20〜30人に1人の女性が多嚢胞性卵巣症候群!?妊娠への影響は…?

2019/10/10 14:30
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この記事では多嚢胞性卵巣症候群について、医師監修のもと解説します。生理不順など多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状が当てはまるのであれば、早めに産婦人科で検査をしてもらいましょう。生理不順を軽く見ずに、しっかりと治療しましょう。
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妊娠を希望しているけれど、生理不順で妊娠のタイミングをとるのが難しいと感じている人は、もしかすると多嚢胞性卵巣症候群かもしれません。あまり聞きなれない病名かもしれませんが、妊娠をすることと深い関わりがある疾患です。今回は、多嚢胞性卵巣症候群による妊娠への影響や治療法などについてお話ししていきたいと思います。

 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、20〜30人に1人の女性に見られ、排卵障害を起こす疾患です。排卵が起こらないのは、排卵に関連のある2つの女性ホルモンのアンバランスや卵巣内の男性ホルモンが多いことが原因とされています。

 

通常、排卵には脳から出される黄体化ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)という2つのホルモンが関わっています。しかし、PCOSでは、この2つのホルモンのバランスが崩れて、黄体化ホルモンばかりが過剰に分泌されるため、排卵がうまくおこなわれません。また、血糖値を下げる作用のあるインスリンも多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に関連しており、血液の中にインスリンが多く含まれている状態ですと男性ホルモンが増加します。男性ホルモンが過剰に作られると、卵胞の成長を妨げたり、卵巣の外の膜を厚くして、排卵の起こりにくい状態にします。身体的には体毛が濃い、ニキビがよくできるといった症状が特徴です。その他に、順調だった生理が不順になった場合や生理周期が35日以上と長い人、肥満などの症状がある人は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を疑います。

 

こうした症状はいくつか複合的に見られる人もいれば、排卵障害以外の症状があきらかでない人もいます。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の確定診断をするときには、血液検査と卵巣の超音波検査が必要です。超音波で卵巣を見ると、卵巣の外側に10mm程度の卵胞がぐるりと一周並んでネックレスのようになっています。卵子が十分に成長できないので、排卵されずに卵巣の中で卵胞が連なっているのです。血液検査では、血液中の男性ホルモンが基準値よりも高く、黄体化ホルモンの値が卵胞刺激ホルモンよりも高いことで診断することができます。

 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の妊娠への影響は?

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵の起こりにくい状態なので、妊娠には大きな影響があります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は早ければ10代のうちから発症している可能性あります。発症して間もないうちは排卵障害もそれほど進んでいないので、自然妊娠も可能ですが、年数重ねるごとに排卵障害が進んでいくので自然妊娠は難しくなります。症状に気づいて早めに治療を受けることができれば、妊娠の可能性は高くなります。

 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では、排卵に問題があることが多いため、排卵を誘発させていく治療をしていきます。その他には、体外受精が行われます。

 

1)排卵誘発剤を使う
クロミフェンという排卵誘発剤を内服することで、約50%に排卵の効果が現れます。排卵誘発剤の内服による効果がない場合は、注射によるゴナドトロピン療法という排卵誘発剤を使います。

 

卵巣には成長できずにいる卵胞がたくさん待機しているので、排卵誘発剤の注射によってたくさんの卵胞が1度に成長することがあります。そのため、1度に複数の卵子が排卵される可能性があり、多胎妊娠のリスクが高くなります。

 

また、たくさんの卵胞が大きくなると、卵巣が大きく腫れておなかに水が溜まる卵巣過剰刺激症候群を引き起こしてしまう恐れがあります。そのため、内服や注射による治療で排卵がうまくいかないときには、手術や体外受精をすすめられることがあります。

 

2)卵巣に小さな穴をいくつか開ける手術をする
卵巣に穴を開けることで、自然な排卵を促すことになり、排卵誘発剤の効果も得られやすくなります。手術となると恐怖感がありますが、腹腔鏡を使った手術なので、傷は小さいです。さらに手術がうまくいけば自然な排卵が復活するので、排卵誘発剤のデメリットである卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠のリスクもありません。ただし効果は、半年~1年程度で、手術前の状態に戻ってしまうデメリットがあります。

 

3)糖尿病の薬を使う
インスリン分泌に異常がある人には、糖尿病の治療薬のメトフォルミン(メルビン、グリコラン)が排卵しにくい状態を改善することが期待できます。インスリンの分泌量を抑えることで、卵巣内の男性ホルモンの分泌も減少し、排卵しやすくなるのです。

 

4)体外受精をおこなう
排卵誘発剤や手術の効果があまりない場合には、医師から体外受精の話があるかもしれません。体外受精であれば、排卵誘発剤を使っても、多胎妊娠などのリスクを減らすことができます。

 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は予防できる?

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は初潮からずっと生理不順である人が多く、体質や環境などが原因であると指摘されていますが、はっきりとした原因は不明です。一般的な遺伝性のある疾患とも異なるため、予防策はありません。しかし、肥満である場合は、減量することにより月経不順の改善が認められているので、適度な運動やバランスの良い食事などに気をつけていくと良いでしょう。

 

 

まとめ

生理不順など多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状が当てはまるのであれば、早めに産婦人科で検査をしてもらいましょう。妊娠を希望している場合はもちろん治療が必要ですが、治療せずに長期間放置すると、まれに子宮内膜にがん化のような異常が起こることがあります。生理不順を軽く見ずに、しっかりと治療しましょう。

 

監修者

医師 福岡 正恒 先生

産婦人科 | 産科婦人科福岡医院院長


京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士

 


経歴

京都教育大学附属京都小学校,洛星中学校・高等学校,京都大学医学部 卒業
京都大学医学部附属病院にて研修後、市立伊勢総合病院・京都桂病院での勤務(医員)を経て、京都大学大学院医学研究科へ進学。
生殖内分泌学の研究や不妊治療に従事。

昭和63年 医学博士となる。

平成4年 京都大学医学部助手となり、婦人科病棟医長として子宮筋腫や子宮ガン等の診療に従事

平成 6~7年 英国スコットランドのエジンバラ大学生殖生物学研究所に留学、帰国後は、産科病棟副医長として周産期診療に従事
平成10年 京都大学大学院医学研究科 講師
平成11年 産科婦人科 福岡医院 開院



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