しかし、夫の応援は少し度が過ぎているようでした。親しい友人であれば、相手の負担にならないよう陰ながら応援するのがスマートだと思うのですが、夫の場合は「俺が育てた」と言わんばかりの態度。
私たちには小学6年生の娘がおり、先日、第一志望の中学校に合格しました。本来であれば、家族にとって最も優先すべき慶事ですが、夫の頭の中は友人のことでいっぱいのようです。
頼まれてもいない「自称マネージャー」
友人の店が注目され始めてから、夫は頻繁に店へ顔を出すようになりました。忙しい時期に長居をして迷惑になっていないか、妻として不安になります。夫は「あいつは俺の顔を見れば安心するんだ」と自信満々ですが、根拠はありません。
さらに心配なのが、SNSでの行動です。夫は友人の店のSNSを細かくチェックし、コメント欄に助言を書き込んだり、少しでも批判的なコメントがつくと、友人に無断で反論を書き込んだりしているようなのです。
「俺はあいつのマネージャーをしてやってんだ。あいつのために善意でやってあげてる」と得意げですが、部外者が過剰に反応することで、トラブルの種になりかねません。私が「お店の営業妨害になるかもしれないから、やめたほうがいいよ」とやんわり伝えると、夫は「何もわからないやつが口を挟むな!」と怒られてしまいました。
娘の合格祝いよりも優先したもの
そんなモヤモヤする日々を過ごしていた中、わが家にとってとても大切な日を迎えました。娘の中学合格を祝う食事会の日です。娘の努力はもちろん、私の両親も塾の送迎を協力してくれたり、学費の援助を申し出てくれたりなど、家族総出で娘の受験を応援してきました。その感謝を伝える重要な場でもあります。
しかし、約束の時間になっても夫は予約していた店に現れず、連絡を入れると、悪びれる様子もなくこう言いました。
「今日はあいつの誕生日だから」
夫は、今日が娘を祝う食事会であることなど完全に頭から抜け落ちているようです。
「また幼なじみ?」
「祝っちゃ悪いのかよ?」
夫の話では、同級生たちによって友人の誕生日パーティーが開かれることをSNSで知り、「親友の俺が行かないわけにはいかない」と勝手に押しかけることにしたそう……。
「今日何の日か知っている?」
私が問いかけると、夫はようやく娘を祝う食事会だと気づきました。しかし、返ってきたのは「合格祝いなんていつでもできるだろ。誕生日は今日しかないんだ」という、耳を疑う言葉でした。
さらに夫は、パーティーに地元で活動するインフルエンサーや、家業を継いで社長になった同級生も来ると聞きつけ、そこに参加すれば自分も特別な人脈ができると思い込んでいたのです。娘のお祝いや私の両親への感謝よりも、自分の虚栄心を満たすことを選んだ夫に、私は言葉を失いました。
勘違い夫の末路
夫は「家族サービスはまた今度!」と言い、意気揚々と友人の店へ。しかし、その30分後、夫から悲痛な連絡が入りました。
「入れてもらえなかった……」
夫の話によると、パーティーは完全招待制で、仲のいい友人だけを招いて開催されているとのこと。招待状のない人間は門前払いされたそう……。
夫が「俺だよ! 親友の俺が来てやったぞ!」と食い下がると、騒ぎを聞きつけた友人が現れ、「今日は店や地元の今後について話す、仕事に関わる大事なパーティーなんだ。招待していない人は帰ってくれ。正直、SNSの件も迷惑している」と告げられてしまったそうです。
長年連絡を取っていなかったのに、有名になった途端に「親友面」をして近づいてくる夫は、友人にとって「厄介な過去の知り合い」でしかなかったのかもしれません。夫は「今からそっちに行く」と言ってきましたが、私は来ないでほしいと伝えました。
その場にいた私の両親も、孫をないがしろにした夫の態度に激怒し、「顔も見たくない」と拒絶しました。何より、娘自身が夫に冷めていました。「パパはいつも自分のことばかりだから」と、期待することをとうの昔に諦めていたのです。
この一件が決定打となり、私たちは離婚しました。夫はすがりついてきましたが、これまでの積み重ねが招いた結果です。現在は実家のサポートを受けながら、娘と穏やかに暮らしています。娘は志望校で新しい友達もでき、充実した毎日を送っています。私はこれからも、娘の努力と成長を一番近くで応援していきたいと思います。
◇ ◇ ◇
友人の成功を自分事のように誇らしく感じる気持ちは自然ですが、応援は相手の立場と距離感を尊重してこそ。家族という一番身近な存在を大切にできない人が、他人から大切にされるはずもありませんよね。優先順位を見誤ると、本当に大切なものを失ってしまいます。誰のために時間を使うべきか、常に心に留めておきたいですね。
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。