義母にひどいことを言われて傷付いたというママはあとを絶ちません。義母も同じ立場だった時期があるので、嫁の気持ちを察してくれてもよそうなものだけれど……。
どうして義母はひどいことを言うのでしょうか? 言ってしまう義母の心理について考えてみます。
ひどいことを言ってしまう義母の心理
義母にひどいことを言われるのは止められる?
そもそも、義母にひどいことを言われるのを止められるのでしょうか?
残念ながら、止めるのは難しいと言わざるを得ません。なぜなら、義母はそれが正しいと思って言っているからです。たとえそれが意地悪な気持ちから出ていたとしても、「息子のためと思って」、「孫のためと思って」など、義母には自身の発言を肯定するなんらかの理由があります。義母にとってはそれが“正論”なのです。
良好な関係の嫁と姑であれば、遠回しにでも「傷付きました」と伝えることで改善される可能性はあります。しかし、伝えることが難しい関係だと、相手は嫁に自分の意見を言った正義感で満たされているので、悪く思っていたとしても「ちょっとキツく言い過ぎたかしら」程度であることが多いでしょう。
義母がひどいことを言いがちな理由
義母はなぜそんなことをわざわざ言うのでしょうか?
ママがひどいと感じることは、大きくわけて4つに分けられます。
1.自分自身について悪く言われる
「うちの味噌汁はだしからちゃんととるのよ」、「もう少しきちんと掃除できないのかしら」、「私は夫に対してそんな態度とらなかったわ」など嫌味のように言われる。
2.親や友人について悪く言われる
「そんなことも親御さんに習っていないの?」、「これだから片親は……」、「お友だちの質があまり良くないのね」など、自分の周囲の人を責められる。
3.子どもについて悪く言われる
「男の子がよかったのに……。次は男の子だといいわね」、「誰に似たのかしら」、「うちの息子はこんな騒がしくなかったのに……」など、子どもを非難される。
4.自分の側に立ってくれない
夫の自分勝手さについて「あなたが我慢すればいいの」と言われる、育児で寝られていないなか「こんなことでへこたれてどうするの! 今だけだから頑張りなさい」と言われるなど、義母の価値観を押しつけてくる。
義母にとって嫁は絶好の標的になりやすい
多くの場合、年を取れば取るほど自分について言及されなくなります。自分についての指摘がなくなることは、自分の間違いを正してくれる機会が減るとともに、自分の存在価値も薄れると感じる場合があります。
自分も人の役に立ちたい、存在意義を見出したいという方は少なくありません。自分の経験をフルに伝えられる嫁という存在は、絶好の標的の1つなんです。
義母にとって嫁に言うひと言は、自分の経験を最大限に生かして、状況を良くできるかもしれないことであると同時に、自尊心をくすぐることでもあるわけです。しかし、自分自身について言われるのはかろうじて我慢できたとしても、親や友人、ましてや子どもについてまで悪く言われるのは我慢ならないでしょう。悪気はなく冗談で言っている場合もありますが、嫁側からすれば、産後などで心身ともに疲れていると、冗談を冗談とも捉えられないことも多くあるに違いありません。
義母にしてみれば、自分も経験してきたことという自負があり、自分が大丈夫だったから嫁も大丈夫、自分だって耐えてきたから嫁も耐えて当然だという気持ちがあるので、ここで嫁と姑の感覚のズレができてしまっています。
義母にひどいことを言われたときにやってはいけないこと
義母にとっては正しいと思っていることを言っているのであって、義母の理屈上では間違ったことは言っていません。理屈上、正しいことがすべてではないのですが、“正論”の壁を壊そうとすると、さらに義母の正論で返される可能性があります。
よほどの信頼関係がないかぎり、正論に正論で返すと、うまくやっていた仲でさえ壊れてしまう場合もあります。正論に正論で返すのは、グッと我慢が必要です。相手の言い分は聞き流すようにしましょう。聞き流すのも痛みを伴いますが、受け止めるとさらに打撃を受ける可能性があります。
また、夫に義母の悪口を言うこともNGです。男性は、解決策がない事案を非常に面倒に思う傾向にあります。多くの場合、面倒くさそうに流されるか、自分の親の悪口を言われたと思って機嫌を損ねてしまうかのどちらかです。理不尽な状況ではありますが、ここは流すスキルを身につけましょう。
もちろん、ここに書いたことがすべてではなく、夫との関係性、義母との関係性、義母の性格やご自身の性格により感じ方も変わり、対応も変わってきます。義母のつらい口撃に耐えられない場合は、自分のなかで抱え込まず、友人や専門家に相談してストレスを溜めないようにしましょう。
著者:カトウヒロコ/女性・心理カウンセラー。メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー、ライターとして活動中。
作画:はたこ