【医師監修】出産後のストレスとダイエットの気になる関係(1)
出産後、体型の変化に悩む女性は多いですね。育児に忙しいママたちは独身時代のようにマイペースなダイエットはできず、なかなか効果が出ない。そのストレスから、余計に食べてしまうという悪循環…。「ストレス」「ダイエット」をキーワードに、臨床心理士・植松先生と、一歳のお子さんを持つライター・大美賀さんに対談して頂きました。ダイエットと子育ての関係性、ストレスとの向き合い方について、ぜひ参考にしてください。
大美賀直子(おおみか なおこ) |
植松紀子(うえまつ のりこ) |
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「ストレス」と「心」の分野を中心に執筆するメンタルジャーナリスト。著書に「発想美人のススメ(メディアパル)」、監修に「心とカラダの磨き方(PHP研究所)」がある。All About「ストレス」サイトガイド。日本 産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー。 |
「こどもの城」小児保健部にて臨床心理士(常勤)を経て、臨床心理士として日本大学通信教育非常勤講師、川崎市人権オンブズパーソン専門調査員、植松メンタルヘルス・ルーム主宰。横浜市、藤沢市の各教育委員会のスーパーバイザー。日本学校メンタルヘルス学会評議員、田中教育研究所評議員。 |
子育てはダイエットにもなる?!
植松先生(以下・植):最近気になるのは“動かない”お母さんが多いこと。子どもを公園に連れていっても一緒に走ったり遊んだりしないで、ベンチにどっかり座ったまま。注意するのも遠くから大きな声でするだけ。そばにいって止めない人が多いです。
ライター大美賀さん(以下・大):見てるだけじゃなくて、一緒になって遊んであげることが大事なんですね。
植:一緒になって追いかけっこしたり、高い高いしたりしてごらん。子どもと一緒に走り回っていたら、少々食べ過ぎたカロリーなんてすぐに消費されるはず。
大:たしかに一緒になってスキンシップをすると、子どもってすごく素直になりますね。一方的に注意するとすごく反発するのに。
植:子どもは、“一緒に行動してくれる人”が好きなんです。“仲良しになった〜”って気がして嬉しいのね。同じ感覚を得ることは、同じ感情を得られるということ。それはお母さんにとってもとてもいいことです。
大:いっぱい笑って、いっぱい動いて、きっと脂肪もいっぱい燃焼しますね。なるほど、体を動かすことを考えるのが近道なんですね。実は子育てってダイエットにもなってるんじゃないかって思えます(笑)。
植:お散歩に出たり、お買い物も車や自転車じゃなくてたまには歩いてみたり。それだけでも全然違いますよ。動くことを億劫がっちゃだめです。
大:ダイエットっていうと、“エアロビクスやらなきゃ!”とか大掛かりに考えてしまいがちだけど……。
植:ビリーズブートキャンプやらなきゃ!とかね(笑)。そこまでしなくても、日ごろの生活で充分ダイエットになるんです。子どもと一緒に行動して、子どもと同じような生活リズムにしたら、ダイエットだけでなく、健康にもいいですよ。
大:私も最近は、子どもと一緒に10時くらいに寝ちゃうんです。そうすると朝5時くらいに目が覚める。朝からきちんとおなかも空くし便通も良くなって、本当健康的になりました。おすすめです(笑)。
授乳期のダイエットは厳禁!自分の体型より赤ちゃん優先
大:出産後、すぐに体型を戻そうと食事制限をする人がいるようです。
植:それはよくないですね。母乳って食べないと出なくなっちゃうんですよ。食事を減らすと、途端に出なくなってしまう。
大:母乳の時期なのに、体型のために食事制限をするのは危険なんですね?
植:母乳の時期は、自分の体型優先じゃなくて、赤ちゃんを優先してあげて。それに、母乳を飲ませていると、とにかくお腹が空くんです。母乳を作るために必要なことなのね。なので、多少たくさん食べても体は締まっていくんです。かといって、あまいものばかり食べてしまうのは良くない。母乳になった時に栄養のあるものを食べるようにしましょう。
大:自分一人の体ではないという自覚を持つべきですね。
植:そう、エネルギーも栄養も赤ちゃんに与えているわけだから。不思議なもので、授乳期が終わって飲ませなくなると太り始めるの。ここからのほうが要注意。
大:離乳食が始まると、作って余ってしまったものを勿体ないから食べてしまって太るという声もよく聞きますよね。子どもは思ったように作ったもの食べてくれないこともあるから(苦笑)。
植:更にご主人に付き合って夜中食べて…が重なるともう大変(笑)。でも、子どもの残り物を食べてしまうというのはそんなに気にしなくてもいいと思います。それだけでものすごく太るということはないので。
ストレスは誰にでも必ずあるもの。存在を受け入れましょう
植:そもそも人間にストレスは付き物。どんな人だって、日々小さなストレスはあって当たり前なんです。無くそうと思うほうが無理。
大:ましてや産後は慣れないことの連続で、ストレスを感じやすくなっているのは当然ですよね。
植:すごくストレス多いと思いますよ。初めての出産の人なんて特にそうでしょう。今までの生活とまるで違う生活が始まるわけだから。ストレスを感じないほうがおかしい。出産前に保健センターや母親学級で学んではいるはずなんだけど、実際直面する問題すべてに応用できるとは限らないのよね。
大:ストレスはあって当然と割り切って、上手に付き合っていくのが得策のようですね。
植:何をストレスと感じるかはその人の受け取り方にもよるでしょうが、“ストレスが掛かりますよ”と言われた途端に抑圧感を感じて、憂うつになってしまいますよね。そうではなくて、“赤ちゃんが産まれたことによって、自分のすべき役割が多くなっていくんだ”と捉えたほうが受け入れやすいのかな。心構えをしておくだけでだいぶ違いますよ。
大:それと、子育てを孤独にしなければならないという現実が、よけいにストレスを招いているんだと思います。現代は、子育てが個人の問題になってしまっている気がして…あくまでも自分の子どもだけで、他人の子どもに話しかけたりコミュニケーションを取ることが希薄になってますよね。
植:そうね。それに、自分の両親と一緒に住んでいない人も多いでしょう。近くにいないからすぐに意見を聞くことが出来ないっていうもどかしさとか不安とかもあるんだろうなぁと思います。