1年ほど前、義姉が男の子の双子を出産しました。私も現在、おなかに子どもがいます。夫と相談した上で、体調管理のため早めに仕事を辞めて出産に備えているのですが、義母は出産ぎりぎりまでフルタイムで働いていた義姉と私を比べ、「ラクばかりしている」と、ぐちぐち文句を言ってきます。
一度、体調不良で寝込んでいた私に、義母が友人との食事会への送迎を命じてきたことがありました。私は運転できる状態ではなかったので、お断りしたのですが、義母はそれを口答えと思ったようで、「あなたは今、無職なのよ? 息子に寄生して、養わせておいて、その息子の母親である私に逆らうなんてどういうつもり?」と憤慨。
私は思わず、「ずっとこのまま無職でいるつもりはありません。それに養ってもらいたくて結婚したつもりもありません」と言い返してしまいました。すると、文字に起こすのをためらうほどの暴言を吐かれ……。
結局、義母は双子育児で忙しい義姉に送迎させたようで、私は後になってそれを知り、義姉に申し訳ないことをしてしまったと後悔しました。
ヒートアップする嫁いびり
義母は最近、私の妊娠についてあることないことを、ご近所さんや親族たちに言いふらしているようなのです。「おなかの子は、次男の子じゃない」「服装も派手だし、不倫しているに違いない」「出産に備えて仕事を辞めたと言ってるけど、実際はラクしたいだけ」「寄生されてる次男がかわいそう」などなど。
これには夫も怒っていて、義母に注意したり、説明してくれたりもしましたが、何の意味もありませんでした。夫は「母さんのことは無視していい。かかわらなくていい」と言ってくれますが、そうもいかず……。
私が義母の要求を無視して、断りすぎると、そのしわ寄せが義姉にいってしまうので、私は文句を言われながら、いびられながらもできる限り、言うことを聞いてきました。
控えめでやさしい性格で、いつも義母の言うことを聞き入れてしまう義姉。一方の私は理不尽な要求にはきっぱり断ります。そのため「少しは長男の嫁(義姉)を見習え!」と、いつも私にキレてくる義母。さらには、ことあるごとに反論しない義姉を「最高の嫁」と評価し、私を「クソ嫁」といびります。
そんな日々を過ごして半年、私は女の子を出産しました。義母からは産後すぐにお祝いが届き、驚きましたが、孫の誕生は喜んでくれているのだと、ひと安心。しかし、お祝いの封筒を開けてみてあ然。中身は、お札の形に切った新聞紙でした。
あまりにひどい嫌がらせにあきれていると、義母から「アンタが産んだ子なんて孫と認めない! 贈ったのと同じゴミってことよ!」とメッセージが届き、暴言はさらに続き……。
「女孫なんて無価値!」
「長男の嫁を見習え! 跡取りを2人も産んだのよ?」
義母は希望どおり男の子を産み、出産ぎりぎりまで働き、産後も短期間で育休を切り上げて家計を支えるために仕事を再開した義姉は、最高の嫁だと言います。しかし私は、数日前に会った義姉の様子を思い出していました。
「何も知らないんですね」
私は義母の無知を、心から哀れみました。
義姉が義母に従順だったのは…
「え? 何よ?」
私の返答に一瞬ひるんだ義母。私は間髪入れず、事実を話しました。実は、義母が喜んでいる「跡取り」には、もう会えないかもしれません。義兄夫婦はすでに離婚が成立しており、義姉は数日前に出産祝いでわが家を訪れたあと、子どもたちを連れてそのまま遠方の実家へ帰りました。
そう伝えると、「そんな話は聞いていない! 長男の嫁を悪く言って、おとしめたいのか!」と義母は激怒。しかし、これは紛れもない事実です。義姉は、義母からの仕送り催促や義兄の浪費による金銭トラブルに疲れたそうです。以前から弁護士を通した話し合いを進めており、条件のすり合わせなどが済み、離婚が成立し、すぐに義姉は家を出ていったのでした。
「あり得ない! 同居してくれるって約束だった! 跡取りを失ったら大変だ!」と義母は言いますが、義姉は、私のように言い返すと面倒だから逆らわないようにしていただけ。気に食わないと周囲に悪評を流されるなどしてしまうため、対照的な私の姿を見て、義姉はひたすら耐えることで、トラブルを避けようとしていたのでした。
それに、義母は「跡取り」と言い、男の子の孫にこだわっていますが、義実家は家業をしているわけでも、継ぐほどの財産があるわけでもないので、なぜそこまでこだわるのか私には理解できませんでした。
その後、義母は義兄に連絡を取り、離婚のことを尋ねたようですが、詳しくは話してくれなかったそうです。きっと自分の浪費が原因で離婚したことを内緒にしたかったのでしょう。そのため義母の怒りの矛先は私へ集中。「家族の輪を乱した、最低な嫁! 一族から追放してやる!」とまで言われました。
それからほどなくして、義兄から義母への仕送りがストップしてしまったそう。今まで家計を支えていた義姉がいなくなり、義兄には借金があり、養育費の支払いもあるのですから、余裕がなくて当然……。
お互いに支え合ってきた私と義姉
すると今度は、「あの裏切り者(義姉)の連絡先を教えてちょうだい! 私があなたの分まで仕返ししてあげるわよ!」と私に連絡してきた義母。なぜ私が義姉に仕返しを……? 私のことをバカにしていたのは、義母だけです。仕返しの必要なんてありません。むしろ義姉とはずっと親しくしており、いろいろと悩みを相談し合ってきた仲。もちろん、相談していたのは義母のことです。
私が今まで義母と縁を切らずにいたのは、義姉のためでした。義姉にだけ負担がかかってしまわないよう、配慮していたのです。しかし、義姉がいなくなった今、義母と付き合う必要はなくなりました。縁を切ること、もちろん仕送りなんてもう二度としないことを告げ、電話を切りました。
義母は、仕送りがないと生活できないと泣きついてきましたが、こうなったのも、全部義母のしてきたことが原因。私はもう、手を差し伸べるつもりはありません。次男である夫も私の意見に同意してくれています。
その後、「今まで母さんのせいで苦労をかけて本当に悪かった。母さんに知らせず引っ越そう」と夫が提案してくれて、わが家は義母に内緒で引っ越しをしました。初めての子育ては大変ですが、もう余計なことをする人がいないので、今は家族3人、のびのびと生活できて幸せです。義姉とは今でも連絡を取り合っていて、お互いに子育ての悩みを相談し合っています。
◇ ◇ ◇
義母が最高の嫁と評価していた義姉が、陰で義母と縁を切る準備をしていたとは皮肉な結末でしたね。それぞれの方法で義母の理不尽な仕打ちに立ち向かった2人のお嫁さん。毅然とした態度で立ち向かう勇気、波風を立てず去る準備を進めた思考力、2人には見習うべき点がたくさんありました。わが子や家族を守るため、迷わず決断を下せる強さを持っていたいですね。
【取材時期:2025年11月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。