【医師監修】赤ちゃんをうつぶせ寝させるときの注意点(メリット・デメリット)
「うつぶせ寝」とは、その名のとおりうつぶせになった状態で寝ることを指します。うつぶせになるだけでは、「うつぶせ寝」とは言えません。昭和から平成に変わる時期に、日本でうつぶせ寝がブームになったことがありました。ですがその後、うつぶせ寝はよくないという流れに変化していきました。どうしてそうなったのでしょう。あまりよいイメージがないうつぶせ寝ですが、メリットもあります。ここでは、うつぶせ寝のメリット・デメリット、赤ちゃんをうつぶせ寝させるのときの注意点などについて紹介します。
うつぶせ寝のメリット・デメリット
赤ちゃんは体の機能がまだ未発達であり、赤ちゃん特有の胃の形をしているということから、哺乳の際、空気を飲み込みやすく、げっぷと同時に消化しきれなかった母乳や育児用ミルクの吐き戻しやいつ乳が多く見られます。ですが、うつぶせ寝にすると空気を飲み込みにくくなると同時に消化も促されます。
また、赤ちゃんは横隔膜の動きがメインとなって呼吸しており、横隔膜は胃や腸などの圧迫によって動きが妨げられてしまいますが、消化が促されることによって赤ちゃんの呼吸も楽になるのです。
そのほか、赤ちゃんの頭が圧迫されないため頭の形がよくなる、赤ちゃんが落ち着くため寝つきがよくなるといったメリットがあるようです。
●うつぶせ寝のメリット
・消化されやすい
・嘔吐しにくい
・呼吸が楽になる
・頭の形がよくなる
・寝つきがよい
厚生労働省の報告によると、平成30年(2018)には、61人の赤ちゃんが乳幼児突然死症候群(SIDS)で亡くなっており、乳児死亡の原因としては第4位となっています。うつぶせ寝ブームの後、乳幼児突然死症候群(SIDS)とうつぶせ寝との関連が報告されたことをきっかけに、うつぶせ寝が避けられるようになりました。
また、平成28年におこなわれた消費者庁の発表によると、0歳児における不慮の事故死のなかでは、「窒息によるもの」の割合が高く、特に就寝時の窒息死事故が多数起きているということです。なかでも顔がマットレスなどに埋まる事例が最も多いということでした。
●うつぶせ寝のデメリット
・乳幼児突然死症候群のリスクが高まる
・窒息の恐れがある
うつぶせ寝はいつごろからしてよいのか
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、生後2カ月から6カ月の赤ちゃんに多く、稀に1歳以上で発症することがあるため、厚生労働省では医学上の理由でうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、1歳まではあお向けに寝かせるよう勧告しています。
赤ちゃんをうつぶせ寝させるときの注意点・事故を防止する方法
生後5~8カ月ごろには、多くの赤ちゃんは寝返りができるようになっています。うつぶせ寝の際に問題になるのは、寝返りをうてるようになった赤ちゃんが自力であお向けに戻ることができず、窒息してしまうという状況です。
かといって寝返りが始まったら四六時中赤ちゃんを見ているということもできません。寝返り防止専用のクッションや赤ちゃんの左右に分厚い布団を敷き、赤ちゃんをあお向けに固定しておくという方法があります。けれどもあお向けにしてもうつぶせになってしまう、うつ伏せ寝が好きな子がいます。この場合は仕方がないと思います。
また、寝ている赤ちゃんの動きが低下したり無呼吸になったりしたときに音やランプで警告する「無呼吸アラーム」や、睡眠中もあお向けの姿勢を保ち、観察が容易なベビーチェア「バウンサー」などを活用していくというのも1つの方法です。
これらの工夫に加え、窒息の予防や乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率を低下させるためにも以下のような点に注意する必要があります。
【赤ちゃんの窒息を予防するために】
・大人用ベッドではなく、できるだけベビーベッドに寝かせ、転落しないように柵は常に上げておく
・掛け布団は子ども用の軽いものにする
・敷き布団やマットレスは、アイロン台と同じ程度の硬さのもの使う
・赤ちゃんの顔の近くに、口や鼻を覆ったり首に巻き付いてしまったりする物(枕、タオル、衣服、スタイ、 ぬいぐるみ、ひも状のものなど)は置かない
・ベッド柵とマットレス、敷き布団の隙間など、赤ちゃんの頭や顔が挟まってしまうような隙間をなくす
・添い寝をする際には、赤ちゃんを圧迫しないよう十分注意する
【乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率を低下させるために】
・1歳まではあお向けで寝かせる
・できるだけ母乳で育てる
・タバコをやめる
まとめ
うつぶせ寝にはメリットもありますが、乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息の危険もあるため、うつぶせ寝が可能な時期や注意する点がいくつかあります。基本的には赤ちゃんから目を離さないようにすることが大切ですが、うつぶせ寝を避けたほうがよい時期にはグッズを活用するなどして対策していきましょう。