【医師監修】出産後のストレスとダイエットの気になる関係(2)
産後1カ月間が最も大変。1歳までは…と腹をくくって!
植:産まれてすぐに覚悟しなきゃいけないのは、生活リズムが変わること。赤ちゃんの生活リズムに一定はありませんから。
大:振り回されるのを覚悟しなきゃですね。
植:断言しますが、ゆっくりとは眠れません。新生児のうちは1時間おきに母乳を求めますから、産後一カ月は本当に大変。いちばん身近にいるご主人にサポートをしてもらって乗り切るのが理想的ですね。
大:特に一人目の出産で、初めて育てる人は経験が無いから分からないですよね。
植:確かに二度目以降の人は要領が分かるから、その分気構えが違いますね。初めての子育ての人は、分からないことだらけでパニックを起こすこともあるだろうし、それに加えて体が疲れてきてイライラするから、時には子どもをみるのをやめたくなってしまうこともあるかも知れません。
大:赤ちゃんって理屈ではいかないもの。それでストレスを感じてしまうんでしょうね。若い時は自分のことだけ考えて生きていればよかったけど…そうはいかない現実に直面してしまうんですよね。
植:赤ちゃんってそんな思い通りにならないものって頭に入れておきましょう。ではいつごろから状況が変わるかっていったら、言葉が通じるようになってから、でしょうね。3カ月くらいになると、こちらが笑うと微笑み返したり、コミュニケーションが成立しはじめるんです。だからすごく可愛く思えてくるんですよ。
大:育児って、自分自身のチャレンジでもありますよね。辛い状況を乗り越えることで、新たに自分が成長して変わっていくという。大きいスパンで考えていくほうがいいかなって思うんです。
植:その通り。子どもを産んで育てていくことは、お母さんにとっても人生においてかけがえのない成長があるんだと思います。本当に一日中振り回されて大変なのは1〜2カ月間のこと。ほんの短い期間なんです。
大:これが一生続くんじゃないかって思ってしまって、憂うつになってしまうようですね。そんなわけないのに。
植:そうそう、子育ては一生続くわけではありません。赤ちゃんの時期っていうのは、たかが1年よ。“たかが1年なんだな”と思えば辛くない。1歳になるまでは赤ちゃんをメインに考えて。1年間なんてあっという間に過ぎます。それはそうするんだと腹くくるしかないですね。子育てにおいて、乳児期の最初の段階と自立期、この2回は腹をくくってほしいと思います。
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大:ストレスを感じるとなぜ食に走ってしまうのでしょうか?比較的男性はあまりそういう話は聞きませんよね?女性特有のものなのでしょうか?
植:男性は飲む(アルコール)のほうへいくことが多いのかも(笑)。要は、イライラしている気持ちを埋めようとする作業なんです。だから食べるだけじゃなく、買い物しまくったり、他人に依存したり、人によっていろんなケースがあります。
大:不思議なもので、ストレスを感じると、どうしてもあまいもの、あぶらっこいものが食べたくなりますよね。いけないと分かっていても食べちゃうという悩み、多くの方が持っているようです。
植:欲求のまま食べてしまえばすごく偏ってきますよね。自分だけの体じゃないし、自分だけの人生じゃないということをわきまえないといけません。でも、食べすぎを警戒するあまり、極端に制限してしまうと、すごく強迫的になるんですよね。気付かぬうちに自分をキリキリと追い詰めてしまう。
大:何かあると自分を責めてしまう性格の人が陥りやすいですよね。「自分はだめな人間だ」的な。ハードルが高すぎちゃって、失敗した自分を悪だと思ってしまう。
植:甘いものを食べすぎるのはよくないけど、たまにはいいんじゃない?とか、バランスを取ってみて。食べ過ぎちゃって、気持ち悪くなると次は止めようって思うじゃないですか。お酒を飲みすぎた時の後悔と一緒。加減を自分の中で心得ておくことが大事ではないでしょうか。
大:性格にもよるのでしょうが、あまり強迫的になるのは危険だということですね。
植:そうです。それは子育てとも通じていて、ちょっと赤ちゃんが泣いただけでも“泣かせてはいけない!自分はだめな母親だ”と自分を追い詰めてしまうんですよ。それは赤ちゃんにも悪影響だし、お母さん自身も子育てが楽しくなくなってしまいますよね。あまり自分を縛り付けないで。