「チャーハンだけ?」夫が放ったひと言
ある朝、私は泣いている息子を抱っこしリビングを歩き回っていました。すると起きてきた夫が「あれ? 朝飯は?」と呟きました。私が「ごめん! 夜泣きがひどくて準備できてないの……」と言うと夫は「今から出勤なんだよ。無駄に体力使いたくないんだけど」と言い放ったのです。
さらに、「今日は紺の靴下の気分だな。出しておいて」とまるで家政婦扱い。私が「それくらい自分でやってよ!」と言うと夫は「育休中で暇だろ? ちょっとは動けよ! 出産で増えた体重を減らすのに俺が協力してやってんの!」と心無い言葉を放ったのです。さすがにイラッとした私は夫の言葉を無視し息子の予防接種があるため準備を始めました。そして夫は、不機嫌なまま仕事へと向かったのでした。
その日の午後、私は予防接種を終えた息子を抱えながら夫に「今日は息子の予防接種があってバタバタだったから、夕飯は各自でお願いします」とメッセージを送りました。ところが、帰宅した夫が「メッセージ見たけど無理じゃないだろ! パパッと何か作ってよ!」とひと言。 私は深呼吸をして「チャーハンでもいい?」と言い、冷蔵庫の残りと冷凍ご飯でチャーハンを作りました。すると、 夫が「え!?これだけ!? 汁物とかないの? 味噌汁とサラダくらいパパっと作れるだろ」と文句をつけ始めたのです。怒るより先に疲労が勝ち、私は実母へSOSを出しました。母はすぐ来てくれて、私はようやく肩の力が抜けました。
夫の無茶振りに私は……
数日後、夫が「今度の土曜、母さんが友だちを連れて来るって。おもてなしよろしく♪」と軽いノリで言うのです。私は「今は無理だよ……。息子の夜泣きで大変だし……」と断ろうとすると、夫が「俺が恥をかくだろ。嫁としてしっかりおもてなししてやれよ」と圧をかけてきました。私は夫の傲慢な態度にある決意をしました。
そして当日。私はあえて特別な準備はせず、洗濯ラックには乾いた衣類、床にはベビーマット、シンクには消毒済みの哺乳瓶……。ありのままを見てもらうと考えたのです。すると玄関のチャイムが鳴ったので、義母をリビングへと通しました。その直後、夫は私を指さし「母さん見てよ! 最近こいつ怠けててさ。夕飯がチャーハンだけのときも……」と愚痴り始めたのです。すると義母が「呆れた……! 赤ちゃんを抱いている人と、手が空いている人。動くのはどちらでしょう? 結論は簡単でしょ? 掃除も片づけもあなたがやるべきでしょ!!」と夫にビシッと言ってくれたのです! さらに義母が「チャーハンだけの何が不満なのよ! 主食・卵・ねぎ。十分でしょ!」と私を庇ってくれたのです!
そうこうしていると、チャイムが鳴り玄関を開けると私の母が……! 私は義母に向かって「友だちって、もしかして……?」と尋ねると母がうなずき「産後は“見えない負担”が多いから1人で抱え込まないように、両家で話し合っておきたかったの!」すると義母が「うちの息子がごめんなさい。これからはしっかりと家事も育児もやってもらうから」とひと言。ようやく事の重大さに気づいた夫はうなずき、義母と母のおもてなしの準備をし話し合いを始めました。
義母と母のおかげで夫が改心!
義母と母が見守る中、私たちはテーブルに分担表を作りました。朝のゴミ出しは夫が担当。洗濯は手が空いている人が担当すること。食後の後片づけは、料理を作っていない人がする。身の回りのことは、衣類と靴下を各自で管理。さらに、私から「今日は無理です」と合図が出たときは、ただちに各自調達へ切り替え、連絡はスルーしないこと。そして、守れなければ離婚に進むことを条件に追加。夫は「約束します」と義母と母の前で宣言するのでした。
その夜、夫が作った初めてのチャーハンは少し味が濃かったものの、温かくてまっすぐな一皿でした。私は「ありがとう!とってもおいしいよ!」と伝えると、夫は「次は味噌汁も作るね!」と笑顔で言ってくれました。翌朝、夫は自分で紺の靴下を取り出し、ゴミ袋を手に玄関へ……。今では、義母と母のおかげで穏やかな日々を過ごしています。
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産後は“見えない負担”が多いから、合図を出す・役割を見える化する・手が空いている人が先に動く。 そしてママの休息も育児の一部。助けを求めることは、自分の心と体を守るための最初の一歩です。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。