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「中卒の貧乏人は息子と別れなさい!」資産家の婚約者母に追い出されたが想定内!?彼と立てた計画と母親の哀れな末路は

「大丈夫、何があっても俺が守るから」――固く握りしめた私の手に、婚約者である彼の温もりが伝わってきます。

これから向かうのは、ただの結婚の挨拶ではありません。彼が背負ってきた過去と、私たちが2人で築きたい未来をかけた、大きな試練の始まりだったのです……。

資産家の御曹司として、何不自由なく育ったように見える彼。しかし、その人生は「家柄」と「世間体」を第一に考える母親の価値観に縛られたものでした。生い立ちを話してくれたとき、彼は「進学先から友人関係まで、すべてを決められ、ただの一度だって心からの親友と呼べる相手もいなかった」とさみしそうに笑ったのです。


そんな彼が、初めて自分の意志で選んだのが、中卒で飲食店を経営している私との結婚でした。それもあって、2人とも今日の結婚挨拶が穏便に済むとは思えなかったのです……。

 

婚約者の実家での一波乱

「二度と顔を見せるんじゃないわよ! この中卒が!」

 

立派な応接間に響き渡る、甲高い声。ああ、やっぱりこうなったか――不思議と心は冷静でした。悲しみや怒りよりも、予想通りだったことに妙な安堵感を覚えた私。

 

「……人のこと中卒呼ばわりするなんて、非常識だと思わないんですか?」と尋ねると、彼の母親は鼻で笑います。

 

「は? まだ『婚約者』気取りのつもり? そんなの認めた覚えはないわ。 あなたみたいな中卒女、うちの家系に入れるわけないでしょ」

 

隣で青ざめ、立ち尽くしていた彼。我に返ったのか、「母さん、もうやめてくれ!」と声を上げましたが、彼の母親の勢いは止まりませんでした。私の学歴や経歴、そして私が経営しているお店の侮辱。両親の借金や祖父の介護のために高校進学を諦めたという話は、「貧乏人の常套句」「苦労人アピール」と一蹴されたのです。


どんな事情があろうと、中卒は中卒。それが彼の母親の揺るぎない価値観でした。

 

「わかったら、息子と別れなさい! とっとと帰れ、この貧乏人が!」

「……そうですか、わかりました」

 

しおらしい私の態度に、せいせいした、とでも言いたげな彼の母親。私は「安心してください、私のほうこそ、もうあなたと関わるつもりはありませんから」と言って、彼の実家を後にしました。

 

 

 

「なにかあったら、うちからすぐの公園で待ち合わせよう」――それが、彼との約束でした。言われた通りに公園で待っていると、息を切らして駆け寄ってきた彼。

 

「大丈夫!? いや、大丈夫じゃないよな……本当に、本当にごめん。それにしても、思った以上だったな……」

 

実の母親の暴挙に涙を浮かべる彼。私は明るく、「ううん、大丈夫! ある意味予想通りだったもん」と答えました。

 

「今日はもう帰ろう」と彼。その横顔は、悔しそうだけれど、どこか吹っ切れたようでした。

怒り心頭の義母に計画を打ち明けた結果

それから2カ月後――。

 

彼と入籍を済ませ、しばらく経ったある日、知らない番号から何度も電話がかかってきました。出てみると、聞き覚えのある金切り声でした。

 

「あなた! なに勝手にうちの息子と入籍してるのよ!? 息子からは『母さんとは絶縁します』って……人の家庭を壊すなんて、どう責任を取るつもり!?」

 

「責任ですか。妻として、彼を世界で一番幸せにします。それ以上の責任の取り方があるでしょうか?」と私が冷静に返すと、彼女の怒りはますます燃え上がりました。私の落ち着いた態度が気に食わなかったのでしょう。

 

「中卒のあなたが、うちの息子を幸せにできるわけないでしょ! よくもまあ、うちの大事な跡取り息子を奪ってくれたわね!」

 

「奪った? いいえ、それは違います。あなたが私たちの結婚を認めてくれないことはわかってたので……」と言うと、「は?」と義母。

 

夫は、「うちの母さんのことだから、きっと学歴だけで君を判断して、追い返すだろう」と言っていました。きっと何度挨拶に行ってお願いしてもダメだろう……とも。

 

もともと義母に嫌気がさしていた夫は、「それならばいっそ」と、「周りが同情してくれる形で猛反対してもらう計画」を立てたのです。夫は、いっそ周りがドン引きするくらい反対された方が、絶縁もスムーズに進むだろうと判断したのです。

 

「予想通り、あなたは私を追い出した。『中卒』だの『貧乏人』だとののしって……そして、『身分不相応な娘を追い返してやった』って、自分で周りに言いふらしてましたよね」「でも、おかげで最高の『大義名分』ができました。彼も、『これで誰にも文句は言わせずに、堂々と縁が切れる』って。周りの同情を引いて、私たちを味方してもらう作戦は、大成功だったみたいで……いま、私たちは『義母に強く反対されても愛を貫いた悲劇のカップル』としてみなさんに祝福されてます」
 

電話の向こうで、息をのむ気配がしました。

 

「跡取り息子がいなくなったら、私の顔が立たないでしょうが! 親戚には『時代錯誤』って言われて恥もかいたし……悔しいけど、仕方がないから今回は私が大人になってあげるわ」「あなたを嫁として認めてあげる。だから、息子に絶縁は取り下げるように言ってちょうだい」

 

私の中でなにかがプツリと切れる音がしました。義母と対峙するのはこれが2回目ですが、謝罪の言葉はひと言もなく、自分の都合ばかり並べる義母。このままではまた、夫が彼女の支配下に戻ってしまうと思ったのです。

 

「素敵なお申し出、ありがとうございます。でも、お断りします。絶縁を撤回してもらいたいなら、ご自身で頑張ってください」

 

「な、なんですって……!? 嫁のくせに私に逆らう気!? これだから中卒は……」と、また義母が私に罵声を浴びせようとしたそのとき、私の隣から、静かで、しかし、怒りに満ちた声が響いたのです。

 

「……いい加減にしてくれ、母さん」

 

その声の主は、スピーカーフォンで会話を聞いていた夫でした。

 

「俺の大事な奥さんに、なんてひどいことを言うんだよ……」

 

そして、夫は義母に私の生い立ちを話し始めました。高校進学を諦めてから10年以上、必死に働いて自分の道を切り拓いてきたこと。今では2店舗の飲食店を経営し、夫よりもずっと稼いでいること。そして、私たちの新居であるタワーマンションの一室も、私が購入したものであることを。

 

「学歴だけで人を判断する時代は、もうとっくに終わってるんだよ。俺は、母さんよりも妻を尊敬して、信頼してる。俺に母さんを捨てさせたのは、母さん自身だ」

 

「待って!」という義母の叫びを最後に、彼は一方的に電話を切ったのでした。

 

手の平を返してきた義母の末路

数日後――。

 

夫によると、例の電話のあと、義母は義父にもきつく叱られたそうです。

 

「跡取り息子を失うほうが一大事だ」「お前のせいでわが家は恥をかいた」と義父、親戚たちから責め立てられ、義母は四面楚歌の状態に。窮地に立たされた義母は、再び私に連絡を取ってきました。

 

「この前は本当にごめんなさいねぇ。私が間違ってたわ。これからは親子として、仲良くやっていきましょうね♡」

 

以前とはまるで別人のように、甘く、媚びるような響きを持った声。鳥肌が立ちました。

 

「最初の印象は最悪……といっても、行き違いがあっただけよね。きっと仲良くできるはず」「私のお友だちにも、『よくできたお嫁さんが来てくれたの』って紹介したいわ~」

 

あまりの手のひら返しに言葉を失っていた私。義母は無言の私を気にも留めず、「そうだわ! 今度2人でお茶しましょ。せっかくだし……あなたのお店に行ってみたいわ! あと、タワーマンションにもぜひ遊びに行かせてね」と続けました。

 

ああ、やっぱり――義母が興味を持っているのは、お店やタワマン。私の人間性ではないのでしょう。

 

「はぁ……ごめんなさい、お断りします。私、苦手な人とは距離を置きたいので。中卒で育った私が身につけた処世術なので」と言うと、「そ、そんな意地悪言わないでよ! 家族じゃない!」と義母。

 

しかし、私は義母と家族になった覚えはありません。そもそも、認めてくれなかったのは義母のほう。

 

「謝らなくていいので、もう関わらないでください。夫も私も、もうあなたの自慢の道具になるつもりはありませんから」

 

電話を切る間際まで、義母は「謝るから! 許してよ!」とわめいていましたが、もう私の心は動きませんでした。

 

その後――。

 

 

わたしも夫を見習って、義母の連絡先をすべてブロックしました。夫によると、義母は親族から「たった1人の跡取り息子を失った愚かな母親」と責め立てられて、居場所をなくしているそうです。

 

 

あの日の出来事は、確かにつらいものでした。でも、本当の家族とは何か、幸せとは何かを、彼と一緒に見つけるための最初の試練だったのかもしれません。家柄や学歴から解放された夫は今、「いつか君のお店を手伝いたい」と言って、私を支えてくれています。これからも2人で力を合わせ、ささやかだけれどたしかな幸せを、この手で築いていこうと思います。隣で笑い合える毎日が、大切なものなのだと実感しています。

 

【取材時期:2025年8月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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