どうぞお構いなく! 気をつかわれたくない私
第2子の妊娠中はあまりおなかが大きくならなかったこともあり、学校では妊婦だと気づかれることもなく1学期は終わりました。しかし夏休みが明け、妊娠後期に入るとさすがにおなかも目立つようになり、周囲に気をつかわれるように。
他の保護者が立っているなか「座りませんか」と声をかけていただいたり、体調を気づかっていただいたり。なんだか特別扱いをしていただくのが申し訳なく感じてしまい、気づけば「ありがとうございます。でも大丈夫です」が口癖のようになっていました。
小さな携帯椅子に座ること45分
そんな中、妊娠8カ月のときに授業参観がありました。上の子の学校では保護者が折り畳み式の携帯椅子を家から持参し、教室後方に座って参観するスタイル。この日も私は他の保護者と同じように携帯椅子を用意していました。
すると大きなおなかで小さな携帯椅子に座ろうとする姿を見かねたのか、授業が始まる直前に隣の方が「教室で余っている児童用の椅子に座ったら?」とすすめてくださいました。お気づかいをありがたく思いましたが、私はやはりここでも「大丈夫です」と強がってしまったのです。
静寂の教室に響く不気味な音の正体
しかし普通の椅子に座っていても太ももに乗るほど大きくなっていたおなかで、小さな携帯椅子に授業終了まで座り続けるのは、想像以上におなかも足も苦しいことにすぐに気づかされました。立ったほうがラクだとも思いましたが、ほかの保護者が座っているなか立ち上がるのも衆目を集めてしまいます。
仕方なくごそごそと体勢を変えてみるものの、そのたびに「めりめり」「ぎしぎし」と携帯椅子が音を立てるのです。折しも静かな国語の授業中だったので、「変な音がするー」と子どもたちまで騒ぎ出し、結局クラス中に注目されてしまったのでした。
今思えば、なぜそれほどまでに意地を張っていたのか自分でもよくわからないのですが、上の子の学校に保護者として赴いているときに妊婦として特別扱いをされるのが嫌だったのかもしれません。自意識過剰だった自分を恥ずかしく思いますが、当時やさしく気づかってくださった方々には今でも感謝しています。
著者:川木みさ/30代女性・主婦。7歳差の1男1女を子育て中。英検1級、児童英語指導者TEYL取得。海外サイトの翻訳や子育て体験談の執筆活動中。
作画:こちょれーと
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています