数合わせで参加した合コン
ある日の仕事帰り、同僚に呼び止められ、半ば強引に合コンへ誘われました。なんでも、呼んでいた男性メンバーが急きょドタキャンしたのだそう。明確に「数合わせ」だと言われました。
「呼んであげるんだから感謝しろ」とでも言いたげな高圧的な態度に、僕は強く断ることができず、しぶしぶ参加することに。
連れていかれた居酒屋には、取引先の会社の女性たちの姿がありました。同僚は、その中のひとりであるA子さんに好意を抱いており、彼女と距離を縮めるためにこの会をセッティングしたようです。
というのも席に着く前、僕は同僚から「A子さんには近づくなよ」と、強く釘を刺されていました。僕の役割は、文字通りの「数合わせ」兼「引き立て役」ということのようでした。
同僚の意中の女性と、僕が意気投合したら…
和やかな雰囲気で会は進み、趣味の話になったときです。A子さんが「アンティーク家具に興味があって」と話し始めました。僕はその言葉にびっくり。なぜなら、アンティークのインテリアは僕が長年追いかけている趣味だったからです。
思わず「僕もなんです」と身を乗り出してしまい、そこからはA子さんと2人、夢中になってインテリアの話題で盛り上がりました。お互いの好きなデザイナー、最近見つけた隠れた名店の情報。こんなにも誰かと趣味の話で深く共感し合えたのは、本当に久しぶりのことで、うれしかったです。
ただ、盛り上がる一方で、僕は正直「ヤバイな……」とも感じていました。テーブルの端から、同僚が明らかに苛立ちを隠せない表情で、僕を睨みつけていたからです。
案の定、僕がトイレに立ったタイミングで同僚も席を立ち、追いかけてきました。そして、彼は僕にこう言い放ったのです。
「空気を読めよ。お前は引き立て役だろ」と。
僕は返す言葉が見つからず、ただ苦笑いで頷くしかできませんでした。
強引な同僚に、女性陣は…
席に戻ると、A子さんが僕に気づき、「さっきの話の続きですけど……」と笑顔で切り出してくれました。その瞬間でした。
同僚が、僕たちの会話を遮るように大きな声を張り上げたのです。A子さんに対し、「週末は何をしているのか」と強引に話題を変えようとし、「こいつの地味な趣味の話より、もっと楽しい話をしよう」と、僕たちの会話を蔑むような言葉を口にしました。
するとA子さんは、楽しげな表情から一変、険しい表情に。
そして、彼女は静かでしたがはっきりと「私はすごく興味がある、面白い話だと思っていましたけど」と彼に反論したのです。
まさかそんな反応をされるとは思っていなかったのでしょう。同僚はひどく動揺したのか、「いや、だってこいつ、いつも暗いし…」と、僕を下げるような発言を続けました。
すると、それまで黙って様子を見ていた別の女性が、「さっきから聞いていると、すごく失礼」と、冷ややかな声で同僚を非難したのです。そのひと言で、場の空気は一瞬にして凍りつきました。同僚に笑顔を向けていた女性たち全員が、彼に非難めいた視線を送っている状態に……。
そして、A子さんはピシャリと、「人を見下すような人とは、話したくありません」と、彼に明確な拒絶を告げたのです。
完全に面目を失った同僚は、しゅんとしたまま、残りの時間、ほとんど黙り込んでしまいました。
数合わせの合コンからまさかの関係に
結局その夜の合コンは、予定よりもずいぶん早くお開きとなり、同僚は誰とも目を合わせず、そそくさと足早に帰っていきました。
僕も「女性たちに楽しんでもらえなかったな…」と後味の悪さを感じながら店を出ると、A子さんが「よかったら、駅まで一緒に」と声をかけてくれました。なんと僕を待っていてくれたのです。
僕たちは並んで夜道を歩きながら、先ほどのインテリア談義の続きをしました。そして、別れ際に「今度、改めてお茶でも」と、次の約束を交わし、休日に改めて会うことに。共通の趣味の話は尽きることなく、お互いの価値観が似ていることもすぐにわかり、距離が縮まるのに時間はかかりませんでした。やがて、どちらからともなく僕たちは交際を始めていました。
同僚はあの一件がかなり堪えたようです。合コン以降、あからさまに人を見下すような威勢のよさはなくなりました。自分の行動が招いた結果を、噛み締めていたのかもしれません。
一方の僕は、A子さんと、穏やかな日々を重ねています。 休日には2人でアンティークショップを巡るのが何よりの楽しみです。あの夜の出来事も、今となっては「あの人がいたから出会えたね」なんて、2人で笑い話にできるまでになりました。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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