最初のうちは「いいお嫁さんね」とやさしくしてくれた義母。でも同居から数カ月経つと、その態度は次第に変わっていきました。
義母の“本性”が明らかに
「今日は体調が悪いの」
そう言って毎日のように寝転びながらお菓子を食べ、テレビを見ては大爆笑する義母。
家事の分担を決めていたのに、私が仕事から帰るころには洗濯も食器も山積みです。
「お義母さん、休みながらでもいいので少しは家事をやってもらえると……」とやんわり言っても、「私は年寄りだから」「今日は足が痛くて」などと言い、取り合ってくれません。
夫は私の味方で、「母さん、少しは手伝えよ」と注意してくれました。義母は「ごめんなさいね~」と口では謝るものの、翌日にはまた同じ。加えて、「年金が少ないから」と、食費や光熱費もすべて私たち持ち。私たちの疲れは、日に日に溜まっていきました。
義兄の帰国、そして“追い出し宣言”
そんなある日、義母がうれしそうに言いました。
「お兄ちゃんがアメリカから帰ってくるの!」
義兄は大企業に勤める自慢の息子。義母は昔から「お兄ちゃんは立派だわ」と何度も口にしていました。
そして義兄の帰国が近づいたある日、義母が驚く発言をしました。
「悪いけど、お兄ちゃんが帰ってくるから出て行ってくれない?」
あまりの理不尽さに、言葉を失いました。でも、私たちには家を出る絶好の機会となりました。夫は「わかった、なるべく早く出て行くよ。ただ、俺たちの物は全部持っていくからね」と言いました。義母は承諾し、義兄との生活を心待ちにしている様子でした。
義母が絶句した理由
私たちは早々に転居先を探し、引っ越し作業を始めました。
冷蔵庫も、洗濯機も、電子レンジも――すべて、もともと私たちの家から持ってきたものと、同居にあたって新調したもの。これらを全部持って行きます。
「この家、けっこうスッキリするね(笑)」
夫が笑いながら荷物を運び出す姿を見て、思わず吹き出しました。
義母はこの家の大型家電が、ほぼ私たちの物だということを忘れていたのでしょう。
引っ越し作業後、義母から夫へ怒りの電話がかかってきました。
「ちょっと! 家の物がほとんどないじゃない!」
「だって、もともと俺たちが買ったものだから」と伝え、静かに電話を切りました。
新しい家と、新しい命
しばらくして聞いた親戚からの話によると、アメリカから帰ってきた義兄は、仕事をクビになって帰国したそう。仕事をせず一日中だらだらする義兄と、言い争いの絶えない生活をしているとのこと。家を出てよかったと心底思いました。
マンションに引っ越して数カ月後、私の妊娠が判明し、無事に出産。今は三人暮らしになりました。あの日の引っ越しは、私たちにとって“自由”と“家族の始まり”の第一歩でした。今はただ、穏やかな幸せをかみしめています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。