介護は大変だけれど、義母の感謝の言葉に救われ、私は前向きに日々を送っていました。
義母が耳にした夫の秘密
ある日、義母が深刻な顔で私を呼びました。
「ねえ……昨日、息子が電話しているのを聞いてしまったの。どうも女の人と話していたみたいなのよ」
胸がざわつきました。半信半疑のまま義母と協力して調べてみると、夫と女性のベッド写真やメッセージのやり取りなど、決定的な証拠が出てきました。
義母は悔しそうに「本当に情けないわね」と目を伏せました。
義母と私の決意
夫の裏切りを知った瞬間、涙があふれましたが、義母が静かに背中を押してくれました。
「あなたを裏切ったんだから、息子とは離婚しなさい。私はずっと前から、施設に入ろうと思っていたの。協力するわ。一緒に動きましょう」
私は深呼吸をして答えました。
「施設の入居費は、私たち夫婦の貯金から出せばいいと思っています」
義母は「そんなの悪いわ、私のせいで……」と申し訳なさそうに言いました。
けれど私は首を振り、はっきり伝えました。
「大丈夫です。私は慰謝料を請求するつもりですから。だから気にしないでください」
その言葉に義母は少し涙ぐみ、「ありがとうね」と手を握ってくれました。私は義母と心をひとつにして、離婚に向けて密かに動き始めたのです。私はさらなる浮気の証拠を集め、義母は介護付きの老人ホームについて調べることにしました。
夫を問い詰めたら……!?
数日後、夫をリビングに呼び、証拠を突きつけました。
「これ、どう説明するつもり?」
夫は青ざめ、「ちょっと遊んでただけだ! 本気じゃない!」と弁解しましたが、私と義母は冷静に見つめるだけ。夫はさらに「お前が母さんの世話にかかりっきりで、俺を全然構ってくれないから、外に女をつくるしかなかったんだ」と浮気の原因がまるで私のせいと言わんばかりの発言をしたのです。
義母はついに声を荒らげました。
「家庭を支えてきた妻に何てこと言うの!? 自分がしたことの責任を取りなさい!」
夫は観念したのか、しばらく黙り込みました。私が弁護士に相談済みであること、そして浮気相手にも慰謝料を請求するつもりだと伝えると、事を荒立てたくなかったのか、「本当に悪かった……」と頭を下げ、離婚の申し出を承諾してくれました。
夫と離婚が成立、その後
その後、義母の施設入所について夫は、最初は渋っていたものの、自分ひとりで介護と仕事を両立するのは難しいと考えたようで、施設への入居に同意しました。共有財産から介護付きの老人ホームの初期費用などお金を支払い、義母が希望していた施設に入所することができました。広くゆったりした個室、共用部はとてもきれい。義母は良い施設に入れて楽しそうに過ごしています。
弁護士を介して離婚協議を進め、数カ月かかって無事に離婚が成立し、交渉の末、夫と浮気相手の双方から慰謝料を受け取ることができました。
夫の裏切りには大きなショックを受けましたが、離婚後もたまに義母に会いに行き、交流は続いています。これからも、大好きなやさしい義母との縁を大切に、前向きに生きていきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。