年期症状が現れます。乳がんのがん細胞に影響するエストロゲンが減るにもかかわらず、乳がんの第1ピークは40代後半~50代前半とされています。

 

一体なぜ閉経後も乳がんのリスクは低下しないのでしょうか?

 

閉経すると卵巣からエストロゲンは生成されなくなるものの、脂肪細胞によって男性ホルモンがエストロゲンに変換されるようになります。そのため、エストロゲンが減らず乳がんリスクが生まれてしまうのです。

 

乳がんの罹患率は30代後半から上昇し、40代後半にピーク、その後も60代以降にかけて高い水準が続きます。閉経後に脂肪細胞からエストロゲンがつくられることが影響しているかもしれないと言えるでしょう。

 

閉経後に肥満体型になった人は、閉経前から肥満体型だった人に比べても乳がんのリスクが高まります。そのため、閉経後は体型管理に注意したほうが良いでしょう」(新見先生)

 

乳がんになりやすい人とは

生理の回数が多い!

生理用品のイメージ

 

新見先生いわく、肥満傾向にある人は乳がんを発症しやすいそうです。他にはどんな人が乳がんになりやすいのでしょうか?

 

生理の回数が多い人は乳がんになりやすいです。例としては初潮が12歳未満、閉経年齢が55歳以上の方ですね。

 

ただ、なぜ生理の回数が多ければ乳がんのリスクが高くなってしまうのか、原因は解明されていません。また、早期閉経や月経過多と乳がんの因果関係も見つかっていません。

 

しかし、生理の回数と乳がんの罹患率は大きく関係しているといわれています。

 

子どもがいる人はその分生理の回数が少なくなりますので、乳がんのリスクは多少低くなります」(新見先生)

 

生理の回数以外では何かありますか?

 

「これも原因不明ではありますが、40歳以上の人は乳がんのリスクが高くなっています

 

そして、飲酒量や喫煙量の多い人も乳がんのリスクは高いです。喫煙はがんの大敵で乳がん以外の病気にも影響してきます」(新見先生)

 

 

セルフチェックで乳がん予防

おすすめはお風呂場!

湯船のふちとおもちゃのアヒルのイメージ

 

乳がん検診は、40歳以上ではマンモグラフィーが推奨されていますが、乳腺が濃い方や年代によっては超音波検査が有用とされることもあります。医師の判断に応じて、マンモグラフィーと超音波を組み合わせたり、交互に受けたりする方法もあります。

 

病院での検査以外にも、月に1回のセルフチェックで乳がんを発見できる可能性があります。おすすめの方法を2つ紹介します。

 

★お風呂場でのセルフチェック

 

お風呂場でのセルフチェックイラスト

 

・鏡の前に立って、両手を真っすぐ上に伸ばして胸を観察します。

 

・正面、側面、斜めの3方向から、乳房や乳頭の変形や左右差、へこみ、ただれなどがないかを確認し、乳頭を軽くつまんで血性分泌液(血のような分泌液)の有無を確認します。

 

・ボディーソープを胸や脇の下につけて触ることで、なめらかに指が滑ってしこりが確認しやすくなります。親指以外の4本指で乳房表面を「の」の字を描くようにゆっくりと動かしましょう。

 

★ベッドでのセルフチェック

 

ベッドでのセルフチェックイラスト

 

・肩甲骨の下に枕やバスタオルなどを置き、あお向けで胸を張るようなポーズを取ります。すると、乳房が平たく引き伸ばされて小さなしこりなどにも気付きやすくなります。

 

・寝たまま片方の腕を真っすぐ頭上に伸ばし、反対側の親指以外の4本指で乳房を軽く圧迫してしこりなどがないか調べましょう。

 

セルフチェックはお風呂の中で鏡を見ておこなうことをおすすめします。

 

触り方については『の』の字を描くようにしてもらっても良いですし、十字を切るように触ってもらっても大丈夫です。大切なのは全体をまんべんなく強弱を付けて触ることです。

 

それから、乳がんは大きくなると皮膚にくっ付いてきます。するとその部分がたわむようになります。なので両手を上に挙げて、胸に左右差があれば乳がんからのサインです。

 

セルフチェックは生理後の胸が張っていない時期が良いでしょう。毎日行う必要はなく、月に1回、生理後の胸が柔らかい時期におこなうのがおすすめです。

 

しこりだけではなく、胸を押したときに乳頭から血液のような血性分泌物が出たときも受診が必要です」(新見先生)

 

まとめ

現在、日本人女性の9人に1人が生涯のうちに乳がんを経験するといわれています。月1回のセルフチェックや年1回の検診で、乳がんの早期発見・早期治療につなげたいですね。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

イラスト/山口がたこ

 

 

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取材・文/ウーマンカレンダー編集室

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