“節約は主婦の鏡”の圧
ある日の降園時、娘がそっと袖を引いて小声で「ママ、またAちゃんママがいるよ……」とポツリ。 視線を向けると、Aちゃんママが別のママ友に身を乗り出して節約術を自慢していました。しかも、言い方はどんどんトゲを増していき「ほら、“節約は主婦の鏡”でしょ? 登録してポイント貯めるなんて常識よ」というのです。
Aちゃんママは「私がおすすめしたアプリは登録した?カード作成や資料請求もしないと意味ないの!」と必死に説得。説明をされてうんざりしていたママ友が「これ以上カードは作りたくなくて……」と言うと、Aちゃんママは「何言ってるの?家計を守るためにコツコツ貯めるのが良い母親なのよ! 目の前にお金が落ちてるのに拾わないの?」と圧をかけ……。その様子を見ていた保育園の先生がAちゃんママにやんわりと注意し会話は中断したのです。
Aちゃんママはいつも気の弱そうなママに声をかけ、断れない状況を作っていたのです。私は次に会ったときに「この状況を変えてみせる!」と心に誓いました。そして、その“次”は、思いがけず週末の会員制スーパーでやってきたのです。
Aちゃんママが暴走!「クーポンちょうだい」の直球
週末、夫の提案でまとめ買いをしに会員制の大型スーパーへ向かいました。その日は混んでいたので、時短のため夫には隣のスーパーで買い出しをお願いしました。娘と2人で買い物をしていると、Aちゃんママにばったり遭遇してしまったのです! Aちゃんママは「せっかくだし一緒に回りましょうよ」とにこやかに距離を詰め、私は嫌な予感が走りました。
その後、レジの列に並んでいるとAちゃんママが「ここのメルマガ、登録してる? 割引クーポンもらえるわよ!」とひと言。私はよく利用するスーパーだったので、その場でメルマガ登録をしました。そして、スマホの画面に100円クーポンが表示されたその瞬間、Aちゃんママが「早くクーポンちょうだい♪」と言うのです! まさかの発言に驚いた私は「え? どうして?私が登録したのに?」と問いかけました。するとAちゃんママが「私が教えたんだから“紹介料”として当然でしょ?」と当然のように言い放ったのです。その瞬間、腑に落ちました。節約を口実に、他人のクーポンまで自分の取り分として当て込む……。それが彼女の節約の正体だったのです。
Aちゃんママの発言を聞いていた娘が「ママのクーポンでしょ?なんでAちゃんママに渡さなきゃいけないの?ねぇ?なんで??」と不思議そうに言うのです。するとレジの店員が「クーポンはご本人さま専用のもので……」と呟きました。すると周りで聞いていた人たちがヒソヒソと話し始め、Aちゃんママに視線が集まりました。そのタイミングで私は「今回は私の会計で使いますね」と告げクーポンを使いました。
Aちゃんママにビシッとひと言!
会計を終えて外に出ると、Aちゃんママが「私に恥をかかせるなんて! せめてさっきのクーポン分の100円はちょうだい!節約は主婦の鏡でしょ? 協力してよ」と迫ってきたのです!
しつこくせがむAちゃんママに私は「節約? 他人のクーポンを当てにするのは節約ではなく強要ですよ!さっきレジでもクーポンは本人のみと説明がありましたよね。小さな子どもでもわかるルールでしょ?」とビシッとひと言!娘も「人が嫌がることはしちゃダメなんだよ?」と伝えるのでした。
バツが悪くなったのか、Aちゃんママは足早に去っていきました。数日後、登園時にAちゃんママが近づいてきて「この前はごめんなさい!子どもでもわかることなのに……。これからは他人を巻き込まずに節約をするね!」と謝ってきたのです。それ以後、勧誘はピタリと止み登園・降園に穏やかさを取り戻しました。
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「節約は主婦の鏡」と個人の意見を押し付けて、さらに横取りする行為は節約ではなく、人間関係を傷つける行為。人付き合いは「同意」と「尊重」が重要です。違和感を覚えたら、落ち着いて境界線を引くことが大切です。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。