楽しいはずの正月が…
5日間の滞在予定で帰省した初日、仲の良い幼なじみの家族など総勢8人が実家に集まりました。こたつのぬくもりとお餅の香り、笑い声に包まれ、実に楽しいひとときを過ごしたのですが……。
悪夢は翌日に始まりました。友人から「うち、全員インフルエンザになっちゃった。そっちは大丈夫?」とLINEが届いたのです。
嫌な予感が胸をよぎった矢先、夫が40度を超える高熱で倒れ、夜間救急へ。診断結果はインフルエンザでした。そして翌日には私が、さらにその翌日には1歳の娘も高熱を出し、ふたりともインフルエンザと診断されました。私たち家族は見事に全滅してしまったのです。
親族まで次々と感染
夫は人生初のインフルエンザであまりのしんどさに動けず、高熱の私が夫と娘の看病をすることに。泣き止まない娘を抱く腕は鉛のように重く、ただただつらい時間をやり過ごすしかありませんでした。
やがて感染は両親、そして祖父母にまで拡大し、救急病院へ駆け込む事態に。実家の家族全員の顔色は土のようにくすみ、家の中はうめき声と体温計の音で満ちていきました。
当初5日間の予定だった楽しい帰省は、熱と悪寒に支配された2週間の隔離生活へと変わってしまったのです。
「ウイルス家族」疑惑と帰省拒否
友人家族の発症がわずかに早かったものの、実家内で最初に倒れたのが夫だったため、「あんたたち家族が持ち込んだんじゃないの?」という両親からの冷ややかな視線が突き刺さりました。友人宅も全滅しており、まるで私たちが感染拡大の引き金になったかのような空気に……。
結局、肩身の狭い思いで実家に2週間お世話になり、全員が完治してようやく自宅へ戻ることができました。
しかし悲劇はそれだけで終わりません。翌年、「また帰省するよ」と母に告げると、「またウイルスを持ち込まれて感染するのは勘弁してほしいから、もう帰省はやめてくれ」ときっぱり拒否されてしまったのです。
高齢の祖父母もいるため、あのお正月以来、実家からの「帰省拒否」は5年間も続き、一度も敷居をまたぐことはできませんでした。
親族も友人も巻き込んだ正月の感染騒動。実家で最初に発症したのが私たち家族だったことで「ウイルスを持ち込んだ」と疑われ、長きにわたり帰省を拒まれるという苦い経験になりました。この出来事から、体調管理や感染症への備えの重要性を改めて痛感し、以降は冬の帰省を控えるようになりました。現在は実家との関係も良好で、互いに無理のない距離感を保ちながら付き合っています。
◇ ◇ ◇
冬場の帰省は、人が集まることで感染症が広がりやすく、家族が一気に体調を崩してしまうこともあります。特にインフルエンザウイルスは、発症前の潜伏期間でも感染力があるため、気づかないうちに広がってしまうケースも少なくありません。
帰省前後の体調チェックや手洗い・換気といった基本的な対策は、自分だけでなく大切な人を守るうえでも有効です。また、少しでも体調に不安があるときは予定を調整するなど、無理のない選択をすることも重要。感染症は誰にでも起こり得るものとして、お互いを責めず、安心できる関係づくりを心がけましょう。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:御法川 元子/30代女性。2015年生まれの女の子の母。子どもが生後4カ月のころから企業の広報担当として働いているワーキングマザー。パニック障害を患いながらも明るい性格で元気に毎日過ごしている。波瀾万丈な人生だが、明るく楽しくをモットーに! 趣味は音楽鑑賞・カラオケ。
イラスト:ななぎ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)