【医師監修】妊娠検査薬で陽性になったらいつ病院へ行く?
妊娠したかも・・・と思ったら、とりあえず産婦人科を受診してもいいのですが、できれば一度市販の妊娠検査薬で検査してみましょう。検査が陽性であれば妊娠している可能性が高いのですが、流産や子宮外妊娠など、異常な妊娠でないかどうか、きちんと産婦人科を受診して検査を受けることが大切です。今回は妊娠検査薬で陽性が出た場合に産婦人科を受診するタイミングと、診療内容について解説します。
妊娠検査薬とは?
妊娠検査薬とは、尿に含まれるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを検出して妊娠の有無を調べる薬です。受精卵が子宮に着床すると、絨毛細胞という細胞からhCGというホルモンが分泌されるため、このホルモンが検出されると妊娠している可能性が高いと考えられます。
妊娠検査薬の結果の解釈
尿中のhCGの量は、妊娠8~14週の間に最も高くなります。どのぐらいの量に達すると反応する(検査で陽性に出る)のかは妊娠検査薬で異なりますが、25~50IU/Lで反応するものが多く流通しています。これぐらいの検査薬であれば、生理開始予定日を過ぎた頃(受精のタイミングから2週間たった頃)には陽性となる可能性が高いと思われます。
逆に、結果が一度陰性だったからといって、妊娠していないとは言い切れない場合があります。その月の排卵(受精)のタイミングが自分の予想よりも遅かった場合、検査が陽性になるまでになお数日かかかる可能性があります。1週間ほど様子を見て、いつもどおりの生理が来なければ、再度検査してみましょう。また、まれに尿の条件やhCG以外のホルモンの影響で、実際に妊娠していないのに検査で陽性と出る(偽陽性)こともあります。
陽性反応が出た後の産婦人科に行くタイミング
妊娠検査薬で陽性が出ても、早く受診しすぎると、赤ちゃんを包む胎嚢(たいのう)が確認できないため、再診を勧められる可能性があります。産婦人科の超音波検査で、子宮の中に胎嚢を確認できるようになるのは妊娠(受精)してから3週間前後、つまり早ければ妊娠4週の終わり頃、遅くとも妊娠5週には確認できるようになります。※妊娠5週とは、生理予定日から1週間後に相当します。
この頃に子宮の中に胎嚢ができていることを確認しておくことは、子宮外妊娠ではないことを確認するという意味合いもあり大切です。したがって、受診のタイミングとしてベストなのは、妊娠5週頃、つまり予定の生理が1週間ほど遅れた頃ということになります。子宮外妊娠による腹腔内出血や流産に伴う性器出血は、6~7週頃にも起こる可能性がありますので、それまでには一度受診するようにしましょう。
産婦人科の初診内容
初めて産婦人科に行く場合は、どのような検査を受けるのか、どのぐらい費用がかかるのかわからないことばかりだと思います。産婦人科での初診は、次のような内容となっています。
■問診(質問事項)
・年齢
・身長、ふだんの体重
・結婚の有無
・飲酒や喫煙の有無
・飲んでいる薬
・心臓の病気や糖尿病、高血圧、アレルギーなどの持病の有無
・子宮筋腫や卵巣のう腫など婦人科系の病気の有無
・月経歴や妊娠、分娩歴 ※最後に月経のあった時期(いつから始まったか)と、最近の月経周期(月経開始日から次の月経の開始日までの日数)を確認しておくことが最も大切です。
・糖尿病や高血圧・血液の病気などの家族がいるか など
■血圧,脈拍,体重測定
■外診:顔色や胸・腹部の状態などを確認されます。
■内診:膣内に指や膣鏡という器具を入れて、子宮頸管の状態、子宮の大きさや硬さ、ポリープや子宮筋腫・卵巣の異常の有無などについて確認します。
■検尿:検尿では、タンパクや糖、酸性度、潜血、ケトン体などを調べます。
■経腟超音波検査:超音波の経腟プローブを膣から挿入して、子宮の中に胎嚢があるか、子宮や卵巣に何か異常がないかなどを調べます。
初診の費用
妊娠は病気ではないので、基本的に保険は適用されませんが、異常な妊娠やその可能性がある場合は、一部適用されることがあります。初診時に必要な金額は産婦人科によって異なりますが、5,000~15,000円程度と思われます。初診の時期が遅かったりして血液検査なども初診と同じ日に行うような場合は、多めにかかるかもしれません。
初診以後の定期的な健診について
出産までは、定期的に健診を受けることが大事です。ママの健康状態をチェックするために、毎回体重・血圧測定や検尿を行って、妊娠高血圧症候群や糖尿、蛋白尿などの有無を調べます。血液検査は母児に影響の大きい感染症のチェックや貧血などを調べる目的で、通常妊娠中3回ほど行われます。
内診は流産・早産兆候のチェックや炎症症状の発見のために行われますが、安定期の間はルーチンには行わない施設もあります。妊娠10カ月に入ると、子宮の頸管が分娩に向けて変化してきているか確認するために内診による診察は大事です。
胎児超音波(腹部超音波)は赤ちゃんの成長(体重増加)や発育の異常のチェックに不可欠の検査ですが、どれぐらいの頻度で行われるかは施設によって異なります。胎盤の位置や羊水量のチェックなども超音波検査で行います。妊娠初期の赤ちゃんの発育は、経腟超音波検査で調べます。また中期以降、経腟超音波検査は早産兆候の確認のため、子宮頸管の長さを測る目的で行われることがあります。妊娠後期になると、陣痛の有無や赤ちゃんの元気さを調べるために、お腹に器械を付けて行うモニタリング検査(ノンストレステスト)も行われます。
健診の頻度については通常、健康妊娠初期から妊娠23週までは、4週間に1回の健診を行う所が多いようですが、安定期に入る頃(12~14週)までは流産の可能性もあるので、2週間に1回程度の健診を行う場合もあります。妊娠24週(7カ月)以後は早産の兆候を見つけたり、赤ちゃんの成長や子宮内での位置が正常であることを確認するために2週間に1回の健診が必要です。妊娠36週~分娩予定日頃までは1週間に1回と間隔がさらに短くなるのですが、予定日を過ぎた場合や、ママと赤ちゃんの状態によっては、さらに短い間隔での健診が必要となることもあります。
まとめ
妊娠検査薬で陽性が出た場合には、生理予定日に合わせて初診のタイミングを決めましょう。早すぎる段階で診察を受けても、妊娠しているかどうかはっきりとわからない可能性があります。妊娠の有無がわかるまで何度も産婦人科へ行くことにならないように、適切な時期に検査を受けられると良いですね。
参考:
・産科婦人科福岡医院 産科Q&A <https://www.dr-fukuoka.com/obstetrics/faq-obstetrics/>
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