「ふざけんな!」に騒然。視線を向けると…
その日はとても暑かったので、アイスやジュースの自動販売機のところへ行き、飲み物を買うことに。ジュースを選んでいると「ふざけんな!」という怒鳴り声が聞こえてきました。びっくりして視線を上げると、子どもに怒鳴る見知らぬ父親の姿がありました。3、4歳ぐらいのその男の子はびっくりした表情のあと、大泣き。地面には自動販売機で買ったであろう、包みから出したばかりのアイスが転がっていました。
何事だとその親子を見ていると、「せっかく買ったんだぞ!」と父親。おそらく、子どもがアイスを落としたから怒っていたのだと思います。「何やってんだ」「もったいないだろ、金返せよ」と罵倒し続ける父親に対し、さすがに怒りすぎではないかなと思いつつ、よその家族のことなので、見て見ぬふりをしてその場を立ち去ろうとしました。すると、そばにいた夫が急に動き出し、親子のもとへ……。
私は驚いて「ちょっと……」と言いましたが、正義感が強くて聞く耳を持たない夫。その父親に対し夫は「ちょっと言い過ぎじゃないですか?」と声をかけたのです。顔を真っ赤にして怒鳴る父親に変に絡みに行って、余計にヒートアップさせてしまったらどうしようと、私は血の気が引くのを感じました。
しかし夫は、その父親を落ち着かせようと「お子さんがアイスを落としたんですか? 私がもう1度買うので、落ち着いてください」と静かに話します。父親は急に話しかけられ「あ、えっと……」としどろもどろ。夫が泣いている子どもに「どのアイスがいいの?」とやさしく言うと、「オレンジのアイスがいい」と少ししゃくりあげながらも答えが返ってきました。夫が「どうぞ。落ちちゃったアイスはティッシュできれいに拭いたらいいからね」と新しく買ったアイスを親子に差し出し、落ちたアイスを拾うと、「ありがとう」と笑顔を見せた男の子。落ち着いて子どもをなだめる夫を見て、自分が我を忘れてしまっていたことに気づいたのか、父親は「公共の場ですみません」と至極反省した様子で謝罪します。
しゃがみこんで夫といっしょに床を拭く父親を見て、男の子も「パパ、落としちゃってごめんなさい」と謝罪。父親は「パパも言い過ぎたね、ごめんね。きれいに拭いとこうね」とやさしい顔で子どもの頭をなで、その様子を見ていた周囲の人からは拍手が起こりました。
子育てをしていると、小さなことが積もり積もってイライラが爆発することがあるかもしれません。しかし、感情のままに怒ってしまうと、反省する気持ちよりも怒られて怖い、という気持ちが勝ってしまうと思います。私もつい感情を抑えられず怒ってしまうことがあるので、夫の冷静さを見習って常に落ち着いて子どもと接することができるよう心がけたいと思った出来事でした。
著者:中村あんな/30代・ライター。5歳の長男と2歳の長女を育てるママ。家計を支えるため、ライターの傍らパートも開始。夫は激務のため、子育てはほぼワンオペ状態。常に子供たちが楽しめるイベントや遊び場を模索中。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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